第11話
車庫の奥にある少し雰囲気の違うドアを開けるとそこは、本が飛び交っている魔法の部屋でした。
はい、回想終了ですよ。
……しかし、この世界って魔法あったんですかね……?
なんて、少し現実逃避しちゃいます。
玲音は目をパカッと開けたまま飛び交う本たちを凝視しています。
いままで、こんな物を見たことなかったから当たり前の反応です。
私は夢の中の世界で、その世界のファンタジーのくくりで小説があり、知識として魔法もろもろのことを知っていましたが、この世界ではそのようなファンタジーの小説がなかったので、玲音には正真正銘、初体験だったのでしょう。
「……な、なんだろ……?」
玲音の声を聞き、意識を彼に向けます。
玲音の視線をおって前を向くと、一冊の本が私たちの前に降りてきました。
ゆっくり降りてきた本は、私たちに題名を読ませるかのように表紙を向けてきました。
「……“魔法書入門編”……?」
「……え、まほう……?」
その本に書かれていたのは、“魔法書入門編”の文字。
私たちは混乱したまま、その本を眺めます。
すると、その本は私たちが題名を理解したのに気づいたのか、そっとページが開いていきます。
パラパラめくれるそれを流し読みしていると、私たちでも読めるような内容で詳しく書かれていました。
「……ねぇ、悠華。」
「……なに?」
「……お父様に、聞いてみる?」
「…そうしましょうか。」
私たちはまだパラパラめくられ続ける本を手に取り、ドアを開けてお父様の書斎へ向かおうとします。
しかし、その本を持ったまま一歩部屋から出ようとすると、本がスルリと手から離れました。
「っわ!」
慌てて後ろを振り向くと、本はまたさっきまで浮かんでいた場所に戻って、今度は裏表紙を見せていました。
私たちはじっとその裏を見ると、ふわっと光がともりだしました。
「……っえ、なに、?」
「本が、光った……?」
突然のことに戸惑いを隠せない私たちをそっちのけで、本は今もまだ光りつづけています。
そしてだんだん光が薄くなったと思ったら、その裏表紙に浮かび上がった光の文字で“持禁”と書かれていました。
これは、よく夢の世界の図書館で見かけたマークに少し似ていて、けれどそのマークよりは上品なマークでした。
たしか、これが表す意味は、この本は図書館から出せません。な意味だったと思う。
つまり、この本もこの部屋から出せないのでしょう。
「“持禁”……、ではこの部屋から出せませんね。」
「………………うん。」
私の言葉を聞いた玲音は少し複雑そうに初めはしていましたが、だんだん本の内容が気になりだしたのか、その場で読み始めました。
そして、近くのソファーで二人並んで読み始めます。
これこそ、この世界で重要なキーワードである“魔法”との出会いでした。




