20.末長く円満に
そう言うわけで、和希や渚さんに背中を押してもらい、やっと俺は彼女に気持ちを伝えることができ、晴れて香ちゃんと恋人同士になれた。
そして春休みになり、俺たちは遊園地に来ていた。
和希がダブルデートをしようとうるさいので、俺と香ちゃん、和希と田辺さんの4人で来たのだ。
2人っきりがよかったと思わなくもないが、まぁこれはこれで楽しいか。
「次何乗る?」
「あ、あそこにソフトクリーム売ってるよ」
と田辺さんが指を差す。
「おーいいね。俺買ってくるよ」
「私も行くよ。太陽くんと香ちゃんはそこのベンチで待ってて」
「じゃあお願い」
と和希たちを見送り、俺は香ちゃんと並んでベンチに腰を下ろした。
「香ちゃん疲れてない?」
「うん全然大丈夫。すっごく楽しい」
「それはよかった」
「私ね、まだ見えてたころに友達や家族とよくここ来てたんだ」
「そうなんだ」
「ここに来ると、見えてた頃を思い出して寂しくなるかなって思って、来るの避けてたんだけど、思い出す暇もないぐらい楽しくて、また来れてほんとうによかった」
いつも明るく振る舞ってる彼女だけど、色んな感情と戦っているんだ。
「見えてた頃以上に楽しい思い出、これからたくさん作って行こう」
そう言い、俺は彼女の手を握った。
「ほんと太陽くんって名前通り太陽みたいな人だよね。いつも暖かい言葉をくれる」
「そんなの初めて言われたことよ」
ついれ頬が緩んでしまう。
「おいおい、俺たちがいない間にラブラブしてんじゃないよ」
和希の声に驚き、俺は咄嗟に彼女から手を離した。
「してねーわ」
と言いつつ、ニヤニヤしている和希からソフトクリームを受け取った。
「やっぱ最後はこれでしょ」
と言う和希に連れられて、俺らは観覧車の列に並んだ。
俺らの順番になり、2人ずつゴンドラに乗り込む。
そして、香ちゃんと向かい合って座った。
さすがに、密室に2人っきりは緊張するな。
それにゴンドラに乗り込む直前に、和希が耳元で言ってきた言葉。
「この観覧車の頂上でキスをしたカップルは、末長く円満でいられるらしいぞ」
変なジンクス聞かされたせいで、緊張が増してる。
香ちゃん、この遊園地よく来てたって言ってたけど、ジンクスの話知ってるのかな。
「もう結構暗くなってきたから、夜景とか綺麗なのかな?」
と窓の外を眺める彼女。
「あー、うん、綺麗だよ」
「なんか、太陽くん緊張してる?」
「え、いや、なんか向かい合って座ることあんまりないから」
「確かに。電車でもいつも横に座るもんね」
「そっち座ってもいい?」
「いいよ」
俺は彼女の左側に座った。。
「あーやっぱこっちの方が落ち着く」
近いけど。
「ゴンドラ傾いてるけどね」
2人で笑い合う。
「あとどのくらいで頂上なんだろ?」
「もうすぐだね。30秒ぐらいかな」
すると彼女がカウントダウンを始めた。
そして、0になった瞬間、俺は勇気を振り絞って彼女の左頬にキスをした。
彼女が驚いた顔でこちらに顔を向ける。
「え、た、太陽くん今のって」
「いやー和希がこの観覧車の頂上でキスをしたカップルは、末長く円満でいられるとか言ってたからさ」
「そんな話初めて聞いた」
「でも、今のでいいのかな?」
「え?」
「ほっぺでいいのかな?」
イタズラっぽく笑う彼女。
時々、こうやって俺を試すような悪い笑顔をする。
意外と積極的なんだよな。
まぁそういうところも好きなんだけど。
「じゃ、じゃあ、もう一回」
とか今度は彼女の唇にそっとキスをした。
「これでいいかな?」
と照れながら俺が聞くと彼女は
「ふふっ、これで私達、末長く仲良しでいられるね」
と最高の笑顔を見せてくれた。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
初めての作品ということもあり、拙い文章で読みにくい部分もあったかと思います。それでも最後まで読んでくださった方が一人でもいらっしゃるなら、これ以上嬉しいことはありません。
そして、この作品をきっかけに、街中で白杖を持っている方を見かけた際に、少しだけ関心を持っていただけたら嬉しいです。
現在はまた全く違うジャンルの作品を書いていますので、もしよろしければそちらも覗きに来ていただけると幸いです。
最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました。




