第1話 幼馴染からは逃げられない。
「あ、一香……。なんで校門の影に……まだいたのか?」
「やっと来た。遅いよ、一樹くん」
「待ってたって……今日、部活で遅くなるから先に帰れってメッセージ送っただろ? 既読ついてたし」
「うん、見たよ。でも、帰るわけないじゃない。だって一樹くん、さっきマネージャーの子と楽しそうに話してたもんね」
「……え? なんでそれを……。部室の窓から見てたのか?」
「ううん。一樹くんのポケット、私のスマホと繋がってるから。ずっと音、聞いてたんだよ。あの子、一樹くんの腕に触ったでしょ」
「……ポケット? 何の話だよ。……っ、なんだこれ、このキーホルダー……」
「あはは、やっと気づいた? それ、ボイスレコーダーだよ。可愛いぬいぐるみでしょ?」
「……お前、いつからこんな……」
「ずっと前からだよ?」
「……」
「一時間、ずっと聞いてたんだよ。一樹くんが他の子と楽しそうに笑う声。ねえ、私の前ではあんな声出さないのに、なんで?」
「……イチカ、ちょっと落ち着け。腕、掴む力が強いって」
「逃げようとしないで。……大丈夫だよ、あの子の連絡先はさっき一樹くんのスマホから消しておいたから。ついでに、一樹くんの指紋で『もう話しかけないで』って送っておいたよ?」
「……な……っ」
「ほら、これで私たちを邪魔する人はもういないね。ねえ、早く帰ろう?……私の部屋で、今日の録音、一緒に最初から聞き直そうよ」
『……大丈夫だよ、全部私が守ってあげるから』
『ねえ、嬉しいよね? 私以外、何もいらなくなったんだよ?』
ああ、俺は幼馴染からは逃げられないらしい。
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