12話 昔話で衝撃の事実発覚!
前回のあらすじ
健康についてうるさく言ったら魔王軍四天王になった。
魔王様から魔王軍四天王にされてしまった私。
その為住居を移す事となり、私物を回収するため一旦アンナちゃんの拠点に戻っていた。
「「はぁ……」」
拠点に戻った矢先テーブルに座り込み、ため息をつく私とアンナちゃん。
収納魔法で木のコップに入った水を出してもらって、ゴクゴクと飲み一息つく。
「何で私が四天王に……? 絶対務まらないでしょ!? アンナちゃん、魔王様何考えてるの!?」
「アタシに聞かれても……消されなかっただけマシだと思うしかない。だが納得いかないのは……何でアタシが久里の補佐に任命されなきゃいけないんだー!」
そう言ってアンナちゃんがテーブルをバンッと叩く。
いやいやいや。
「ちょっと!? アンナちゃんだけ逃げるつもりだったの!?」
「逃げるつもりはない! だが……何でよりによって久里の部下にならないといけないんだ……!」
「私の部下そんなに嫌!?」
「元々お前はアタシのメイドにするつもりだったんだぞ!? あっさり主従逆転されて恥ずかしいじゃないか!」
確かに「今日から私があなたの主人よ」から、「今日から私があなたのメイドです……」になったらもの凄い恥ずかしいかも。
「まあドンマイだよアンナちゃん」
「お前のせいだろう! はぁ……」
不満を吐き出してちょっと落ち着いたのか、アンナちゃんが真面目な顔でこっちを見る。
「しかし久里……よく魔王様にあれだけ言えたな」
「そう? 私健康に関してうるさく言っただけだよ?」
「それ自体がおかしいんだ。あの時、魔王様は全身を刺すような殺気を放っていた。大抵の者は恐怖で何も言えなくなる程のな」
う、確かにあの時は漏らしちゃいそうなくらい怖かったな……。
「アンナちゃんもブルブル震えて縮こまってたよね」
「悪かったな。とにかく、その中でお前は自分の主張を魔王様に言ってのけたんだ。お前にそんな胆力があるとは思わなかったぞ」
「いやー、そうでも無いよ。ただ健康に関しては私の譲れないところだっただけで……」
そういうと、アンナちゃんは水を飲んで、再び口を開く。
「……何でお前はそこまで健康に執着するんだ?」
「え?」
「そんなのさほど気にしなくても人間は生きていけるだろう?」
「いや、アンナちゃんのゴミ屋敷は生きていけるレベルじゃなかったけど」
「うるさい、今はどうでもいい。とにかく理由を教えてくれないか?」
「……」
アンナちゃんが私の顔を見つめてそう聞いてくる。
……これは逃げられないかな。
水を飲んで一息ついてから私は口を開く。
「……魔王様が私にとって健康は何? って聞いたよね。その時私がなんて答えたか覚えてる?」
「命……だったか?」
「そう、昔私は健康を蔑ろにして、文字通り命に関わる事になったんだよ」
……それは私が小学四年生の頃。
お父さんを早くに亡くし、お母さんに育てて貰っていた私は、まだ一年生だった弟と一緒に毎日を送っていた。
お母さんはお父さんを亡くしたからか、私と弟にすごい愛情を注いでくれた。
でも、それがいけなかった。
私のいろんなわがままを聞いてくれて、夕飯を食べられないほどお菓子を食べたり、夜遅くまで起きてたり、色んな体に悪いダメな事を叱らず、全肯定してくれた。
そんな生活を続けてたら行き着く先は一つだよね。
私はある日重度の生活習慣病で倒れ、病院に運ばれた。
入院して何とか一命は取り留めたけど、その後遺症で私は小学生のまま体が成長しなくなってしまった。
それを聞いてすごい絶望したんだよね……。
将来は美人でグラマーな大人の女性になりたかったのに。
お母さんからもすごい泣かれた。「ごめんなさい……ごめんなさい……」って何回も言われた。
悪いのは私なのに……。
だから私は決めたんだ。
もう二度と健康を蔑ろにしないって。
あの失敗があったから、私は今元気でいられるんだよって将来お母さんに心から言えるように。
「……ていう自業自得な理由で痛い目見たから反省しましたっていう、ありがちなエピソードなんだけどね。思ったよりつまらなかったでしょアンナちゃん」
「……」
アンナちゃんが無言で下を向いている。
やっぱりつまらなかったのかな?
もしかして寝ちゃった?
「ちょっとアンナちゃん、聞いといて寝るなんてひど……」
「く……く……」
「え?」
よく見ると、アンナちゃんの体がプルプル震えていて、何かが顔からポタポタと落ちている。
そして。
「久里ーーー!!」
「うわーーー!?」
アンナちゃんが泣きじゃくりながらテーブルを乗り越え私に抱きついてきた。
いや、なんなの!?
「な、なんて暗くて悲しい話なんだ……辛かっただろう……苦しかっただろう……!」
「ちょ!? なんでそんなに泣いてるの!? とりあえず離れて! 汚い! 鼻水服についてるから!!」
何とか落ち着かせて無理矢理引き剥がす。
「どうしたのアンナちゃん!? 自分で言うのもあれだけど、そんな泣く要素無かったでしょう!?」
「いや、これが泣かずにいられるものか……。そうか、そのせいでお前はアタシと同じで女として終わってしまったんだな……」
「お、女として終わった?」
一体どういう事?
「もしかして……成長が止まっちゃったから?」
「それ以外に何がある!」
あ、やっぱり。
私よりちょっと背が低いくらいのロリ体型だもんねアンナちゃんも。
「でもそれは言い過ぎじゃない?」
「いや、こんなオスに求められない体なんて意味ないだろ?」
「そうかな? アンナちゃんなんて特にロリコンには需要がありそうだけど……」
「なんだ? そのロリコンって?」
「え?」
もしかしてこの世界にはロリコンって言葉がないのかな?
「私やアンナちゃんみたいな小さな体に興奮する性癖を持つ人の事だけど……」
「な……」
「な?」
「なんだその夢のような性癖はー!!」
「えー!?」
アンナちゃんがすごい形相で掴み掛かってくる。
いや、なんなの!?
「何処に行けばそのロリコンに会える!?」
「え? もしかしてアンナちゃんロリコンに会った事がないの?」
「存在自体初耳だ!」
「えーー!?」
もしかしてこの世界……ロリコンっていう言葉どころか、存在自体が無い!?
……数分後。
「なんでアタシはそっちの世界に生まれなかったんだ……なんでアタシはそっちの世界に生まれなかったんだ……なんでアタシは……」
呪詛のように同じことを呟きながらテーブルに突っ伏しているアンナちゃんがいた。
アンナちゃんの話によると、この世界では背が高く豊満な体型をしている女性が好まれる傾向にあり、逆に子供体型だと性欲お化けと言われるゴブリンやオークにすら襲われないらしい。
お陰でアンナちゃんは、実力はあるけどサキュバスとして落第点らしい。(しかも処女)
魔王様が言ってたアンナちゃんの欠点ってそういうことだったんだね。
通りで男を誘惑するための本とか置いてあったわけだ。
うーん……なんて子供に優しい世界なんだろう。
「アンナちゃん、そろそろ準備して魔王城行かないと」
「……ああ、そうだな」
まだ上の空のアンナちゃんを動かし、拠点の私物を片付け収納魔法で回収していく。
「そういえばアンナちゃん」
「どうした?」
「四天王になるって事は有名になるってことだよね?」
「少なくとも魔王軍には広まるだろうな」
「だったら斉藤 久里じゃ呼びにくいよね。もっと異世界らしい名前を考えた方がいいかな?」
「お前な……」
あれ、アンナちゃんが呆れた目をしてこっちを見てくる。
「どうかしたの?」
「どうかしたの? じゃないだろう。これからの生活とか、元の世界に帰れるかとか、考える事は色々あるんじゃないのか? なんで真っ先に考えるのが名前なんだ?」
「そうだけど、考えたところでわからないし、自分にどうこうできる問題でもないでしょ? だったらなるようにしかならないんじゃないかなって思って」
「……お前は本当に楽観的というか、ポジティブ思考だな」
「ふっふー、健康的思考と言って欲しいね! あ、名前なんだけど『クリア』なんてどうかな? 清純な私にピッタリじゃない?」
「あー確かに清純だな(物理的な意味で)。魔王軍には似合わないけどな」
「アンナちゃんだって清純じゃん(性的な意味で)」
「好きで清純になってる訳じゃない!」
そんなやりとりをしながら拠点の片付けを終え外に出ると、再びアンナちゃんが魔王城への門を開く。
これからどんな日々が待ってるかはわからない。
でも私がやれる事はたった一つ。
それは健康に生きる事。
何処に行ってもそれは変わらない。
さーて、頑張るぞー!!
そう気合を入れながら、私は魔王城への門を潜って行った。
これにて序章終了です。
執筆時間があまり取れなくなってきたためしばらく1作目の小説に集中しようかなと思います
また投稿始めたらよろしくお願いします。
(あくまで予定)




