無垢なる首飾りと露店商
「探しているのは……誰かへの贈り物かな?」
「えぇ、お世話になっている宿の子どもにお土産を………と。
丁度良い物って無いですか?」
「………………………………………………………………………足りないな。」
露店商の人が意味の解らない事を呟いた。
「防具は有る。嬢ちゃんには武器も有る。が、足りないものが有る。
お土産以前に君達には未だ足りない物が、欠けている重要な物が有る。」
足りない?買い物は終わった筈だし、忘れ物も無い筈。何が足りないの?
「これだ。」
そう言って露店商の人は懐から何かを取り出した。
細い鎖で出来たネックレス。
特徴は一箇所。飾り部分に嵌め込まれた宝石みたいなもの。
傷一つ無い、透き通ったガラスの様な石。
夕日に照らされて何とも言えない輝きを放っていた。
「武器が有り、防具が有り、したら、あとは装飾品が必要だ。
お土産より前に装備を整える事が重要だ。」
そう言って輝くネックレスを目の前に突き出す。
そうだ、私は未だ、テミスちゃんに装飾品と武器を渡していない。
武器は要らない。私が戦えば良いし、子どもに武器を持たせるなんて事、決してしちゃいけない。
でも、装飾品は必要。
このポンチョを疑う訳じゃ無いけど、念には念を入れた方が良い。
目の前に突き出された宝石を見る。
なんだろう?見た事が無い輝き…………………………………………………………………………「幾らですか?」
財布、袋を取り出す。
「とっておきだし、定価で売りたいが、初回サービスだ。
20万エルで如何だ?」
「買いましょう。」
袋から硬貨を取り出し露店商に渡す。
「毎度あり。
では早速。嬢ちゃんの首に。」
そう言ってテミスちゃんの首にネックレスを掛ける。
「………………………。」
「………………………。」
「じゃあ、私はここで店仕舞いさせて貰う。
嬢ちゃん達、じゃあ。」
露店商はそう言ってその場から煙か霧の様に消えていった。
…………………………ううーーん。(顎を手でつまむ)




