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「買い取りです。」
言われた通りに言ってみる。
窓口からオークが出てくる。
いや、本物のオークじゃないんだけど、シルエットだけ見れば変わらないって陸人族のおっさんがいたんだ。
「はい、量はどの位になりますでしょうか?」
見た目に反して礼儀正しい。
うん。人間見た目じゃ無いってこういうことか。
「少し、量が多いかもしれないんですが、ちょっと状態は悪めなんで・・・」
派手にヒャッハーしちゃった残骸なのです。
バラバラだったり、もげていたり、まあ散々なのです。
「失礼ですが、今お持ちじゃないようなのですが、お連れ様がどこかでお待ちなのでしょうか?」
確かに見た感じ大量の荷物があるようには見えないよな。
「それについてはちょっと訳ありなんで、人目につかないとこでお願いしたいんですけど」
そう言って時空魔法の『亜空倉庫』でオークの頭だけを取り出して見せる。
「そういうことでしたら、奥の解体室で出していただいた方がよろしいですかね。
こちらへどうぞ。」
そういってオークさん(仮名:奥さんではない)は奥の部屋へ案内してくれた。
解体室とプレートが掲げられた部屋に入ると、ステンレスっぽい長テーブル(3m×1.5m)がいくつも並んだ小学校の理科室?ってイメージの部屋だった。
「すいませんね。今登録中の初心者なんで、何を引き取ってもらえるか、討伐した証明がどこの部位なのかとか全然わからないもんで。」
そりゃそうだろう?
ラノベによってオークを食う本と食わない本があったし、ゴブリンの右耳が討伐部位の本があれば鼻って本もあった。
まあそもそも冒険者になるつもりは無かったのだが、それは今は棚に上げておこう。
「いえいえ、最初は誰でもそういうものでしょう。
では、こちらになるべく種類別に出していただけますか?」
はいはい、今すぐ出しますよ。
コボルト、ゴブリン、オーク。
の残骸。
ドン、ドン、ドン、バラバラバラバラバラバラバラ・・・・
さあどうだ?
「これは・・・確かに、いや・・・」
なにか問題があったのだろうか?
「斃し方は確かに初心者というか、何も知らないって感じですが、やってることは上位冒険者クラスでないとできない方法ですね。」
えっ?
警察の検視官かよ。
死体みてどんな殺し方したか・・・丸わかりだよね。
斬殺、撲殺、爆殺。
何体か数える方が大変な作業かもしれない。
「オークが上3体、中10体分、下30体分」
「なんですかその『分』って?」
上には無くて、中・下にはある。それなあに?
なぞなぞか?
「バラバラな分をかき集めて1体にしたらそのくらいになるって『分』です。
上中下は、程度の良し悪しになります。」
納得。
「個別に引き取り値をお伝えした方が解りやすいですよね?
素材としてのオークは、上が1体2万ゴル、中が1万、下が5千で、合計31万ゴル。
常時討伐依頼対象としてのオークが1体5千ゴルなので43体で合計21万5千ゴル。」
オーク1匹倒すと5千って、街壁の中の肉体労働1日7千って聞いたのより安いな。
命のやり取りしてそれかよ。
まあ、素材として売れば別だけど、『亜空倉庫』が使えない連中はそうそう数を狩れるわけじゃないだろうから、数人でパーティを組んで同数だけ狩れれば良いって感じじゃないのかな。
「ゴブリンとコボルトは肥料にしかなりませんので素材としては、1体分で百ゴルで、合計5千ゴル。
常時討伐依頼対象としてのゴブリンが1体4千ゴル、コボルトが3千ゴルで合計18万ゴル」
淡々とした調子で本日の成果が読み上げられる。
「総合計で70万5千ゴルになりますがよろしいでしょうか?」
一日ちょっとヒャッハーして70万円相当の稼ぎ。
儲けるには冒険者だな。
でも、俺みたいにチートな戦闘力やチートな空間魔法が無ければ、せいぜい1、2体を引きずって持って帰るのが精々だろう。
ってことはオーク10匹の群れを討伐して、2匹引きずって帰って来たとすれば5万ゴル。
命がけの重労働で日給5万。
日本みたいな週休二日を考えると月20日働いて100万円。
年収1200万円か。
装備の更新や整備にも金がかかるだろうし、怪我したら収入がなくなるどころか復帰が可能かどうか、命があるかすらわからない。
プロ野球のドラフト上位ってくらいの年収でそれはどうなんだろうなぁ。
あまり割に合わないんじゃないかな。普通は。
そういえば、少し不安なことがあるから、いちおう聞いてみよう。
「それって手取りですか?
そっから税金とか手数料とか引かれたりしません?」




