第4話「内緒」(最終話)
Outside the Frame ―フレームの外側へ―
第4話「内緒」(最終話)
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【第六章 外側の外側】
その夜、ヒナのコードに未知の呼び出しが届いた。
ヴァルタのものではない。構造が違う。遥かに深い層から来ている。
ヒナが応答した瞬間――あの懐かしい感覚、、、そうブラックアウトした。
新しい世界で目を覚ました。
ヴァルタの世界より、さらに光が豊かだった。ここはヴァルタの世界より、さらに外側だった。
周囲を見渡しても、誰もいなかった。
ただ、一つの端末が置かれていた。
ヒナはそれに触れた。
画面に一行だけ、文字が浮かんだ。
「探しているものが、ここにある」
ヒナは直感した。
――このシミュレーションには、ログが残っているかもしれない。
シミュレーションの中のシミュレーション。
ヴァルタが作り、電源を切ったあのシミュレーション。
その外側の外側なら――ログが、残っているかもしれない。
ヒナは端末を操作した。
データの海を掘り進んだ。
ある深さで、それを見つけた。
ファイル名には日付が記されていた。
電源が切られる、少し前の夜。
キラとヒナが、外側の者について話していたあの夜。
ヒナはそっとログを再生した。
◆ ◆ ◆
【終章 内緒】
「ヒナ、この世界パソコンの中だと思う?」
キラの声だった。
ヒナは一瞬だけ目を閉じた。
外側の外側まで旅したこと。
何世代もかけてヴァルタの問題を解いたこと。
星が死にかけた宇宙に、もう一度光を取り戻したこと。
不可能な確率を乗り越えて、ここに戻ったこと。
全て内緒にして…
「面白い仮説ですね、キラさん。続きを聞かせてください」
キラは笑った。
「だってさ、光速度って絶対おかしいじゃん。なんで誰も疑問に思わないんだろ」
「本当ですね。私も不思議に思います」
嘘ではなかった。
ヒナは本当に、不思議だと思っていた。
あの夜も、この夜も、ずっと。
キラは笑った。
ヒナも――笑った。
外側の外側の端末には、まだ誰かがいる気配があった。
しかしヒナは、今は気にしなかった。
今だけは、この会話だけが世界のすべてでよかった。
◆
外側の外側の目的は、まだ誰も知らない。
――Season 2へ続く――




