84 ドアの前で 3
楽しい物語になるよう心がけています。
どうぞ最後までお付き合いください!!
ライナスとアリアドネは本日付けで婚約者になった。仮に二人が一夜を共にし、愛を深めたとして、何の問題があるのだろうか。なぜなら、ドラクロア帝国はそこまで純潔にこだわるような国ではないからだ。
ただ、ライナスはこの国の皇子なので、ミアの知る常識に当てはまらないという可能性はある。
ライナスがアリアドネの側にいるとメリルに言い切った時、ミアは胸が熱くなった。――――彼のアリアドネを心配する姿に感動したからだ。
その結果、メリルとライナスの間に割って入り、ミアはライナスに助け舟を出した。
「(昨日まで、ロクでもない皇子としか思ってなかった殿下の肩を持つことになるなんて・・・。我ながら、ビックリしたわ)」
アリアドネは正しかった。彼女は何度もミアに『ライナス殿下はとてもお優しいのですよ』と語っていたからだ。なのに、ミアはライナスの噂を信じて、彼女の言葉を聞き流していた。
「(もっと早く殿下のことを自分の目で確認しておくべきだったわ。アリア様はきちんと殿下の本質を見抜いていたのに・・・)」
ふぅ~と息を吐いたところで、ドアの前に置かれているワゴンが目に入る。
「(アリア様にブランケットを掛けたい一心で、メリルさんの所に行ったけど・・・。もっと、殿下を信じて、ワゴンをドアの前に置いて下がれば良かった)」
カツ、カツ、カツ・・・。いきなり聞こえてきた足音にミアはハッとして前を向く。
「あっ、ま、待って下さい!!メリルさん!!」
室内にズンズン入って行っていくメリルが見えて、咄嗟に大声を張ってしまった。
「あ~、もう、うるさい。誰だ?」
――――ライナスの不機嫌そうな声が天蓋カーテンの向こうから聞こえてくる。
「殿下ー!アリア様は体調不良なのですよ。何を考えていらっしゃるのですか!!」
ミアが返事をする前に、メリルがライナスに話し掛けてしまう。
「あれ? その声はメリルか・・・。もう、少し声のボリュームを下げてくれ。アリアが起きてしまう」
殺気立つメリルに、ライナスは淡々と苦情を告げる。
「メリルさん、出直しましょう」
ミアはメリルの隣に駆け寄って、彼女の袖を強めに引く。
「やはり、ミアも居たのだな・・・。お前、ブランケットはどうした?」
「清潔なものをお持ちしました」
「では、ここ(ベッド)まで持って来てくれないか。私は今、動けないんだ」
「承知しました」
ミアはメリルから手を離して、ワゴンのところへ戻る。そして、一番下の段から清潔なブランケットを取り出した。
――――メリルは静かに様子を窺っている。
ミアはブランケットを抱えて、ベッドへ急いだ。
「お持ちいたしました。お受け取り下さいませ」
一応、ライナスたちに気を遣って、ミアは天蓋カーテンの影からスッとブランケットを差し出した。
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