81 フラッシュバック 12
楽しい物語になるよう心がけています。
どうぞ最後までお付き合いください!!
「ああ、その可能性が高い。本当は今回の隣国訪問で、ブリシア公爵夫妻や大聖堂の教皇から詳しい話を聞き出そうと思っていたが、土砂崩れで道が寸断されて叶わなかった。だから、次の機会にはしっかりと糸口を掴みたいと思っている」
(お母様が誰かに殺されたなんて、今まで一度も疑ったことが無かったわ・・・。では、なぜ殺されたの?――――もしかして、私を産んだから?)
「分かりました。何から何まで、お手数をお掛けして申し訳ございません。あと、土砂崩れも・・・」
(私が時を操る力をしっかりと使いこなせていれば、現場を元通りに出来たかもしれないのに・・・。結局、何のお役にも立てなかったのよね。本当に情けない・・・)
アリアドネの表情は曇っていく。
「君は何というか・・・、――――例えば、私が今くしゃみをしたら、どう思う?」
彼からの唐突な質問だったが、アリアドネは銀狼のライナスがクシュッとくしゃみをする場面を想像してみた。
「私のせいで身体を冷やしてしまったのかも知れないと心配します」
「だろうな」
ライナスは鼻先でアリアドネの額をコツンと弾く。
「そのヨミは間違っている。君と密着して私の体温が上がることはあっても、下がることなんてないからだ」
(私と密着したら、体温が上がる。でも、下がることはない。――――ええっと、どういうこと?――――私がぬくもりを奪っているのに・・・)
「好きな女にくっついているんだから、当たり前だろう」
「なっ!」
アリアドネは言葉の意味を理解し、顔が真っ赤になってしまう。
「この質問で私が確認したかったのは君のネガティブ思考のことだ。間違いなくマティルデの呪詛と鞭で自尊心を踏みにじられたのが原因なのだろうけども・・・。――――はぁ~ぁ、あの女は本当にムカつく! 私のアリアを傷つけやがって!!」
ライナスは目を三角にして、犬歯を剥き出す。
(あわわわっ、銀狼さんが怒っている。も、ものすごい迫力だわ!!――――以前の私なら気を失ってパタッと倒れたでしょうね。だけど、今は彼の優しさを知っているから、大丈夫・・・)
「――――君がネガティブ思考に陥りがちなのは、マティルデのせいだ。だから、私がアリアの自尊心を育てて、あんな女の影なんか消し去ってやる。――――アリア、これからドンドン自信をつけていくぞ!!」
(私も継母のことなんか忘れるくらいの自信をつけて、ライナス殿下の隣に堂々と立てるようになりたいわ!)
「はい、頑張ります!」
「アリア、また後ろ向きな話を聞かせてくれ」
「えっ、後ろ向きで良いのですか?」
「ああ、構わない。君と話せるだけで、私は嬉しいから・・・」
「ライナス殿下・・・」
どちらからともなく背中に腕を回した。そして、ぬくもりを味わう。言葉を交わす回数は自然に減り・・・。少しのまどろみを経て、二人は昏々と眠った。
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