77 フラッシュバック 8
楽しい物語になるよう心がけています。
どうぞ最後までお付き合いください!!
アリアドネは期待に満ちた目でライナスを見上げる。
「ああ、約束する」
「ありがとうございます」
キラキラと目を輝かせる彼女につられて、ライナスの頬も緩む。と、ここで・・・。
――――コンコンコンと控えめなノックの音が聞こえてきた。
「ミア?」
アリアドネの呟きでライナスはハッとする。彼は今、ベッドの上でアリアドネに覆い被さっていて・・・。――――この状態を見られると非常に不味い。
「アリア、すまないが、少し席を外す」
「はい」
ライナスはスッと身を起こし、音も立てずにベッドから降りた。
「殿下~、入室しても宜しいでしょうか?」
室内から返事がないため、ドアの向こうからミアが急かしてくる。ライナスはブランケットを手に取り、部屋の入口へ急いだ。
ガチャ。
ライナスが突然ドアを開けたので、ミアは驚く。
「――――殿下・・・」
「ミア、このブランケットを清潔なものと交換してくれ」
彼はブランケットをミアの前に突き出す。
「はい?」
「床に落としてしまったんだ」
「えっ、何故に?」
「あ~・・・」
ライナスは言い訳をしようとしたが、言葉が続かない。二人は無言のまま、数秒見詰め合う。
「――――アリア様のご様子はいかがですか?」
ミアは話題を変えた。彼の様子から、アリアドネとの間で何かあったのは間違いないと察したからだ。
「少し前に目は覚ました。だが、今夜はこのまま部屋でゆっくりさせる」
「承知いたしました。では、清潔なブランケットをお持ちします」
「ああ、頼む」
ミアへ汚れたブランケットを受け取った。
「それから、殿下にご伝言が届いています」
「誰からだ」
「殿下の側近フェルナンデス様からです。『隣国に向かう前に急ぎの案件は片付いておりますので、机は執務室に置いておきます』とのことです」
「分かった」
「ところで・・・、殿下はこのままアリア様のご看病をなさるおつもりですか?」
「そのつもりだ」
「では、替えのブランケットと一緒にお飲み物と軽食もお持ちいたします」
「そうしてくれると助かる。ミア、ありがとう」
「あっ、はい・・・」
狼皇子から満面の笑みでお礼を言われ、ミアは動揺してしまう。――――彼女は一礼すると、その場から逃げるように去って行った。
パタン。カチッ、カチャ。
ライナスは周りに誰も居ないことを確認してから、ドアを閉め、内鍵もしっかりと掛けておいた。
「(よし、これでいきなり踏み込まれる心配は無くなった!!)」
ベッドの上にいるアリアドネは、ドアの前でガッツポーズを決めるライナスを見て、クスッと笑う。
(ライナス殿下、何かいいことでもあったのかしら?)
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