75 フラッシュバック 6
楽しい物語になるよう心がけています。
どうぞ最後までお付き合いください!!
ブランケットが宙を舞う。
力加減を間違ったライナスは口をポカンと開けた。アリアドネはその様子がおかしくて、プッと噴き出す。
(力任せに引っ張ったのね。――――ブランケット、あんなに遠くまで飛んじゃったわ、ウフフフッ)
「あ~、すまない!!」
ライナスはブランケットを拾いに行く。
「――――力加減を間違えた・・・」
拾ってきたブランケットを再びアリアドネに掛けようとして、ライナスはピタッと手を止める。
「いやいやいや、落ちたブランケットを使ったらダメだ。新しいものに変えさせよう」
廊下に控えているミアにブランケットの交換を依頼しようと、ライナスは汚れたブランケットを抱えて入口の方へ、一歩踏み出す。
「ライナス殿下、お待ちください。そのブランケットで大丈夫です。この部屋は毎日お掃除されているので、床も清潔ですから。実家で私の使っていた寝具なんて・・・」
ここで、アリアドネは言葉を止めた。
(待って!私は何を口走っているの!?)
「アリア、実家の寝具がどうしたって?――――言葉を止めないでくれ。気になるじゃないか」
「あ、いえ、くだらないお話しです」
「くだらなくてもいい。気になる」
「本当にお話ししても良いのですか?」
――――上目遣いでライナスの顔色をうかがう、アリアドネ。
「ああ、遠慮なくどうぞ」
ライナスは心配いらないと微笑む。
「実家ではそのブランケットよりも清潔ではない寝具を使っていました」
「床に落ちた物よりも汚いものを使っていたということか?」
「そういうことです」
アリアドネの凛とした声がライナスの耳へ届く。
実はアリアドネが今までに実家で受けてきた虐待の数々を、ライナスは概ね把握している。情報源はラーシュ子爵の事件の取り調べ報告書と、バーゼル公爵の持つ独自ルートからの調査書だ。
彼は今までアリアドネの前で、彼女の実家にまつわる話題は極力避けてきた。それは彼女が過去に受けて来た心の傷を抉りたくなかったからである。
でも、これから、彼女と人生を共にするなら・・・・。アリアドネのことを本当に心配しているのなら・・・・。避け続けるだけではダメだ。
ライナスは覚悟を決めた。
――――まずは彼女の抱えている心の傷を知り、しっかりと受け止めるところから始めよう。
「この際、君の過去を洗いざらい聞かせてくれないか? 辛いことや苦しいことを全部吐き出せ」
「吐き出す?」
「そうだ。全部、今ここで吐き出して、新しい人生を始めるんだ」
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