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赤ずきんを被って森へ入ったら、銀狼が助けてくれました(継母と双子の妹にはもう懲り懲り)  作者: 風野うた
第二章 ブリシア公爵家のアリアドネ

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63/146

63 忠誠 中

楽しい物語になるよう心がけています。

どうぞ最後までお付き合いください!!


 騎士団は土砂崩れの全貌が見渡せる場所で、今後の補修方法について、同行した専門家の意見に耳を傾けていた。


 馬車から間一髪で飛び降りた御者は少し離れた場所で、樹木の根元に背中を預けて座っている。彼の側には皇宮から駆けつけた騎士団所属の医師がいた。彼は険しい表情で御者の腕を確かめている。


 診断の結果、御者は右足首の捻挫に加えて、右手首も骨折していた。医師は彼に『応急処置はしておくが、都へ戻ったら、すぐに手術をする必要がある』と告げた。


 御者はうなだれる。そこまで酷いとは思ってなかったからだ。


 そして、その横で、ライナスはミアに捕まっていた。


 彼女は馬車を停めている場所(斜面の真ん中あたり)から、見ている方がハラハラとしてしまうような危ない足取りで、ライナスたちのところ(斜面の下の方)まで降りて来たのだ。


「ミア、どうしてその点(裸)にいつまでもこだわる?」


 ライナスが『(裸になった)理由は答えられない』と突っぱねても、ミアは執拗に聞いて来る。


「(銀狼の件は国家機密だ。何度聞かれても、簡単に教えるわけにはいかない。しかし・・・、問題はミアが引き下がりそうにないということだ。これ以上、立ち向かってこられたら・・・、騎士団の目もあるだけに、罰を与えないといけなくなってしまう。あの時のように口に布を詰め込むわけにもいかないし・・・)」


―――遠巻きに様子を窺っている騎士団員たちは内心ヒヤヒヤしていた。


 いつものライナスなら、もうキレていてもおかしくない状況だったからだ。


「分かった、どうしてもというのなら・・・。ミア、ここで忠誠を誓え」


 ライナスは『皇家に命を捧げるほどの覚悟があるのか?』と、ミアに問う。


「(私に忠誠を誓えば、一介の侍女から皇太子専属の侍女に昇格したとして、銀狼の秘密も話してやれる。ミア、私の意図を汲み取ってくれ)」


「え、私が殿下に忠誠を誓うのですか!?」


 『どうして、忠誠なんかが必要なのよ!?』と、ミアは手のひらをひたいに当てて、十秒ほど考える。そして・・・。


「嫌です」

 

 彼女はキッパリと断った。


 数名の騎士団員から『えっ!?』という声が漏れる。


「お前は・・・」


 ライナスは呆れて言葉を失う。


「(助け舟のつもりだったのだが、見事に沈められてしまった・・・)」


 一方、騎士たちは別の理由でシンと静まり返っていた。


―――ライナスから『忠誠を誓え』と求められることがどれくらい名誉なことなのか、皇帝に忠誠を誓っている騎士たちは知っているのだ。


 ピリピリとした空気が漂い出す。


 ミアは騎士たちの怒りを感じた。それでもミアはライナスのことを信用していないので、彼に忠誠を誓うつもりはない。


 仕方なく、彼女は妥協案を申し出る。


「忠誠がどうしても必要というのなら、私はアリア様に誓います。殿下のお妃さまになられるのですから、忠誠を誓った侍女がいても問題ないですよね?」

最後まで読んで下さりありがとうございます。

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