49 甘いものが好き 下
楽しい物語になるよう心がけています。
どうぞ最後までお付き合いください!!
「甘いものが好きな男はダメか?」
ライナスは悲し気な表情で彼女に尋ねた。
「いいえ、ダメではないです。カ、カスタードプリンは私も好きです!」
「そうか。それなら、用事が済んで国に帰ったら、私の一押しの店へアリアを連れて行こう」
「はい、是非!」
(――――つい即答してしまったけれど・・・、これって、ライナス殿下とふたりでプリンを食べに行くってことよね?――――うーん、皇子と侍女がふたりでお出かけするって、アリなのかしら・・・。ミアに確認してからお返事した方が良かったかも知れないわね)
彼女は安易に約束してしまったことを後悔する。自分の立場をもう少し考えるべきだったと・・・。
「話を戻して悪いが、銀狼へのお礼とは・・・」
「すみません。サプライズにしたいので詳しいことは言えません」
首に巻くバンダナを渡すだけなのだが、ここまで来たらアリアドネも引けない。
「そうか・・・」
ライナスは顎にこぶしを手を当てて、考え込む。
「(これは正体を明かすチャンスなのではないか?今、ブリシア公爵家へ向っているところだし、先に真実を伝えておいた方が今後のためにも・・・)」
今回、ライナスはブリシア公爵にアリアドネを妃に迎えたいと打診するつもりだ。
ところが、アリアドネには求婚の意志どころか、好意を持っていることすら伝えていない。だからこそ今、正体を明かして求婚すれば、全て上手く行くのではないかと閃いたのである。
「(幸い、私も銀狼も彼女に嫌われていないようだし、ここは思い切って・・・)」
「アリア、実は・・・」
ガタ!ガタガタ。突然、馬車が激しく横に揺れた。
――――ライナスはハッとする。
「アリア!脱出する!!」
危険を察知したライナスはアリアを片腕に抱えてドアを蹴破ると外へ飛び出す。
ゴー、ガタ、ガラガラガラ、ドーン、ドドドドドドド、ドーン、ドド・・・・。
どうやら雨で地盤が緩み、土砂崩れが発生したようだ。周辺を素早く確認し、ライナスは安全な場所へアリアを下ろす。
馬車は土砂に流されてしまった。御者の安否は分からない。
「アリア、ここに居てくれ。御者を探して来る」
「探してくる?――――いいえ、ダメです。足元が緩んでいて危険です!」
アリアドネはライナスのジャケットを掴む。
「私なら大丈夫だ。アリア、先に嘘を吐いていたことを謝りたかったのだが・・・」
ライナスは一瞬で銀狼に姿を変える。アリアドネの掴んでいたジャケットはひらりと地面へ落ちた。
「!!!!!」
「あなたの知っている銀狼は私だ。詳しいことは後で話す。今は救助を優先する」
(は!?ライナス殿下が銀狼になった!!??で、今、喋ったよね!?――――ど、どういうことなのかしら???ラ、ライナス殿下って、人間じゃないの??んんんっ???ん~?)
ショックで声の出ないアリアを置いて、ライナスは馬車が流された方向へ全力で駆け出した。
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