44 亡骸
楽しい物語になるよう心がけています。
どうぞ最後までお付き合いください!!
ライナスが怒りを露わにしている。
――――ゴホン。アシュレイはわざとらしい咳をした。
「殿下、次は・・・、私がお話しをしても宜しいでしょうか?」
「ああ・・・。―――アリア、申し訳ないが、こちらでブリシア公爵家のことを少し調べさせてもらった。ジョナサンもアシュレイの報告を一緒に聞いて欲しい。そして、間違っていることがあれば指摘してくれ」
ライナスの言葉にアリアドネとジョナサンはコクンと頷く。
「では、お話しいたします」
アシュレイは隣国で調べて来たことを話し始める。
ブリシア家はピートアイランド王国の王家と血縁のある公爵家だ。
当代の公爵にはパシャという一人娘いた。本来なら、美しい容姿と高貴な血筋を持つ彼女は社交界の華となるはずだった・・・。ところが、彼女は社交界に受け入れてもらえなかったのである。
その理由は彼女の魔力属性が土だったから。
土地の痩せているドラクロア帝国では、豊穣をもたらす者と言われる土属性を保つ者は重宝される。
一方、ピートアイランド王国は元々実り豊かな土地が多く、土属性の魔法をあまり必要としていない。
その上、魔法属性に独自の序列をつけ、土属性を一番卑しい属性として馬鹿にしていると教皇は言った。
そのため、結婚適齢期を迎えてもパシャには縁談の申し込みが全く来ず、ブリシア公爵一家は途方に暮れてしまう。
苦肉の策で、未婚子供なしの一人娘へ家督を渡したとしても、次代に繋がらないのなら意味がない。
そんなある日、ブリシア公爵家へ縁談の申し込みが舞い込んだ。相手は隣国のクロ―シェ伯爵家だった。
公爵は悩んだ。
王族と血縁関係の公爵家の娘を隣国、しかも格下の伯爵家に嫁へ出して良いのだろうか・・・と。
とはいえ、ピートアイランド王国の社交界が今後、土属性のパシャを受け入れてくれるという可能性はゼロに等しい。
―――ならば、隣国でもいいのでは?
己の魔法属性に囚われず、彼女が幸福な人生を歩めるのなら・・・。結局、公爵は常識を覆し、王家の血を引く娘を隣国の格下家門に嫁がせることを決意する。
前クロ―シェ伯爵は公爵夫妻の前で『豊穣を約束するパシャ嬢を嫁に迎えられて嬉しい』と喜び、大聖堂へ多額の寄付もしてくれた。
彼の息子なら、娘をきっと幸せにしてくれるだろう。
そう確信して、ブリシア公爵夫妻は笑顔でパシャを送り出したのだが・・・。
―――約一年後、公爵夫妻とパシャは無言の再会をすることになる。公爵は深い悲しみと憤りで頭がおかしくなりそうだった。
「パシャ様の亡骸は酷くやせ細っていて、肌は紫色に変色していたそうです。そして、彼女の隣には娘の亡骸と記載された革袋に血塗れの肉の塊が詰めれられていたとのこと。ショックのあまり公爵夫人はその場で気を失われ・・・」
ガンッ!!!
―――怒りが頂点に達したライナスは目の前のテーブルをこぶしで破壊した。
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