43 やるせない
楽しい物語になるよう心がけています。
どうぞ最後までお付き合いください!!
ある日、アリアドネは『予備の燭台を地下倉庫から取って来て欲しい』と執事に頼まれた。そして、彼女は地下で鉄格子に囲まれた部屋を見つけてしまう。
「鉄格子の扉が開いていたので中に入って、置いてあるものを調べてみました。すると、古い木箱の中に人形と母の日記が入っていました。最初は開いてみてもいいのだろうかと少し悩みましたが・・・、結局、読んでしまいました」
アリアドネは右腕を左手で摩り、気まずそうにな表情でライナスの方を見る。
「それは見ていいんじゃないか?君の母親の日記だろう?」
彼は右腕を摩っているアリアドネの左手の上に自分の右手を置いて優しくトントンと叩く。
(ライナス殿下の一言で心が軽くなっていくわ。私は間違っていないと誰かに言って欲しかったのかもしれない・・・)
アリアドネは小さく頷いてみせる。ライナスはそれを受けてうんうんと頷き返す。
傍から見ていると恋人同士のようなイチャつきっぷりだ。アシュレイは主の無自覚な行動に眉を顰める。
「(おいおいおい!私の居ない間に二人の距離感が近づいてないか!?)」
まだライナスから詳しい話を聞けていないアシュレイはやきもきしてしまう。
「日記を読んで、隣国に祖父母が居ることを知ったのです。実は私の物心がつく前にお母さまの私物は全て処分されていて、肖像画も見たことがなくて・・・。――――ジョナサン様、私はお母様に似ていますか?」
「ええ、ブリシア家にあるパシャ様の肖像画にあなたはとても良く似ていますよ」
「そうなのですね。良かった・・・」
アリアドネは胸に手を当て、安堵の笑みを浮かべる。母親とのつながりを少し感じられて嬉しかったからだ。
――――聞けば聞くほど・・・。可憐なレディにしか見えないアリアドネの人生の壮絶さに・・・、男性陣はやるせなさを感じてしまう。
ライナスはミヤから彼女の背には無数の傷があると報告を受けていたが・・・。今回はアリアドネ本人がマティルデからムチで打たれていたとハッキリ口にした。
――――あの継母は一体何なんだ!!ライナスは腹が煮えくり返っている。穏やかで愛らしいアリアドネに鞭を振るうなんて、到底許すことは出来ない。
「(あの女にアリアドネの受けた痛みと同じもの、いや、それ以上の痛みを味合わせてやる!!!)」
アシュレイは主の背後から、メラメラと怒りの炎が立ち昇っていることに気付いてしまう。
「(ヤバい、殿下が猛烈に怒っている・・・)」
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