4 ブリシア家
楽しい物語になるよう心がけています。
どうぞ最後までお付き合いください!!
上質な絹をふんだんに使ってあるブルーのエンパイアドレスを身に纏い、アリアドネは優美なカーテシーをした。
「君の名は?」
「アリアです」
念のため、偽名を告げておく。
「家名も教えてくれないか?カーテシーをしたということは貴族なのだろう?」
失敗した・・・。しっかりとした挨拶をしてしまったのが仇となった。平民を装うつもりだったのに・・・。
出会い頭に質問を重ねてきたのはこの国の皇子ライナスだ。彼は気性が荒く人を寄せ付けない狼皇子と世間では呼ばれている。
今初めて会ったが、狼皇子と呼ばれるほどの荒々しさはなく、どちらかと言うと美しい男という印象だ。特に腰まであるサラサラの銀髪はかなり目を惹く、そして、細身で身長はかなり高い。
「――――ブリシア家です」
熟慮した結果、アリアドネは嘘を吐くことにした。
ここで本当の名を告げて父を呼び出されてしまうと、また継母たちから激しい折檻を受けることになるからだ。
「ブリシア家・・・、ピートアイランド王国のブリシア公爵家か?」
「――――は、はい・・・」
アリアドネは身バレを恐れて、母の実家の家門名を口にしたのだが・・・。
――――ブリシア家が想像以上に高位貴族であるということを知って動揺した。
皇子はアリアドネの顔色が悪くなっていく様子を見て、大きな勘違いをしてしまう。
彼はアリアドネの前に跪いた。
「君は国境を越えてしまったと気付いてなかったのだろう?」
心配そうな眼差しで彼女の顔を見つめている。
「――――はい、驚きました」
思いがけず、皇子が彼女にとって大変都合の良い方へ勘違いしてくれたので、アリアドネは話を合わせることにした。
「挨拶が遅れた。俺はドラクロア帝国の皇子ライナスだ。今朝は俺の銀狼が君を驚かせてしまったと聞いている。お詫びに責任を持って君の家まで送ろう」
ライナスはアリアドネに向かって手を伸ばす。
アリアドネは何も考えずに彼の手を取った。ライナスは彼女の手の甲に口づけを落とす。
「!!!」
ライナスは美しい所作で立ち上がり、アリアドネに微笑み掛ける。
「本来、俺の銀狼を見た者はこの城から帰れないのだけど、君はこの国の民ではないからね。今回は例外とする。だから、今朝見たことは決して口外しないで欲しい」
「は、はい!口外したりはしません」
アリアドネはゾッとした。
皇帝一家は神獣と契約しているという噂話を使用人から聞いたことがある。あれは都市伝説ではなく真実なのかもしれない。
隣国の者だから特別に見逃してあげるという言葉の裏にあるのは、この国の民だったら口封じで殺すということだろう。
アリアドネは引きつった笑みを浮かべて、絶対にこの国の民だとバレないようにしなければと何度も心の中で呟いた。
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