32 本能
楽しい物語になるよう心がけています。
どうぞ最後までお付き合いください!!
ピリピリとした緊張から解放された皇宮捜査官オットーはラース子爵家へ急いだ。
ラース子爵家の邸宅はイザム地区という歓楽街の一角にある。一般的に治安の良い場所にタウンハウスを置く貴族が多い中で、これはかなり珍しいケースだ。
「この時間はロクな輩が居ないな・・・」
深夜の街には泥酔した者が路上へ転がっていて、小窓に腰掛けた客引きの女は、通りを歩く男たちに手招きをする。
オットーは先日、幼馴染と結婚したばかりなので、正直、こういう場所にはあまり足を踏み入れたくない。
「殿下の命令だから、仕方がないけど・・・」
彼は女たちと視線を合わせてしまわないよう、注意しながら、先を急ぐ。
「あの角を入って、次を右に入る・・・」
オットーは門番の所にあった地図でラース子爵の屋敷の場所を確認し、ルートを頭に入れてきた。
角を曲がり、馬車が辛うじて一台通れるくらいの通りへ入る。
うつろな目でフラフラと彷徨っている人々。建物の上から監視しているような視線。
―――ピリピリと肌で感じる怪しげな空気・・・。
「おいおいおい、まさか、ドラッグか!?」
本能がこの先は危険だと叫び声を上げる。
「一度、戻った方がいいかもしれ・・・」
ガツッ。首の後ろに衝撃を感じたところで、オットーの意識は途絶えた。
♢♢♢♢♢♢♢♢
その頃、皇宮捜査局ではコールマンに連れて来られたフランツが、青い顔をして立っていた。
理由はひとつ、ライナスのことが怖いからである。
「わ、私はどうなるのでしょうか?」
「話を聞きたいだけだ」
「―――わ、分かりました」
―――この時、フランツは『ジャスパー・カナディへの伝言をクラウスに頼んだだけなのに・・・』、『俺は皇子の客人投獄事件とは無関係なのに・・・』と心の中で嘆いていた。
ところが、ライナスは彼の予想とは違う方向から攻めてくる。
「君は私の客人の容姿をどこで知った?」
「えっ・・・」
ライナスは皇太子宮に囲っていたアリアドネの容姿をなぜ、フランツが知っていたのかが気になっていた。
この二日間で彼女と接触したのは、ライナスの側近と皇太子宮の専属侍女だけだからだ。
「申し訳ございません」
フランツはその場に崩れ落ちる。
「顔を上げろ!―――謝る前に理由を言え!」
「――――」
「さっさと言え!!!」
「―――覗き見ました」
フランツの告白は部屋の温度を一気に下げた。
最後まで読んで下さりありがとうございます。
面白いと思ったら評価、感想のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
ブックマーク登録もお忘れなく!!
誤字・脱字等ございましたらお知らせください。




