28 アリアドネの手紙
楽しい物語になるよう心がけています。
どうぞ最後までお付き合いください!!
ブリシア公爵閣下、公爵夫人へ
突然のお手紙をお許しください。
私はドラクロア帝国、クロ―シェ伯爵家の長女アリアドネと申します。
お恥ずかしながら、私はつい最近まで、母のことを何一つ知りませんでした。もちろん、出自のことも。
少しクロ―シェ伯爵家の内情をお話いたします。
母が私を産んで亡くなった後、父は婚前から交際していた女性と再婚しました。
その後、双子の妹が誕生し、私の後継者として役目は終わり、クロ―シェ家の使用人として生きて行くことになりました。
クロ―シェ伯爵と私の関係は父と子ではなく、ご主人様と使用人です。当然、私的な会話などなく、クロ―シェ伯爵から母のことを聞いた記憶もありません。
今回、筆を取ったのは、私が母の日記を偶然、倉庫で発見し、お爺さまとお婆さまの存在を知ったからです。
『私に祖父母が居る・・・』
そう考えるだけで胸がいっぱいになり、涙が零れました。
ずっと私には家族と呼べる人が居なかったからです。
それから毎日、ピートアイランド王国の方を眺めて、お二人に思いを馳せていると、一目でもお会いしたいと思うようになりました。
とうとう我慢出来なくなった私は、二日前の明け方にクロ―シェ伯爵家を出ました。ピートアイランド王国へ向かうために・・・。
ところが、出発して間もなく、森で銀狼と遭遇し、私は気を失ってしまいました。
幸い、たまたま通りかかったライナス皇子殿下が助けて下さり、ケガもなく無事でした。
今はドラクロア城に滞在して、侍女の方々のお手伝いをしています。
――――実はドラクロア城に来た時に、私はひとつの罪を犯しました。
身元の確認の際に『ブリシア家の者です』と名乗ってしまったのです。
これはクロ―シェ伯爵家へ連れ戻されたくないという一心で、口にした嘘です。
しかし、今はとても後悔しています。
とてもお優しいライナス皇子殿下に、どうして私は嘘をついてしまったのかと。
ライナス皇子殿下なら、どんな話でも、きっと最後まで聞いて下さったはずなのに・・・。
いずれにせよ、勝手に家門名を使用してしまい、申し訳ございませんでした。
そして、最後に・・・。
おじいさま、おばあさま、甚だ自分勝手なお願いであるというのは承知しておりますが、私と一目でも構いませんので会っていただけませんか?
ご了承いただけるのでしたら、お手紙でお知らせください。
難しいようでしたら、ご返信は不要です。
近々、私はライナス皇子殿下に嘘を吐いたことを告白し、罪を償うつもりです。
今日も明日もその先も、お二人の幸せを祈っています。
――――ドラクロア城より、愛を込めて・・・。
パシャの娘、アリアドネ・クロ―シェより。
最後まで読んで下さりありがとうございます。
面白いと思ったら評価、感想のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
ブックマーク登録もお忘れなく!!
誤字・脱字等ございましたらお知らせください。




