12 クロ―シェ伯爵家の双子 1
楽しい物語になるよう心がけています。
どうぞ最後までお付き合いください!!
バーゼル公爵の言った通り、煌びやかに着飾った双子が質素な応接室に現れた。
「ごきげんよう。バーゼル公爵様」
先に馴れ馴れしく話しかけて来たのは赤髪をグルグルと縦に巻いている女だった。そして、彼女の隣に立っている黒髪の女は胸をやたらと強調したドレスを着ている。
ライナスが彼女たちを見て感じた第一印象は『性格が悪そう』。また同時にこの双子に己が魅了される可能性はないと確信した。
―――この二人はライナスの好みとは程遠い・・・。というか大嫌いだ。愛らしいアリアドネをいじめていたのだから・・・。
「ごきげんよう。お嬢さん方」
バーゼル公爵は数分前とは打って変わって、誠実そうな雰囲気を醸し出す。
―――変わり様があまりに酷くて・・・、ライナスは気を抜いたら、笑ってしまいそうだった。
「大変なことがあったそうだね」
ライナスの気も知らず、バーゼル公爵は心配そうな眼差しで、彼女たちに語り掛ける。
「そうなのですわ!!」
ここで、赤髪の女を押しのけて、黒髪の女がしゃしゃり出て来た。
ちなみに黒髪の女は妹のナディア、そして、赤髪の女が姉でロディアという名前らしい。
二人はこの家の姉妹で、大金を持ち逃げしたのは彼女たちの身の回りの世話をしていた女なのだという。
「わたくしが殿方からいただいた宝石も持ち逃げされてしまいましたのよ。ああ、本当に飛んでもない女だわ。公爵様、そんな悪人は是非、世のため人のため、死刑にして下さいませ!!」
―――金品を持ち逃げされたとはいえ、普段、身の回りの世話をしてくれていた人を死刑にしてくれなんて・・・。
ライナスは双子の身勝手な主張に呆れてしまう。
「伯父上・・・」
設定上、甥ということになっているライナスはバーゼル公爵を小声で呼ぶ。
バーゼル公爵は顔を双子に向けたまま、小さく頷いた。これは・・・、このまま話せということだろうと判断し、ライナスは内容を簡潔にして、彼に伝える。
「(彼女たちは)使用人とトラブルでも(起こしているのではないか)?」
バーゼル公爵は返事代わりに自身の膝をトントンと人差し指で叩いた。
これはもう少し話を聞きましょうという合図である。ライナスは彼の指示に従い、もうしばらく黙って話を聞くことにした。
「―――贈り物を持ち逃げされたのは、さぞ辛かったことでしょう。もう心配は要りません。私が解決してあげますから」
耳障りの良い言葉を重ね、バーゼル公爵は彼女たちの心を、一気に掴んでいく。
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