12 ドゥダール
今回も長め。
コル君視点です。
ユキネは「よくこのチームワークで……」なんて言ってたけど、本当にその通りだと思う。今まさにそう感じている。なんせ、全員が疑心暗鬼だ。さっきからにらみ合い、分かれ道になる度に喧嘩、トラップについても同様だ。ユキネが「まあまあ」と宥めていなかったらきつかっただろう。
「このダンジョン、分かれ道多いしー!」
「ダンジョンなんてこんなもんですよ」
「うるさいしー!」
「う~ん、とりあえず虱潰しが一番じゃないかい?」
「もー、全然進まないしー!」
探索者のジョブがあるなら、こういうことは日常だと思ってたけど、今日のアイナは文句が随分と多い。反対にアリエントさんはチクチクと理屈でアイナに反論している。言葉に棘があり、どうみてもみんな、苛ついている。僕としても、ちょっと二人の様子は見るに堪えない。
「二股なんだしー、二手に分かれた方が良いしー」
「だったらそうすればいいですよ。ただし、私はあなたと一緒の道は断固お断りです。能力的にも分かれた方が良いですから」
「んじゃあ、グッパーすっか」
「ぐっぱー?」
「そうそう、グーとパーで二手に分かれる。グーあっち、パーこっち。グー、とパー、でわっかれーましょっ」
「やった、ユキネたんとだ!」
「キモイしー」
「いくら何でも、幼女の悪口はいけませんよ!」
「幼女のじゃないしー。アリエントさんの悪口だしー」
「もういいですよっ!ユキネたん、行きましょう!」
「ウッソだろロリコンかよ……」
本当に、よく今まで生きてるなー、このチームワークで。
「やったー、こっちで正解だしー!」
「良かったね」
ウキウキで進んでいくアイナ。その先には、ボス扉。いつの間にか二十階まで来ていたらしい。
「ざまーみろ幼女趣味ー!」
「え、もう行くのかい?二人を待った方がいいんじゃ……」
「アリエントさんも強いからダイジョーブだしー!ユキネちゃんは心配だけどー」
「う~ん、じゃあ少しだけ待ってみて、来なかったら入ろうよ」
「さっさと行きたいしー!どーせ待ってみて来なかったら来なかったで探すべきとか言うしー!」
反論出来ない。結局突撃することに決まった。
「さー、ここのボスはどんなやつだしー!」
「こんなやつだよ、アイナちゃん」
そこにいたのは、ユキネだった。アリエントさんと、もう一つの道に進んだはずなのに……。アイナはさっきのユキネの言葉を気にも留めていないようで、何だか違和感がある。
「ユキネ、幼女趣味はどうしたしー?」
「ああ、それなら、トラップにかかってしばらく動けないよ」
「ざまーみろだしー!」
うん?アリエントさんがトラップにかかって、それで一人で先に来た、と。あれ?おかしくない、筈だけど。さっきからモヤモヤする。
「ボスはパーティメンバー全員がいないといけないみたいだから、ここで待ってよーよ」
「分かったしー」
「今のは、明らかにおかしくないかい?」
さすがにここまで矛盾してるのはおかしい。
「どゆことよ、コル君」
「さっきユキネはボスのことを知っているような発言をしてたじゃないか」
「あんなの、ただのノリよ、ノリ」
「気にしすぎだしー」
おかしい。何かが違う気がする。
『トラップにかかってしばらく動けないよ』
『みんなはあたしの生命線だから』
『パーティ全員いないといけないみたい』
……あれ?ボスの出現条件は誰かが部屋に入っていて、ボスがリスポーンしていること。ボスもしくはそれに準ずる何かがある。これは例外なく同じ。十階には台座があったけど、ここには何もない。
「ねえ、ユキネ、外で待ってていいかい?」
「いや、ボス部屋だから出られないよ」
「ボスがいないなら出れる筈だろう?」
「急にどうしたしー、コルミリョー」
「だって、変じゃないか。ボスもしくはそれに準ずる何かの出現条件に例外は無いんだろう?それを置いておいても、戦闘力皆無のユキネがアリエントさん抜きで突破しようなんて無理だろう?」
「それは……」
「ヒュー、みんな。いくよ。号令!『突撃』!」
「なっ!?コル君!?」
「うるさい、偽物。死ね」
「……お見事」
その瞬間、ユキネ(偽物)は、灰になって消えた。
ユキネがバハムートと話してるときの出来事ですね。




