5 ヤンデレのゲイとかパワーワードすぎません?
さて、騎士団長の息子さんもとい新生さんを連れて帰ります。
彼にはハーゲイ伯爵と恋人になっていただきましょう。
どう恋人になっていただくかというと、まずは居酒屋的なところでお友達になっていただきます。
もちろん騎士団長の息子ではなく新生さんとして。
いえ、もう見た目から変わっているので大丈夫でしょう。
なんで監禁されていたはずなのにこんなにマッチョになっているのですかね。
不思議です。
で、ハーゲイ伯爵なのですが、決まって城下町の居酒屋に飲みに行きます。
警備隊などが多い酒場です。
貴族が行くようなところではないのですが、彼はこのお店を気に入っているようです。
一応勧誘を目的としているのですが、警備隊の筋肉を見て悦に浸っている部分があります。
無意識下でこちらが本命でしょう。
そこで飲んでいるハーゲイ伯爵に声をかける新生さん。
そのほとばしる筋肉はハーゲイ伯爵の目に留まったようです。
新生さんとハーゲイ伯爵はあっという間に仲良くなりました。
まあ、二人の相性はいいですからね。
私はそういうのも視ることが出来ます。
しかも、ハーゲイ伯爵情報も教えているので完璧です。
と、ここでハーゲイ伯爵は新生さんを勧誘しました。
まあ、見るからに即戦力ですもんね。
思っていたよりも早くに勧誘されましたね。
もう少し時間がかかるかと思いましたけど。
これでハーゲイ伯爵と新生さんの距離は縮まります。
ここからは怒涛の展開です。
ハーゲイ伯爵の部下となった新生さん。
部下と上司の関係ですが友人関係は続いています。
さらには新生さんのカミングアウト。
もう我慢できないと襲い掛かります。
拒みながらも最後には受け入れるハーゲイ伯爵。
そして開かれる新しい扉。
無事ハーゲイ伯爵は新しい自分を手に入れたのです。
......ひどかった。
自分で画策しておいてなんですがとてもひどいですね。
さて、ここからはもう一つの扉を開いてもらいましょう。
実はハーゲイ伯爵なのですが、同じ派閥のとある侯爵の事が好きなんですよね。
倒錯した愛情と共に。
監禁して好きなようにしたいと思っているんですよね。
もちろんこちらも無意識下ですが。
本人は侯爵の事を人として尊敬しているだけ。
そんな感情を持つなんて以ての外。
こんなこんな感情を持つなんて侯爵に申し訳ない。
贖罪として侯爵のために粉骨砕身働かなければ。
これがハーゲイ伯爵の封じられた本心です。
しかし、新生さんのおかげで箍が一つ外れました。
さて、ここから誘導していきす。
「ごきげんようハーゲイ伯爵」
「これはこれはシスティーナ王女殿下。わたくしに何か御用ですか?」
うーん、取るに足らない私に対しても紳士ですね。
いい人です。
ええ、ええ、わかっています誰にでも欠点はございます。
しかし、それは恥ずべきことではございません。
「少しご相談したいことだございます。お時間よろしいですか?」
「ええ、王女殿下の頼みとあらば」
「ありがとうございます。ここではなんですので場所を変えましょう」
場所を変えて密偵がいないか確認する。
大丈夫ですね。
「それで、どうされました?」
「あの、私、見てしまったのです」
「何をですか?」
もじもじしてから恥ずかしそうに言う。
「その、伯爵と男の人が、その、せ、接吻をなさっているところを」
もちろんそんなの見ていない。
見たくありませんでしたし。
それでもそのことは知っているのですよ。
そうするように命令したのは私ですから。
「お、王女殿下、そ、それは」
冷汗をかくハーゲイ伯爵。
まあ、ふつうは異端扱いですからね。
バレたら最悪処刑です。
辺境伯の所は寛容ですが。
むしろ奨励していますからね。
「私、素晴らしいと思います」
「え?」
ポカーンとする伯爵。
「私、愛というのはただ一つの道だけじゃないと思うのです。人がそれぞれいるように愛にも人それぞれです。確かに同性同士の愛は否定されています。しかし、それでもなお人目を忍んで貫くその姿勢に私は感服いたしました」
とまあ、応援していますよというような事を何度も言う。
これで私という理解者が出来ました。
最初は青い顔だったハーゲイ伯爵も喜んでいます。
完全に私に対して心が開いていますね。
最後に私が王なら寛容になれるのにとほのめかして今回は終了です。
良き理解者を得たハーゲイ伯爵。
誰かを愛することは悪い事じゃない。
それを植え付けることが出来ました。
ここから次第に膨れ上がっていくでしょうね侯爵に対する感情は。
トドメの一手を刺しましょうか。
新生さんとは別れてもらいます。
新生さんに呼び出されるハーゲイ伯爵。
そこで別れ話を切り出されます。
「ど、どうしてなんだ! 僕たちはあんなにも愛し合っていたのに!!」
「ごめんなさい。でも、わたし、もう無理なの」
字面だけ見たら普通ですが、これ、男と男ですよ。
それもムッキムキの。
「だってあなたの心には別の男がいるもの」
「なっ! そ、そんなことはない!!」
「いいえ。私にはわかるわ。あなたが本当に愛しているのはその男だけ」
「ち、違う!! 僕が本当に愛しているのは」
「もう、自分に素直になって。あなたは散々自分に嘘をついてきたのでしょう? 私はあなたが幸せなら幸せなの。さようなら」
はあ、別れました。
見るに堪えませんね。
見た目だけなら元王太子のお兄様の方がマシです。
さて、彼氏に振られて意気消沈のハーゲイ伯爵。
そこでたまたま私と出会います。
「どうされました?」
「王女、殿下」
「何かお困りのようですね。私が相談に乗りますよ?」
何時ぞやの部屋に向かって話し始めます。
ぽつりぽつりと。
ふふふ。
私は聞き上手です。
今の彼なら何でも話してくれます。
誘導すれば侯爵の事も。
「そうですか。あなたが本当に愛していたのは侯爵だったのですね」
弱っている彼にさらに言葉で誘導します。
あなたは間違っていない。
それも愛です。
愛さえあれば許されることです。
しかし世間の目もあります。
今は隠れてやるしかありません。
大丈夫、私に任せてください。
その代わり今度は私の味方になってくださいね。
ええ、ええ、それをしても許されるのです。
私とあなたの二人だけの秘密ですよ。
では、侯爵を監禁しましょうね。




