18 大陸征服
頑張った。
あれから数年経ちました。
今では私も立派な淑女です。
いやあ、ここ数年本当に忙しかったですね。
外交で大陸の各国を渡り歩いていましたから。
まあ、その途中でどこかの国のトップが入れ替わったり、戦争が終わったり、私を尊敬すると言う人が増えたり、婚約破棄がどこかで起こったりとありましたが些細なことでしょう。
おかげでたまたま私が理想とする状況に近づいて行ったりしましたが、きっと私の日ごろの行いが良いからですね。
神様が見ていてくれたのでしょう。
まあ、そんな感じで外交をしていたら、大陸各地で私の名声が広まりました。
一部では私を悪魔の女王と呼んでいるそうですが、おおむねは好評です。
ぶっちゃけその国の王侯貴族よりもよっぽど人気があったりしますよ。
まあ、性格は良いし見た目もいいですからね。
お母様譲りの可愛らしい顔立ちですし。
性格は文句のつけようがございません。
いくつ結婚を申し込まれたことか。
全部断りましたが。
とまあ、こんな感じでここ数年は外交に明け暮れていましたが何も人気取りのために外交をしていたわけではございません。
私が各国を渡り歩いていた理由は世界初の大陸会議を行うためです。
この世界の文明具合からすると実現はほぼ不可能だったでしょう。
しかし、私の努力が実り、この度大陸会議が開かれることが決定しました。
ああ、ちゃんとすべての国が参加しますよ。
何のために大陸中を渡り歩いたと思っているのですか。
参加してもらうようにお話するためですよ。
ふふふ。
大陸会議は大小かかわらず大陸のすべての国が一堂に集まってする会議です。
私は主催者としてそこである提案をするつもりです。
世界を変える提案を。
きっと皆さん私の提案に感銘を受けて賛成してくれるでしょう。
皆さんが手を取り合って争いのない素晴らしい未来が待ち受けているのですから。
誰一人として反対はしないはずです。
誰一人としてね。
ふふふ。
という訳で開催されました大陸会議。
会場は聖都の中心である大聖堂です。
基本的にこの世界は移動手段に乏しいですが、少人数での移動なら結構発達しているんですよ。
例えば飛竜に乗ったりと。
だからこの世界でも大陸会議なんて開催できたのですが。
そして大聖堂に集まっているのは大陸中の国々の代表者たち。
すごいですね。
そう見ることのできる光景ではございませんね。
皆さんすごく偉そうです。
このような方々の中では私などただの小娘にすぎません。
なんせ最年少ですから。
まあ、冗談はさせおきましょう。
さて、始めましょうか。
大陸征服を。
ー▽ー
「皆様、ご静粛にお願いします。私は本会議を主催させていただきましたシスティーナです。よろしくお願いいたします」
そして始まる大陸会議。
もちろん主催したのは私なので私が会議を進めます。
とても面倒なのですが、各国の紹介と参加への感謝を述べます。
本当に時間も取られるし面倒ですが形は大事なので仕方ありません。
しかし、それも終わりました。
「さて、本日私がこの会議を主催させていただいたのには理由がございます。かねてより私はこの大陸で起こっている争いに憂いておりました」
些細なことで戦争が起きて、民はその犠牲になる。
一国の指導者としてそのことに私は涙を禁じえません。
どうして争いで解決しようとするのか。
どうして話し合いで解決しないのか。
争いは何も生みだしません。
最後に残るのは悲しみだけです。
そのような状況を私は見過ごせません。
例えば皇国と倭国です。
つい数年前まで両国は終わらない戦争に明け暮れていました。
キッカケは些細な事です。
しかし、時間が経つにつれ戦争は泥沼と化し、多くの犠牲者が出ました。
戦争の犠牲となった者たちは悲惨なものです。
戦死者は大量に出ました。
その者たちにも家族がいました。
親を亡くし、戦争孤児となった子供たちもいました。
そしてたくさんの子供たちが不幸となりました。
そのような悲しみの連鎖が続いてもまだ戦争は終わりませんでした。
しかし、私が間に立ち、話し合いを勧めました。
するとどうでしょうか。
争いで解決しようとしてなおも解決しなかった両国ですが、見事和平へと至りました。
そうです。
私たち人間は争いで解決しなくても言葉で解決することが出来るのです。
私はそれを誇りに思います。
国同士が手と手を取り合い、争いではなく、話し合いをしていくべきなのです。
というような内容の話を多くの人の心を震わせるように話します。
どのように話せば人を惹きつけるかなど私の目にかかれば容易いことです。
「そこで私は国家の垣根を超えた”リベラル連邦”の樹立を提案いたします」
ざわざわと喧騒が聞こえる。
まあ当然ですね。
「皆様お静かに。詳細についてお話いたします」
私の考える連邦について長々と話します。
そして、
「それでは皆様、連邦への加盟をご希望の方はご起立ください」
私がここで語ったことはすべて絵空事の夢物語です。
現実を見ていない小娘の発言でしかありません。
しかし、可憐な女王が平和を愛し、民の事を考え、この世界を豊かにしようとする姿はとても絵になります。
この姿を見れば大勢の方が感動するでしょう。
特に政治の知らない大多数の民衆には。
この歴史的快挙とも言える大陸会議。
当然テレビで流しています。
大陸中にばらまいたテレビで。
民衆は思うでしょう。
新しい時代の幕開けだと。
もし、仮に連邦に参加しない指導者などいれば、そのようの指導者など指導者と認めないでしょう。
何しろ争いを是として自分たちに犠牲を強要するのだから。
そして各国の指導者です。
彼らは3パターンに分けられます。
私を尊敬する者。
私を畏れる者。
そして私の傀儡となっている者です。
私を尊敬する者と私の傀儡は連邦に参加してくれます。
そして私を畏れる者です。
彼らは薄々とわかっています。
私が何をしたいのかを。
連邦に参加するという事は、指導者としての権力を保持したままにはなります。
しかし、自分よりも一つ上の存在が出来上がるという事です。
逆に言い換えれば王である自分が一つの国の枠組みの1つに下ってしまうという訳です。
そのような事プライドが許さないでしょう。
しかし、ここで連邦への参加を表明しないという事は戦争を是とするという事です。
そして先ほど言った通りこの会議はテレビで大陸中に放送されています。
参加を表明しなければ戦争を好む狂王の烙印が押されることになります。
それも自国を含めた大陸中に。
そのような烙印が押されれば反乱になりかねません。
もし、反乱にならずとも巨大となった連邦に押しつぶされかねません。
なんせ、帝国や公国と次々に参加を表明しているのですから。
この会場を提供した聖都も当然連邦の味方です。
この状況では連邦に参加するしか道はないのです。
「......ありがとうございます。皆様の平和を愛する心に私は感動しております」
結果、大陸全ての国が連邦に参加しました。
「それでは私システィーナは”リベラル連邦”初代大統領としてここに”リベラル連邦”樹立を宣言いたします!!」
当然、私が提案して最初の加盟国となったのですから初代大統領ですよ。
これにてお終い。
全て計画通りです。
そもそもの話、この会議が行われた時点で連邦が樹立することが確定していました。
何のために大陸中を渡り歩いていたと思うのですか。
平和を愛する女王であるというアピールと私の傀儡国家を増やすためですよ。
流石に大陸中の国家を私の傀儡国家とするのは時間がかかりすぎますし現実的ではございません。
なので、特に周辺国家に対して影響力のある国を傀儡とさせていただきました。
ヒロインちゃん大活躍でしたね。
その他にも御しやすい指導者は私を尊敬させるように仕向けたりしました。
そして何より平和を愛するというアピールとテレビをばらまくことに注力しました。
この連邦樹立だって平和のためという点が大きいですからね。
その大義名分を立てるために平和を愛しているというアピールは必要なのですよ。
あとテレビですね。
やはり情報拡散手段を握っているのは大きいですもんね。
民衆に対して必要な情報を的確に与えることが出来ますから。
例え他国でも私がテレビでカラスを白と言えば白になるでしょう。
そうなるように一斉に教育することが出来ますからね。
国は王侯貴族だけでは当然成り立ちません。
今回みたく、民衆がこの会議の内容を知っていればどう頑張っても隠すことはできません。
隠せないので民衆を裏切ることはできません。
この状況を作り出すことで大半の国を押さえることが出来ます。
それ以外にも弱みを握って脅せば何とでもなります。
そしてそれでも連邦に反対するような指導者はそもそもこの会議には参加していません。
ご退場願いましたからね。
つまり、この会議には連邦に参加を表明する指導者しか集まっていない訳です。
結果、すべての国が連邦に参加を表明し私は初代大統領となることが出来ました。
連邦の支配構造としましては、各国の指導者は基本的にはそのままその国での権力を保持しています。
が、それと同時に私をトップとする連邦政府が強い権限を留保します。
つまり、私が連邦に置いて非常に強い権力を有しているわけです。
それこそ誰も逆らえないくらいの。
樹立されたばかりの今でこそ微妙なところですが、時とともに私の権力も増していくでしょう。
なんせ大陸中統一国家”リベラル連邦”の大統領なのですから。
つまり、この大陸で私を頂点とした国の誕生です。
さて、連邦は樹立され、先ほど教会によって連邦が国家として認められました。
これにて大陸征服は完了です。
名実共に私がこの大陸の支配者となりました。
青い顔をしている人が何人かいますが、そのことにちゃんと気が付いているのでしょう。
しかしもはやどうしようもありません。
もうすべて終わっているのです。
覇権は私の手にございます。
ふふふ。
うふふふ。
うふふふふふ。
大陸中で歓声が響く中、大聖堂に佇む初代教皇の像がまるで新しい時代の幕開けを祝うかのように神々しく輝きました。
これにて第二章はお終いです。話飛びすぎだろと思うかもしれませんが、第3章があるので堪忍してください。
第3章ですが、まだなんも書いていないのでしばらく書き溜めします。そんなに長くないので早ければ1週間くらいで公開できればと思います。
その前に幕間を書く予定ですが。




