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42:解放された日

「……わかりました。過去の冒険者記録を引き抜くということはできませんが、私からギルドマスターにお話をしておきます。そして、今回の罰則もこのお話もなかったことに掛け合ってみます」


 そうしてもらわないと困るというか、なんというか。私の本業は芸者なんだから、こういうことをしているのがあり得ない話なんだよね。


「そうするのが普通だと思うんですが。私の本業だって、芸者で、冒険者登録をしているものの、それは、たまたま魔法が使えて、たまたま倒したレッドウルフを買い取ってもらうためであって、本業にするつもりはなかったんですよ?買取りができると聞いてから、お小遣い稼ぎ程度に魔獣を狩ろうかと思っていますけど、本気で冒険者になるつもりはありませんから!」

「お、落ち着いてください、ミネコさん。今回のことはこちらの不手際です。何も確認しないまま、レッドウルフを討伐した経歴のある記録者だけをピックアップして討伐体を編成しただけですから、今回は、しっかりとギルドマスターにお話をして、次からは、職業も確認するようにいたしますので」

「それができてないのがおかしいんですよ。全員が全員冒険者を目指しているわけじゃないんじゃないですか?生活のためにしている人もいるでしょうけど、私はあくまでも副業って形で、今は芸者の活動準備のために忙しいってところなんです。なので、これからは、冒険者ギルドから招集がかかっても、私は常に不参加というか、ボイコットしますのであしからず」


 強くそう言うと、私は、怒りが収まらないまま、メイランちゃんの宿に戻ったあと、スマホとスピッカをもって、借りた家に向かう。

 メイランちゃんの宿に戻ったとき、メイランちゃんに「なんだったんですか?」と聞かれたけど、さわやかにごまかした。

 さすがに、本気になりすぎたとはいえ、こういう話をするものじゃないと思ったからね。


 なんで、こうもギルドって融通が利かないんだろう。私の職業が芸者だっていうことはギルドカードに書いてあるし、むしろ、登録したときに芸者ってしっかり書いたよね。それに、冒険者登録をされたときも、カードを持っていかれていたし、そこで職業を書き換えても、私が違うことにすぐ気づくし、現に、今も芸者のまま。本当にわけわかんない。

 あぁ、なんだか、いろいろ思い返してきたらむしゃくしゃしてきた。

 これだけイライラしたときは、ずっと踊り続けるに限る。夕方までずっとここにこもって踊り続けてやるか。


 そう思うと、私は、借りた家に入って、スマホとスピッカをつなげ、ゆっくりと魔力を流す。

 すると、私の持ち曲が流れてくる。

 メインは明るいポップスだけど、たまに熱いバラードだったり、激しいロックだったり、かっこつけてジャズ系だったり。

 その中でも、イライラしているときは、激しいロックを派手に踊ることが多く、今回もそのパターンで、締め切った室内で爆音のロックを流す。

 爆音で激しいロックを流せば、周りの音なんて何も気にならず、自分の世界に入り込める。

 ソロになってから、うまくいかなくなったとき、たまにこうやって息抜きをしていた。そうでもしないと、どうにかなってしまうんじゃないかって思うこともある。

 だけど、こうやって、激しいロックを自分で考えた振り付けで踊ると、やっぱり、気持ちがいい。これだけのことをしないと、やっぱり、気が済まないよね。

 で、たまに、私があこがれているミアシスさんのダンストラックを何種類か真似してみたり、一番大好きな〈仮面舞踏会〉という曲をメンズバージョン、ウィメンズバージョンのそれぞれを踊ってみたり。これだけでも気分はすっきりすることもあって、今日は自分の姿をしっかりと見ながらだし、かなりすっきりしている。

 ただね……。ダンスの練習をさぼったりしていたからか、スタミナの削られ方がえぐい。

 1時間踊っても軽い息切れで済むはずなのに、今日はたった3曲全力で踊っただけで息切れしている。

 やっぱり、毎日練習はしないといけないなぁ。なんて身に感じた日でもあった。


 さて。そろそろおなかの減り具合もお昼を知らせているし、ちょっと街に出て、ご飯でも食べてこようっと。で、そのあとに、欲しいものを買い込んで、またダンスの練習でもするか。

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