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27:夕食

「おかえりなさい。ミネコさん、夕食にします?お風呂にします?今お風呂は、戻ってきた冒険者の人で混んでいると思いますけど」


 そうか。それじゃあ、ご飯にして、あとでお風呂に入ろうかな。いつもならもっと早くに戻ってきていたもんね。


「それじゃあ先にご飯にしてもらおうかな」

「かしこまりました。すぐにお持ちしますね」


 メイランちゃんはそういうと、ささっと店の奥に姿を隠し、お盆を持って戻ってきた。


「本日は、レッドウルフのステーキです。ミネコさんのほかに、昨日の人たちがレッドウルフを卸していたみたいで、まとまったお肉が手に入ったみたいです」


 なるほどね~。先にウェルメンさんたちがレッドウルフを買い取ってもらっていたのか。それなら、私も早めにしてもよかったかもしれないね。

 それに、ウェルメンさんは、2匹で1か月に稼ぐ金とも言っていたし、ちょっと高級なお肉なんだろうな。と思いながら口に入るサイズに切って頬張る。

 口に入れた瞬間、とろけるように崩れるお肉。中から滴る肉汁。なんというか、こんなの初めて。って感じ。しかも、筋もちゃんと処理してあるのか、噛み切りやすい。

 今までにこんな高級肉食べたことないから、少し感動。噂で聞くA5ランクの松坂牛ってこんな感じなのかなって思ってしまう。

 というか、これって、オオカミの肉なんだよね。食べたことないから何とも言えないけど、こんなに食べやすいんだって思っちゃう。

 ……というか、この世界に来てから、ウルフ肉と鶏肉しか食べていない気がする。それでも、まだ食に飽きが来ないのは、ラインナップの多さが一つの理由にあるのか?

 私も、自炊をしていたけど、ここまでのラインナップの多さではなかった。まぁ、後片付けが面倒だっていうのが一番にあるんだけど、ここまで時間をかけて作ることができないほど忙しかったというのもあるかもしれない。

 そんな幸せをかみしめながら、20分ほどかけて1枚のステーキを食べ、すっかり満腹になったところで、お盆を返しに行く。


「あ~、そのままにしていただいたら私片づけましたのに~」


 私が勝手にお盆を返しに行くと、メイランちゃんは、自分の仕事を取られたと勘違いしたのか、少しほほを膨らませた。


「違うよ。さすがに、これが人目に触れるとまずいでしょ?だから直接持ってきたの」


 私は、お盆の上で光る金貨を指さしながら、小声で説明。


「さっき言っていた追加で支払うって言っていた金貨だよ。思った以上に高く売れたから、お父さんに直接渡してくれない?」

「わかりました。必ず渡します」


 そういうと、メイランちゃんは緊張した面持ちで店の奥へと入っていった。

 そんな姿を見送ると、私は自分の部屋でゆっくりすることを選択。お風呂は夜中でもいいかななんて思いながら、ベッドの上に寝転がる。


 ……なんというか、物事が進まないなぁ。こんなにアイドルの活動って準備に時間がかかるものだったっけ?

 それに、元の世界で当たり前にあるものがなさすぎる。

 服もそうだし、メーク道具もヘアアイロンも電化製品も何もかもが。

 この現状を目の当たりにして、ここは異世界なんだなと、5日目にして何回思ったかわからないことが頭の中を駆け巡る。

 とりあえず、これだけ金貨もたまったし、ダンスができる環境が欲しいな。

 明日は、貿易ギルドに行って、踊っても迷惑ではないスタジオみたいな部屋を探したいな。なんて思いながら、うまくいくとは思っていない計画を頭の中で立ててみる。

 というか、明日は部屋を探すだけで1日が終わりそうだな。

 いろいろこだわりたいところはあるし、なんなら、周りに人がいないほうが暴れられるし。その辺も条件に入れないと。

 たぶん、明日は、いろいろと頭を動かすことになりそう。


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