1話:不運の魔導師
お知らせ
6日更新分、かなり改変しました。
前世の縁で人生が決まるっていうのなら、このクソとしか言いようのない日々を送る事になった現世の責任を取ってほしい。
……なんて思うのは罪深いことかな。
私はあふれ出す涙を拭くことも出来ず、ただただ夜空を眺めていた。
私、相原湊はとにかく運がない。
幼い頃から引きの悪さは一流だった。
どちらか一方に隠された飴ちゃんを当てるゲームは必ず外してたし、楽しみにしていた遠足は100パーセント雨だった。
遠足だけじゃなく修学旅行も家族旅行も運動会だって、台風だったり大雪だったりで快晴だったことはない。
すべての悪運は自分が握ってるのじゃないかというほど、ひどかった。
今までで一番の不幸?
うーん。
確実安全圏にあった第一志望の大学入試がインフルエンザで受けられず、泣く泣くFラン大学に通うことになったことかな。
私には小さい頃からの夢があった。
だからどうしても夢を叶えたくて第一志望の大学に行く必要があったのよね。
経済的事情から実家から通える範囲の大学しか進学か許されなかったから、そこの大学にしか選択肢はなかったんだ。
めっちゃ頑張りましたよ。
勉強も生活態度も。
翌日が試験っていうときに、
――インフルっていう不可抗力にやられちゃった。
膝から崩れ落ちるっていうの初体験したよ。
ほんとにやっちゃうんですね、あれ。
しばらくは死人のような大学生活を送ってたけど、何とか立ち直って就活は死ぬほど努力したんだ。
夢にみた仕事には就けないけど、同じ業界で働きたかったから。
ハズレの人生の逆転をも兼ねて、超絶がんばりました。
努力に努力を重ねたかいもあり第一志望内定をもらい、その時は不幸のジンクスなんてなかった! って歓喜したんだ!
その企業は一部上場ではなかったけど、地元では有名な人気のある会社だった。やっと”不運の魔導師”の二つ名から解放される時が来た!と小躍りしちゃった(リアル)
「みなと、スゴ!」って友達に言われた時の鼻の高さはピノキオを上回ってた自信がある。
だけど”不運の魔導師”は半端なかった。
不運人生は終わってなかったんですよ。
そこね。入社直前の3月下旬、不祥事おこして倒産しました。
その後?
まぁたいして面白くはない。
職安さんの頑張りもあって、そこそこの会社に入社することができた。
営業事務です。
やりたい仕事ではなかったけど、糊口をしのぐ事はできたのでほどほどに暮らしてましたよ。
小さな不幸はいくらでもあったけど。
同じくらいの喜びもあったの。
このままプラマイ0でいけたらなぁって思ってた。
今日この日を迎えるまでは。
今日はお誕生日だった。
三十歳の。
三十路です。わぁおめでたい。
はずなのに。
婚約者に逃げられちゃいました。
ちなみに五年付き合ったよ?
二股かけられてて相手の子が妊娠したんだって。しかも相手は私より年上の36歳女子。
年上相手に避妊はしっかりしなさいよ!! って的外れな罵倒をしておしゃれなカフェから飛び出したのが、つい1時間前の事。
そのまま私は公園のベンチに座り込み、涙にくれていた。
泣きながらどんなに考えても正解の出ない問いの答えを探していた。
本当に何が間違ったのか分からない。
誕生日プレゼントのセンスがよくなかったのか?
残業続きで会えなかった相手を責めることをしなかったのが、ダメだったのか?
ぶっちゃけ性行為のテクニックが拙かったから?
ぐるぐる答えがめぐるばっかりで、何も見出せなかった。
(もうマジでひどいよね。何なのこの不運な人生。私の前世は一体何をしたっていうの。どんな大罪犯したらこんな不幸ばっかりになるっていうのよ!)
私は心の中で呪った。
突然!
ひらりと光の塊が目の前に現れる。
自分の背の高さよりも大きな目があけていられないほどの発光体だ。
かすかに人型をしている……気がする。
「あぁほんとごめんなさい」
光の塊から発せられるのだろうか。
不思議な声がする。
女なのか、男なのか。それすらも分からない。
けれど落ち着きのある心地のよい声だ。
「相原湊さん。貴女の神がかり的な運のなさは、こちらのミスということが分かりました」
「は? いまなんて?」
私は思わず聞き返した。
「貴女の神がかった不運は神のミスだったということです。いやぁほんと申し訳ない。極稀にこういうこともあるのです」
軽い。なんか軽い。
自分で神って言ってるけど、まるで今日のお昼はチキン南蛮かなっていうくらいに軽い。
「ええっと……この不幸引き悪っぷりは、神様のミスというころですかね?」
「ええ、ええ。そうです」
「ありなんですか? そんなこと」
「だからごくごく稀にあるのです。すごく珍しいことですが。残念なことに、私も万能ではないので」
「は?? それで謝りにきたと?」
「先程、貴女の強い呪詛が届きました。調べたところこちらの完全なるミスだということが分かったのです。他神と協議の結果なるはやで処理した方がいいでしょう、ということになりまして」
なるはや。
この人? 神? 発光体?
なるはやって言ったよ!!
私はもう突っ込みまくりでどうしたらいいのか分からない。
涙もいつの間にか止まっていた。
「謝罪の意味もこめまして、特別に貴女の希望を叶えましょう!」
「私の希望??」
発光体は一段と輝きを増すと、
「ご希望通り、前世からやり直していただくことになりました」
と朗らかに(光だから実際はどうか分からないけどイメージで)いい放った。
「前世からやり直し?!」
「はい。現世がより幸せになれるように、功徳を積んでくださいね。それでは頑張ってください!」
さわやかに宣告し発光体はより巨大になり辺りを包み込み始める。
逃げる間もなく光は私を取り込んだ。
「ちょお、まってえええええええ!!!」
色気のない叫び声と引き換えに、私は意識を手放した。
こんばんは。
宮平なおきと申します。
ライトで気楽に楽しめる恋愛物を書いてみたくなりました。
ハッピーエンド確実なお話になる予定です。
プロットなしでゆるゆるいきます。
不定期更新になりますが、よろしければ次回も読みに来てくださいませ。
ブクマ・評価もよろしくおねがいします。
「きみに光を。あなたに愛を。」https://ncode.syosetu.com/n3833fw/というシリアスな異世界恋愛物のお話も書いています。
そちらも是非お読みください。




