メニューそしてステータス
「は?」
突然頭に直接語りかけるようにして無機質な声が聞こえた。
「メニュー?」
意図したわけではない。
ただただ無意識に呟いたその一言に反応して、自身の目の前に半透明の板が現れた。
メニュー
・ステータス
・ショップ
・クエスト
・所属
突然現れたそれに戸惑いながらもとりあえず1番上のステータスという欄を押して見る。
画面が切り替わった。
ステータス
――名前:黒乃 新
職業:魔法師
レベル:1
HP :10/10(10)
MP :60/60(60)
筋力 :2(2)
耐久 :15(15)
精神 :20(20)
敏捷 :2(2)
器用 :5(5)
魔力 :30(30)
固有スキル
『復讐』
スキル
『痛覚耐性』Lv.6
『恐慌耐性』Lv.7
『精神耐性』Lv.6
『疲労耐性』Lv.5
『毒耐性』Lv.2
『火耐性』Lv.3
『物理攻撃耐性』Lv.6
『観察』Lv.9
魔法
スキルポイント:2
――
――ゲーム?
というのがこれを見たときの第1印象だった。
ゲーム自体やった経験は少ないがレベルやステータス、スキルと言った知識くらいは持っていた。
このステータスというのが本当に俺の能力を表しているというのなら俺は明らかに後衛型だな。
なぜかはわからないが職業という欄にも魔法師とある。
俺は魔法なんてもの使えやしないんだがな。
ステータスを見ていると、固有スキルというものを見つけた。
『復讐』というスキル。
それは俺が今、最も叶えたい願い。
悲願と言っていい。
『復讐』という欄に軽く触れて見た。
すると思った通り、ご丁寧に説明が表示された。
『復讐』
固有スキル
強い復讐心を十年以上複数の人物に持ち続けた者の中からランダムで一人にだけ与えられるスキル。
自分に苦痛を与えた者を殺した時、対象のスキルもしくは魔法を一つだけ奪う。
――
歓喜に震えた。
このスキルがあれば奴らに完全なる復讐、報復を成し遂げることができる、と。
次こそは必ず。
そう決意を固め、自身のステータスをより理解しようと片っ端から説明を読み込んでいく。
大半のスキルはその名の通りの効果で、今持っているスキルは今までの俺の行動が反映されているのだろう。
基本的に俺のスキルは耐性系がほとんど。
しかも多くが高レベルだった。
そうなった心当たりもある。
しかし、そんなことよりも心惹かれたのがスキルポイントの存在だ。
スキルポイント:2という表記。
これが意味するところはすぐにわかった。
スキルの説明を見る要領でスキルポイントの欄を軽く触れるとまた画面が切り替わった。
取得可能スキル一覧
・『闇魔法』
Lv.1
[暗闇](1)
[闇球](1)
[暗視](1)
[影縛](1)
・『魔力操作』(1)
残りスキルポイント:2
――
()は使用するスキルポイントということかな?
とりあえず先程までと同じようにスキルの説明を見て見ることにした。
[暗闇]
自身を中心に空間を暗闇に変化させる魔法。
[闇球]
対象に向けて、球状に固めた闇を射出する魔法。
[暗視]
対象に暗視能力を付加する魔法。
[影縛]
影を物質化し、対象を縛りつける魔法。
『魔力操作』
魔力を操作することで魔法を自由に操ることができるようになる。
一通りの説明をみて、俺のメニューに留まったのは[影縛]と『魔力操作』だ。
[影縛]は説明を見る限りではとても優秀な魔法だ。
影で相手を縛っている間何でもできるというのが高ポイントだ。
さらに『魔力操作』。
これがなかった場合魔法は決まった動きしか出来ないという可能性が高い。
保険のためにとっておくことにした。
ということで、この二つのスキルを習得した。
――
固有スキル
『復讐』
スキル
『痛覚耐性』Lv.8
『恐慌耐性』Lv.7
『精神耐性』Lv.6
『疲労耐性』Lv.5
『毒耐性』Lv.2
『火耐性』Lv.3
『物理攻撃耐性』Lv.6
『観察』Lv.9
『魔力操作』Lv.1
魔法
『闇魔法』Lv.1
[影縛]
スキルポイント:0
――
メニューには他にも機能があるようだが、いまは割愛しておく。
狼に噛まれた左腕にはまだ痛みが残っている。
「取り敢えず、保健室……か」
もう次の授業は始まっているだろうが腕の傷は無視できない。
校舎裏からでて早速保健室に向かう。
その途中。
廊下から教室からいくつもの悲鳴が聞こえてきた。
そっと覗き込むとさっきまで俺に噛み付いて離れなかったあの狼に似た動物達が跋扈していた。
俺の視界内だけでも五匹はいる。
どうする、助けるか?
――あれ? ……いや、なんで?
こいつらに助ける価値なんてあったっけ?
……ないな。
俺は踵を返して保健室へ向かった。
保健室に先生はいなかった。
むしろ好都合。
先生も一文字の手下みたいになっているから俺の治療なんかしてくれるわけがない。
そんなことを頭の中で愚痴りながら左腕を水で清めてから消毒液をぶっ掛けて、包帯をグルグルと巻きつけた。
適当な処置だが、俺は怪我の治りが早い。
それこそ、化け物並に。
明日、明後日にはもう治っているかもしれない。
「さて……」
どうするか?
俺は校舎裏から持ってきた鉄パイプを握り直し、保健室を出た。
――瞬間。
狼と目があった。
脚に力を込めて俺目掛けて駆けてくる。
焦る。
が、魔法の存在を思い出す。
出てくれ! と願いながらそれを唱える。
「[影縛]!」
影が狼を束縛していくのを想像する。
すると、狼の影が意思を持ったように動き出しその体を拘束した。
よし! と思わずガッツポーズを決めるが狼の
唸り声で我に帰る。
「そうだ、まだ殺してないんだった」
ゆっくり、ゆっくりと警戒しながら近づいていき、その頭目掛けて鉄パイプを振りかざす。
さっきは四回の攻撃を必要としたが、今回は二回で絶命した。
レベルアップはしなかったみたいだ。
そう簡単にはいかないってことか?
俺は目的を変更してレベルアップの為に狼を狩ることにした。




