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5月2日書籍版発売!!元・魔王軍の竜騎士が経営する猟兵団。(最後の竜騎士の英雄譚~パンジャール猟兵団戦記~)  作者: よしふみ
『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』

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第四話    『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』    その千百四十二


「奪われた者には、奪い返す権利がある。オレはガルーナを奪われた。君は、王国時代のファリス再建の夢か」

「もっと、大きなものだ。姫さまの外交力ならば、もっと大きな……ッ」

「その大義において、オレが継ぐべきものは継いでやろう。ガルーナを裏切る前のファリスは、たしかにガルーナの同盟に相応しい価値観を有していたからな」

「お前などに、新たな世界が築けるものか。お前は、乱世を広げる。姫さまは、ご自身さえもカードにして、外交で世界を開こうとしていた。皇帝さえも、抑える権力を作れたはずなのに」




「ユアンダートを抑えられたかどうかは知らないが、彼女の政治的手腕は認めるよ。ライザ・ソナーズの哲学は、オレたちと通じる部分も多くあった」

「うるさい。戦いに、集中しろ」

「しているだろう。戦場を飛び回りながら……こうして、矢も撃っているのだ」

『ぼくたち、てきのやをうばって、ほじゅうしたからね!!うちほうだいだよ!!』




――樹皮を『着込む』ような形になっている触手どもにも、弱点はあるのさ。

樹皮は盾のように矢を防ぎはするが、全体が樹皮に覆われているわけじゃない。

むき出しの赤黒い触手の肉体部分を、精密に射抜きにかかる。

神業に近い達人技だが、狙撃の名手がここにはそろっているからね……。




―――樹皮に包まれていない触手どもには、どこにだって矢が通じるよ。

傭兵らから奪った、『竜対策の細く鋭い矢じり』だ。

高みから放たれたそれは、恐ろしい加速を帯びて複数本の触手を貫通した。

竜の背から落とされる矢の威力に、傭兵は歓声を上げている……。




「ハハハハ!!スゲーぜ!!」

「敵としては、恐ろしい限りだが!!」

「味方だと思えば、これほどの援護はない!!」

「岩だって、射抜ける威力じゃないか!!」




―――もちろん、下手すれば岩にさえ突き刺さるかもしれない。

ゼファーは50メートル程度の高さで、戦場を飛び回っている。

矢の威力は、地上で放つそれの数倍はあった。

太い触手であっても貫通するのは当然であり、その援護に傭兵は反応する……。




―――隊伍を組んで、斬撃と刺突で攻め込んだ。

ソルジェの言葉の通りに動けば、触手とも十分競り合える。

そもそも、『プレイレス』周辺で傭兵業を続けてきた者たちには見覚えがあった。

触手と使う武術などないが、攻め方には中海地方の哲学と共通している……。




「この動きにも、慣れて来たぞ!!」

「戦える!!やられっぱなしである必要はない!!」

「こいつは恐ろしいバケモノだが、我々だって恐ろしい傭兵だ!!」

「ソルジェ・ストラウス!!報奨金を出せよ、このバケモノどももアンタの敵なのだろう!!より多く狩った者には、大金を頼むぞ!!」




「ククク!金、金、金。傭兵らしい図々しさだな。しかし、それが彼らの戦う動機となる!!いいだろう!!この戦いに生き延びて、『自由同盟』に合流した傭兵のなかで、最も多くを狩ったと仲間から推薦を得られた者に、望む額をくれてやるぞ!!」




―――金もまた、傭兵の燃料だった。

ガルフの論理に合致するよね、政治力と金が戦争の目的なのだから。

傭兵の動きがさらに鋭さを増して、明らかに攻撃性が倍増していく。

傭兵を操ることには、ソルジェも造詣が深いのさ……。




―――彼らをさらに『自由同盟』側に、引き寄せているものいい。

条件を告げてしまっている、『自由同盟』に合流するのが褒美の条件だと。

シドニア・ジャンパーは、またまた腹立たしい気持ちになる。

自分が創り上げた傭兵のセットが、ソルジェに丸ごと奪われていくのだから……。



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