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5月2日書籍版発売!!元・魔王軍の竜騎士が経営する猟兵団。(最後の竜騎士の英雄譚~パンジャール猟兵団戦記~)  作者: よしふみ
『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』

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第四話    『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』    その千五十一


―――傭兵コルテスの体が、くるりと宙に舞った。

『虎』の体術、シアン・ヴァティより受け継いだ技巧だよ。

ソルジェは彼の手首を握りしめて、肘を操る。

手首と肘の関節を痛めつけながら、動きを制して……。




―――竜太刀の柄を使って、引きつる敵の顔面を殴打した。

近接時の戦い方は、センスが物を言うからね。

ソルジェには持って来いの、荒々しい技巧が有効な領域でもある。

脳震盪に追い込みながら、しがみつこうとした彼の左脚を内側から払った……。




―――鎧を着込みながらの肉弾戦では、体圧を使った押し合いが有効だ。

ソルジェも幼少時から、その訓練をたっぷりと受けている。

鎧のどこが安全で、敵の『無視してもノーダメージな攻撃は何なのか』。

熟知しておけば、体術と鎧の合わせ技は騎士を無双の兵科に変える……。




―――仰向けに倒された傭兵に、ソルジェは竜太刀で殺しにかかった。

胴体のどこでもいい、狙いをつけることもない瞬発力意識の一手。

解剖学的な致命傷を狙う必要もない状況だ、圧倒的に有利なのだから。

地を這う傭兵は、さらにソルジェを喜ばせてきたよ……。




―――手斧をとっさに操り、竜太刀の刺突を受け止めてみせる。

いや、それどころか魔術も狙っていた。

『炎』を至近距離で放つ、自爆技だね。

ソルジェは瞬時の後退をしながら、竜太刀で爆炎を斬ってしまう……。




「マジかよ。魔術を、斬りやがったのか」

「そうだ。いい仕込みじゃあるが、昔、オレもそれはやったことがあってね」

「そうかよ。くそ、また、ズタボロになっちまった」

「それでも立ち上がるとは。指の骨、数本、折れたはずだぞ」




―――手斧で竜太刀を受け止めるなんて真似は、曲芸技もいいところだ。

達人の技巧があってこそだが、それ以上に肉体を酷使してしまう。

ソルジェの診立てのとおり、彼の指の骨はへし折れてしまっていた。

同時多発の亀裂骨折だ、それでも構わず手斧を握っている……。




「斬られた爆炎の余波を、浴びちまっているんだ。そっちの方が、よほど痛いに決まっているだろ」

「お前が仕掛けた魔術だ。それについて、文句を言うのは間違っているぜ」

「まあ、そりゃ、そうだが」

「降参するなら、生かしてやるぞ」




「そいつは、こっちの作戦にはないんだよ」

「つまり、お前ら……死にたがっている……わけじゃなく。死ぬことも、作戦に組み込んでいるわけだ」

「いい読みというか、妥当な読みだな」

「何もかもが見えるわけではない。だが、怪しむべきが何かは知っている。祭祀呪術の、生贄。それに、お前ら自身も組み込んでいるんだな」




「作戦について、語ると思うなよ!!」




―――図星だったのかもしれないが、彼もまた気にしなかった。

ソルジェ目掛けて、手斧で斬りかかっていく。

毒が回り、鼻から血が垂れ始めているのに。

猛烈な勢いの乱打を、ソルジェ目掛けて放った……。




―――その全てが、竜太刀によって弾かれる。

理不尽なまでの速さに、相手はさぞや苛立ったはずだよ。

竜太刀なんていう巨大な鋼の塊が、どうしてこうも素早く動かせるのか。

ストラウスの剣鬼の技巧もあるが、やはり圧倒的な筋力の結果だった……。




―――その力が欲しいと、傭兵は戦いながらあこがれてしまう。

子供の頃から、誰よりも力に焦がれた人種の一員だからね。

自分が弱いことが許せない、それが生粋の強者の条件の一つ。

彼はまさにそうだ、自分に対しても故郷に対しても……。




―――強くなりたかったのさ、誰からも命令されたくなかった。

『プレイレス』の属国みたいな立場の故郷を、変えてやりたかったし。

誰よりも強くなれば、味わったことのない自由が得られると信じてもいる。

幼い頃から、それらが揺らぐことは一度もない……。




「お前を、殺す。殺して……革命のための火種にしてやる」

「斬られながらも、一歩も下がらん。見上げた根性だ」

「そうだろう。すぐに、お前に……勝ってみせるぞ、殺してやるんだ、ソルジェ・ストラウス……っ」

「そいつは無理だ。オレも、オレの『家族』も、誰一人、殺させはしない」




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