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5月2日書籍版発売!!元・魔王軍の竜騎士が経営する猟兵団。(最後の竜騎士の英雄譚~パンジャール猟兵団戦記~)  作者: よしふみ
『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』

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第四話    『迷宮都市オルテガと罪科の獣ギルガレア』    その九百九十四


「あはは。ソルジェさま、大喜びしちゃうっすね。その呼び名」

「貶すために言っているのが、分からないのか?」

「ううん。分かっているっすよ。でも、『魔王』は特別な称号っす。人間族以外の者たちの守護者でもあるから。ソルジェさまは、そうなりたいっすよ」

「人間族を、滅ぼすことになる」




―――人間族の方が、圧倒的に数は多いけれど。

特殊な才能を有するという意味では、亜人種の方が優秀かもしれない。

『吸血鬼』や『狼男』みたいな、大いなる力の継承者たちも迫害を受ける者たちだ。

『大魔王』ソルジェなら、その全員を守れるだろう……。




「人間族を滅ぼすなんて、ソルジェさまはしないっすよ。だって、ほかならぬソルジェさまご自身が、人間族なんすからね」

「……結果的に、そういった展開になるだろう」

「ならないっすよ。人間族だけの世界を、帝国が求めたからといって。『逆』を行く自分たちの目的が、人間族のいない世界じゃないっす。誰もが生きていてもいい世界を、望んでいるっすよ」

「そんな都合のいい未来は、ありえん。奪い合いと、殺し合いになるに決まっている」




「そうかもしれないっすけど。もしも、そうなっても、ソルジェさまは戦われると思うっす。その結末を回避するために、そうしようとするお方と戦う」

「戦って、ばかりだな。お前の夫は」

「そうっすね。戦士だから、しょうがないっす。戦いそのものを愛しておられるっすから。でも、お優しいっすよ。本物の戦士は戦いが大好きっすけれど、戦いの価値や意味を大切にしておられるっすから」

「どうして、人間族のくせに……ッ。亜人種とつるもうとするんだ!!」




「ソルジェさまには、人種の違いとかどうでもいいことだからっすね」

「どうでもいい、だと!?」

「はいっす。ガルーナ王国では、昔からたくさんの人種が協力し合って生きてきたそうっすから」

「ありえん。亜人種と、協力し合うことなど、人間族ならばやらない。やれないはずなんだ!」




「いやいや。ちゃんと人間族も亜人種も、『自由同盟』だって組めたっすから」

「そ、それは……」

「たくさんの種族の戦士たちが混ざって、同じ目的のために戦っているっす。その強さは、とてつもないものになれたから。帝国軍だって倒せているっすよ」

「うるさい。そんな現実は、認めない……ッ」




「はい。認められないなら、また戦場に戻るといいっす。治療を受ければ、数か月すれば戦場に戻れるっす。リエルちゃんの……ソルジェさまの、エルフの奥さんが作った森のエルフの秘薬を使えば、ちゃんと戦えるように治るっすよ」

「エルフの、霊薬など……」

「強がらないでいいっす。こちらの提供は、拒んだとしても受け入れてもらうっすよ」

「嫌だ。嫌なのに……ちくしょう。体が、動かない」




「『吸血鬼』っすから。人間族が勝つのは、かなり困難っすね。でも、ソルジェさまは勝ったっすけど。あいつの首を、ガブリと噛みついて……そのまま、噛みちぎった」

「……『吸血鬼』の首を、噛みちぎっただと?」

「はい。それだけ、とてつもなく強いお方っす。だから、戦場でも余裕を持てる。捕虜の手当だって、しろと命じられるっすよ」

「いつか、亜人種に裏切られて命を落とすさ」




「誰かにたとえ裏切られたとしても、ソルジェさまは自分たち猟兵がお守りするっす。ゼファーちゃんも……竜のゼファーちゃんも、守ってくれるっすから。裏切られたとしても、負けはしないっすよ」

「裏切られる可能性を、否定できないんだな」

「世の中、どんなことでも起きちゃうっすから。そういう意味で、ありえはするっすよ。でも、問題ないだけっす。すべての種族の共存を望むのなら、帝国以外とだって、戦わないといけない日も起こるかも」

「ソルジェ・ストラウスが人間族ならば、たとえ帝国との戦いにヤツが勝ったとしても、『亜人種たちの王』にはなれまい」




「たしかに、亜人種さんたちにも、それぞれの王国があったりするっすから」

「お前たちの戦いは、どんな過程を辿ろうとも、最後は破滅する」

「意地悪っすね。そんな言い方するなんて。でも、治療は受けてもらうっすよ。霊薬は口から飲まなくても、注射すれば与えられるっすからね」

「く、くそ。勝手に、治療なんてするな。エルフの薬など、オレの体に入れるんじゃない!!」




「ムダっすね。入っちゃいましたよ」

「ううう。ちくしょう。嫌だ……エルフなんぞの―――」

「―――私の作った霊薬を、嫌うとはな。いい度胸をしている」

「リエルちゃん、お疲れ様っす♡」




「捕虜が重傷というから、来てみたのだが。問題がなさそうで、ヒマである。カミラがいれば、たいていの傷にも治療がやれるだろうし」

「そんなことないっすよ。さっき、思い知らされたばかりっす。自分は、リエルちゃんにぜんぜん勝てないことが多すぎるっすから」

「それでも、構わないのだ。私にやれぬことは、カミラがきっとやってくれる。お互いの得意が違うから、『パンジャール猟兵団』は最強の傭兵団なのだ」

「そうっすね。そうっすよね。ありがとう、リエルちゃん。すごく自信がついたっすよ!!」




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