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ショートな作品を噛みしめよう  作者: ミックスボックスガム
11/31

チャレンジメニュー

「チャレンジメニューを頼む!」


体格の良い男が元気な声でそう注文をする。

私はテンプレ通りの言葉を投げかける。


「失敗なさった場合、1万円のお支払になりますがよろしいでしょうか?」


「大丈夫、大丈夫!」


「わかりました。店長チャレンジ1です」


「はいよ~」


うちのチャレンジメニューは少々特殊だ。一見すると食べきれなそうには見えないほどの量しかないし、味が極端に辛いとか、嫌いな人が多い物を使っているわけでもない。

それなのにほとんどの人は食べられずに失敗する。

時間内に完食すると10万円、失敗すると1万円というこのメニューだが、10人に1人も完食できてはいない。おそらくだがこの男も失敗するだろう。


「はいよ~チャレンジ一丁、今から20分ね!」


「おし、いただきます」


店長が例のメニューを男のもとへと運びチャレンジがスタートする。


────────20分後─────────


「すみません、お時間ですのでチャレンジ失敗とさせていただきます」


「くそ~!あと少しでいけそうなのに……」


またこの反応だ……『あと少しでいけそう』このメニューを失敗した人の大半が言う言葉だ。一応言っておくがグラム数や体積的に20分で食べるのに難しい量ではないと思う。

他の所にももっと大盛りな店もあるだろう。


────────────────────────


「チャレンジメニューを5つで!」


若者達のグループがこうしてノリで複数注文をすることがある。このグループを見ればおそらく食べる気満々なのは真ん中の男だけであり。周りの女性や細めの人には自分がどれだけすごいかを示すため同じものを食べさせようという魂胆なのだろう。


「失敗なさった場合、1万円のお支払になりますがよろしいでしょうか?」


私はいつものテンプレセリフを言う。今回は本当にやめておいた方がいい。


「大丈夫、大丈夫こいつら失敗しても俺が払うから!」


「彼がそういうってるのでそれでいいです……」


「かしこまりました、店長注文、チャレンジ5です!」


「はいよ~」


うちのチャレンジメニューは少々特殊だ。一見すると普通の客には食べきれない量に見えるが食べてみるとしっかりと食べきれる人が多い。時間を気にしなければ周りの人達も食べきれるだろう。


「はいよ~チャレンジ五丁、今から20分ね!」


「おし、いただきます」


「うわ~美味しそう!いただきます」


「これ普通に美味しい!この量はいらないけど」


真ん中の男はハイスピードで食べ始め周りは味わいながら食べ始める。


────────18分後─────────


「というか、博美さんのペースすごくないですか?」


「美味しかった~ついつい食べちゃった」


「うわ~すごい!完食じゃないですか!」


先ほどのグループの方を見ればつれの女性の方がメニューを完食していた。


「おめでとうございます完食ですね。後ほど賞金をお渡しいたします」


私は拍手をしながらそういった。ただ、視界の端に先ほど息巻いていた男がメニューに苦戦している様子が見て取れる。まあこの男はどうせだめだろう。

そして、時間が無常にも経過する。


「すみません、残りの方はお時間ですのでチャレンジ失敗とさせていただきます」


「う~ん、やっぱり僕には時間内には無理だね……」


「でも、完食なら普通に行けるよね」


「そうそう、美味しくって次々食べちゃうから普通に食べれる」


「みんなの分は私の賞金から払うよ~美味しく食べてね!」


他の面々が楽しそうに喋っている横で例の男だけは下を向いていた。まああそこまで自信満々だったくせに完食できなくてあまつさえ失敗の代金を女の人に払ってもらう流れなのだからメンツも何もあったものではないのだろう。


またこの反応だ…… うちのチャレンジメニューを食べきるのは大抵の場合相当な大食いの方などなのだが、結構な頻度で付き添いでとかノリで頼んだ人が完食することがある。


────────────────────────


「店長、今日は完食者が出ましたね。」


「ああ、まあそんな日もあるよ」


「全然大食いに見えなかったのに不思議です」


「ん?ああ、そうかお前にはしっかりと話したことはなかったか」


「何がです?」


「うちのチャレンジメニューが時間内に完食できない理由だよ」


「どんな理由なんです?」


「うちのチャレンジメニューはな一気に一定以上の量を入れるとだんだんくどくなるんだよそして、一端くどく感じると後は食べるの難しいんだ」


「へ~そんな秘密があったんですかだからやる気満々な人はダメだったんですね最初沢山食べちゃうから」


「まあそういうことだな、本当は苦肉の策なんだよ新しいメニューを開発したらな美味しいって一杯頬張った奴がそのあと『でもくどくなってきた』って言ってきたのを聞いてなだったらそれを逆手に取ってやろうと始めたのがこのメニューなんだよ」


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