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第26話 思わぬ行き先

 あれから俺たちは一度、自分たちの星へと帰還した。

 曜玄将軍と姉さんが、回収したサンプルや書物のデータを専門施設へ受け渡しに行っている間、俺は一人で静かな待機部屋である本を見ていた。


 手元に呼び出したのは、これまでの俺の人生の記録が記されたメモ本。

 ペラペラとページをめくり、これまでの人生や過去の記録の中に、この世界の異変や残響の元凶に繋がる手がかりがないかを探してみる。

 

「空からやってきた残響は……っと」


 20分ほど探したが、そんなに簡単に見つかるはずもなく。俺は本を閉じて片付けた。

 あの空へ向けられた砲塔は、何を迎撃…あるいは攻撃するために作られたのだろうか?もしかしたら元凶は空からやってくるのかもしれない…

 俺がそんな想像をしていると、無事に受け渡しが完了したらしい二人が戻ってきた。


「手配は済ませたわ、カズ。解析結果を出してもらっている間、もう一回パグロスに行っておきましょ」


「そういえばもう一つ、残響によって滅ぼされた星があったよね…なんて名前だっけ…?」


「『ゲヘル』。星系の第6惑星だよ。彼の地も風月が言ったように、最終的には残響によって滅ぼされたと聞く…」


「そう、ゲヘル。姉さん、そこには行かないの?」


「ゲヘルは、一度学会が調査しようとしたんだけどね……異常が多すぎて、対応できなかったと噂されているの。学会の星間調査が今現在は人が活動している星に限られているのも、そこから来ているとされてるわ……話を戻すわね。ゲヘルはおそらく、今の装備だと調査はできない。さっき3人分の動きやすくなる特殊スーツを手配しておいたから、パグロスから帰って調子を整えたら行くことにしない?」


 姉さんの言葉に、俺と将軍は深く頷いた。俺たちは艦の調整が終わるとすぐに乗り込み、パグロスへの再調査に向けて星間航行を開始する。






 それからしばらくして、艦は何のトラブルもなく順調に目的地の星へと到達した。

 俺は大きなガラスから、眼下に広がる星の姿を見下ろす。相変わらずの景色だ。星は雲に覆われ、雲の隙間から見える地面は紫色に光っている。

 …………???

 いや、パグロスはこんな見た目ではなかったはずだ。地上には棘が点在していたし、雲なんてかかっていなかった。


「…………姉さん、何かおかしくない…?前に上空から見たパグロスの様子と、どこか変わっている気がするんだけど……」


 目の前に見える星の大きさは似ている。しかし、どうやってみてもその姿は前に見たものとは明らかに異なっていた。


「確かに…………妙ね。少し調べてみるわ」


 姉さんも眉をひそめ、右手首につけてあるバンドを触って何やら操作を始めた。その間にも艦は着陸態勢へと入り、高度を徐々に下げていく。

 艦が雲を抜けたことで地上がはっきり見えるようになってようやく、俺たちはパグロスではない別の星へ来てしまっていることに気がついた。

 それと同時の、姉さんが焦りを混じらせたこえで衝撃の事実を伝えてくる。


「……嘘でしょ!? 2人とも、大変! ここ、パグロスじゃないわ……! 座標設定がゲヘルになってる!」


「なっ……ゲヘル?なぜだ…?」


 将軍が息を呑む。


「まさか………私の話を聞いた作業員が、今度はゲヘルへ向かうと勘違いしたのかも…」


 ゲヘル——事前調査の段階で名前だけが判明していた、第二の被災星。

 パグロスに行く想定で装備を用意してきたために、今やゲヘルは、地図もなければどんな残響が存在するのかという情報すら何一つ準備できていないという完全に未知の領域となっていた。

 姉さんは通信機器を取り出して、操縦士に連絡を取ろうとする。


「すぐに撤退してって言わないと…!」


「ダメだよ、姉さん!今、変に動かすと、逆にバランスを失って墜落する可能性が高くなる!」



 俺たちの乗った艦は、どんどん地表に近づいていった。

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