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第1章 エピローグ 「砂の余韻と小さな火」

焚き火が、静かに揺れていた。


砂の荒野の中で、それだけが生き物みたいに呼吸している。


ユウは炎を見つめながら、ふと視線を少しだけ遠くへ外した。


理由はない。

ただ、火の向こう側に“別の温度”を一瞬感じた気がしただけだった。


ミアがその視線に気づく。


「どうしたの」


ユウは首を横に振る。


「いや……今、誰かいた気がして」


ガイが笑いながら言う。


「こんな何もないとこにか?幽霊かよ」


レオンは何も言わない。ただ、ほんの一瞬だけ視線を荒野の奥に流した。


そこには何もない。


なのに、“何もないはずの場所”が、わずかに違って見えた。


ミアは火を見つめたまま、小さく呟く。


「……まだ名前のない線が、一本だけ増えてる」


その言葉の意味を、誰も深くは聞かなかった。


ただ、ユウの胸の奥だけが、ほんの少しだけ反応していた。


知らないはずなのに、知っているような感覚。


届いていないのに、確かに“繋がりかけている何か”。


風が吹く。


砂が舞う。


その一瞬だけ、遠くの景色が揺らいだ。


そこに“誰か”が立っていた気がした。


ただの錯覚かもしれない。


でも、その残像だけがやけに優しく、そして確かだった。


ユウは火に視線を戻す。


「……気のせいか」


誰に言うでもなく、そう呟く。


ミアは答えない。


ただ、その未来の線をそっと見つめたまま、小さく息を整える。


まだ何も始まっていない。


けれど、もう“誰か”はそこにいる。



火は揺れ続ける。


荒野の夜は深いのに、どこか少しだけ、温度が違っていた。

最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。


『チャプテリア・クロニカ』第1章「荒野の少年」は、ユウたちの旅の始まりと、世界の変化の兆しを描いた物語でした。


ここから先、彼らの歩みはさらに大きく揺れ、選択と出会いを重ねながら進んでいきます。


もし少しでも面白いと感じていただけたり、続きが気になると思っていただけましたら、また次の章も読んでいただけると嬉しいです。


今後とも『チャプテリア・クロニカ』を見守っていただけますと幸いです。


引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

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