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私は、あなたの闘姫  作者: まるみふみ
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灯明妖精

 私の名前はリリー・キキー

 イェシカ国の王城で灯明妖精をやってます。

 残念ながら、イェシカではあまりメジャーな妖精の職業ではないので、その存在を知る方は少ないようです。

 私達灯明妖精の職場は、大抵大変裕福な方のお住まいか、国の重要施設となっています。

 仕事の内容は、妖精灯火器に、魔法で明かりを灯したり、消したりすることです。

 この商品は、引火に魔法を使い、その炎は熱を持たないので、万一通常であれば燃えるものに接しても、火事を起すことは決してないのです。

 重要な書類、宝物のある場所や、要人のお部屋の明かりにぴったりの良品です。

 そんな素敵な妖精灯火器は、残念な事に私達妖精の主要産業である、魔法用品の中でも1、2を争うコストパフォーマンスの悪さから、素晴らしい性能を持ちながら、なかなか世に広まらない道具なのです。

 お客様アンケートでは、①妖精灯火器自体が高い。②燃料の月光石が高い。③妖精の労賃が高い。……と苦言ばかりが寄せられて、係りの者がノイローゼ気味だそうです。

 たいてい、固定されている妖精灯火器ですが、本体は軽く持ち運びやすいので、盗まれる危険を恐れないのであれば、屋外での利用も十分可能です。

 妖精灯火器ならば、テントで普通のランプを使うよりも、ずっと安全です。ですから、女王様の闘神降臨の儀式に、私も随行する事ができたのです。

 

 はじめてマリ様にお会いしたときは、私の事をご覧になった途端、いかにもげんなりした。というお顔をなさったので、残念ながら、好印象は持てませんでした。

 ところが、翌日、女王様のテントにお伺いしたら、灯明妖精としての職能があるとはいえ、ごくごく普通の妖精である私に向かって、

「かわい~!ちっさあーい!指が指がちゃんと5本ある~!!信じらんない超かわいいー!ティンクよりかわいい!携帯、携帯!ああっないのかー!」

 と、絶賛の嵐を下さいました。

 私がお礼を申し上げましたら、

「っきゃ~しゃべった。声超かわいい、死ぬ可愛じぬ。妖精さん超可愛い!」

 と、大変喜んでいただき、あまりのお褒めの言葉に、ちょっと気恥ずかしくなってしまう程でした。

 ですので、前日の仕打ちは、異世界からのお渡りで、お疲れだったのだと、水に流すことにしました。

 

 女王様に随行したのは私達妖精の他に、国軍の兵士や、国の大事に領地から駆けつけて来られた領主の方々がいらっしゃいました。

 兵士の方のテントは残念ながら普通のランプでしたが、領主の方のテントには、私達の仲間が連れてこられていました。

 私達は職場からめったに離れませんので、仲間同士、情報交換ができて、大変有意義でした。

 中でも女王様のテントで働く私には、多くの仲間が興味を持ってくれたので、その場にいた灯明妖精全員と話す機会に恵まれました。

 もちろん、初日に言いふらしたマリ様の悪口は、慌てて撤回させていただきました。

 妖精は正直が身上ですので。

 

 灯明妖精は、皆自分の仕事に誇りを持っております。

 もっと妖精灯火器が売れて、仲間が増える事を願ってやみません。

 そういえば、女王様程ではないけれど、大きなテントにお泊りになったらした方が、普通のランプをお使いだった様子で、マリ様が私とお話したいとおっしゃらなければ、営業に出向きたい所でした。お金に余裕のある方には、是非商品の素晴らしさを知っていただきたいものです。


 マリ様がいらしてから、楽しく過ごした旅も、7日前に終わり、明日はいよいよ闘神祭です。

 国中から領主の方々や、その下役の方が来られます。

 お城の素晴らしい妖精灯火器をご覧になって、本国に注文が殺到すればいいなと思います。


 さて、今日も日が暮れてまいりました。灯明妖精の本領発揮です。

 ああ、そういえば、最近灯明妖精を小間使いかなにかとお間違えの方がいらっしゃいます。

 部屋から部屋へ飛んで行くので、メッセージを伝えるように頼まれるのですが、手間をとられますので、本職の方が疎かになるような用事は、極力お断りする方向で、城の灯明妖精組合で最近決議しました。

 それでも、あまりに地位の高い方からの要請は断れないのが現状です。

 例えば、先程私にメッセージを託けられた、あの方の頼みでは、たとえ一番最初に明かりを灯したお部屋であっても、戻ってお渡ししない訳にはいかないのです。

 こんな事が頻繁になるようでしたら、困ってしまいますので、もしも妖精灯火器をお買い上げの際には、その事にご留意していただけると嬉しいです。 

 


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