13章 帝国活動編 幕間 帝国召喚勇者パーティー①
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「ふざけんなよ・・お前らが召喚した勇者は、もう元の世界に還っただって!?」
スパイル王国の王城にある謁見の間にいる帝国勇者シュンは、怒りの感情を込めながら小さく口にする。
「落ち着いてください・・シュン様」
帝国から同伴してきた女騎士ダリアが告げる。
「帝国勇者シュンよ・・我が王国勇者オキタ殿が魔王を討伐してくれたのだ。遠いこの地に無駄足となったことは大変申し訳ないと思っている」
「スパイル国王様・・よろしいでしょうか?」
「うむ・・」
「私は、ユウカ=キサラギと言います。王国で召喚された勇者パーティーは何人いたのでしょうか?」
「・・たしか、8名だったな・・ユウカ殿達と同じ年頃の少年4人と少女4人」
「は、8人もですか・・その人達は、本当に元の世界へ還ったのですか?」
「国王として偽りの無いことを誓おう。我が王国の送還の儀によって問題なく送還したのだ。たしか、エルフの女が1人同行したのは想定外だったが・・」
ユウカは国王の言葉を聞いて少し考えているようだ。
「この世界で異世界召喚をする理由は、魔王討伐のためですよね?魔王が討伐されたのに、私たちが帝国で召喚された理由が分からないのですが・・」
「ユウカ殿の言いたいこともわかる・・しかし、帝国が召喚した時期に魔王が存在していた場合は可能だろう・・。我が王国は魔王が率いる魔族達との戦いをしていたからな」
「そうですが、魔王討伐が成功したのならば、私たちは必要ない無い存在のはずです・・だから、元の世界に帰れると思うのですが・・」
ユウカは、魔王を討伐すれば異世界人は元の世界に帰れると考えている。
「たしかに・・ユウカ殿の言い分も理解できる・・だが、私も詳しいことはよく分からないのだよ」
「そんな・・」
召喚者を送還した王国であれば、自分たちも帰れるのではと淡い期待をしていたユウカの希望は打ち砕かれてしまった。
そんなユウカを見ていた幼馴染のリコが口を開く。
「国王様・・私は、リコ=サクライです」
「続けよ・・」
「魔王が討伐されたのは理解しました・・これ以上は詮索しません、でも、1つ気になることがあります」
「うむ・・」
「この世界に・・私たち召喚者以外に黒髪黒目の人族は、存在するのでしょうか?」
「存在しませんわ!」
国王より先に第2王女イリアが大きな声で告げる。
「えっと・・貴方は?」
「私は、王国第2王女イリアよ!」
「イリア王女様・・存在しないとは、どういうことでしょうか?」
「黒髪黒目を生まれ持って生まれる赤子は、この世に存在しないの!召喚者以外はね!」
「そ、そうですか・・」
第2王女イリアに圧倒され、リコは言葉を失うも代わりにユウカが口を開く。
「イリア王女様・・王国召喚者が送還されたのであれば、黒髪黒目を持つ存在は私達だけということですよね?」
「そうよ・・帝国で召喚された貴方達だけよ!」
ユウカとリコは、王国へ来る途中の野営で出会った黒髪黒目の少年を思い出している。
「それは変ですね・・私達は王都へ来る途中に黒髪黒目の少年と出会ったのです」
「なんだと!!」
ユウカの言葉にスパイル国王とイリアが驚愕の表情をしていた。
「ユウカ!その少年の名前は!?」
第2王女イリアは、ユウカに出会った少年の名前を問いただす。
「えっと、ハルって言ってました・・冒険者ハル・・」
冒険者ハル・・その名前を聞いたスパイル国王とイリア王女の表情が険しくなったことに、ユウカとリコに緊張がはしる。
謁見の間の空気が変わったことに気付かないのかそれとも計算済みなのか、今までずっと黙っていた帝国召喚者の少女が口を開く。
「ハルさんは、帝国の平民冒険者でしたよ?どうして、国王様と王女様は知っているような反応するのですか?」
「「 ・・・・・・ 」」
スパイル国王とイリア王女は、ハッとした顔をするもスパイル国王が深く溜息をついて口を開いた。
「鑑定スキルを使われては、嘘を通せぬな・・」
鑑定スキルを使われた時の独特な刺激を感じた国王は、仕方なく話すことにしたようでマリ達は国王を見つめる。
「お、お父様!」
「よいのだ、イリアよ」
「は、はい・・」
「冒険者ハルは、黒髪黒目なのは知っておる。数年前に王国が召喚した異世界人だったからな。だが、ステータスが平民以下だったため、何も持さず森へ追放した・・そのまま魔物に襲われ亡き者となるはずだった・・」
「そ、そんなのって・・」
マリが手で口を押さえショックを受けている。
「だが奴は、なぜか生きていた・・そして国に復讐をするため新たに召喚した勇者オキタ殿の妨害をするという姑息な真似をしてな・・だが、勇者に匹敵する程の強さを持っていたのも事実。そして、あの忌まわしき魔王が王都へ侵攻し勇者と共闘した」
「それならば、英雄扱いのはずでは?」
ユウカの問いに、スパイル国王は視線を遠くに外す。
「それはないわ!あの男は、オキタ様を傷つけたから」
「イリア様、それは・・・・」
言い換えた言葉を飲み込んだユウカは、王族への不敬罪を恐れ下を向いた。
「この件の話しは終わりにして・・我が王国は、帝国へ第2王女イリアを派遣する」
国王の第2王女イリアを帝国へと派遣するという言葉に、謁見の間にいた者達は驚き騒めく・・もちろんイリア本人も例外ではなかった・・。
国王との謁見が終わり、帝国勇者パーティーと同伴の騎士2人は使用人によって用意された客室へと移動する。その部屋は、かつて王国勇者パーティーが使っていた部屋だった。
「男性の方はこちらへどうぞ・・」
「女性の方は、一つ上の階の部屋です」
階段で別れ、帝国勇者シュン達は王国勇者オキタ達が使っていた部屋へと向かい、残された女性陣は階段を上がり使用人の後をついて行く。
「この部屋が皆様のお部屋となります」
使用人が部屋のドアを開けると、部屋には4つのベッドが並んでいた。
「広いお部屋ですね・・」
リコが部屋に入りそう呟くと、使用人が笑顔で答える。
「こちらの部屋は、召喚されたマイ様・ミオ様・コトネ様そしてマナ様がお使いになられたお部屋です」
「この部屋使っていいのですか?」
「はい・・こちらの部屋は召喚様専用の部屋と決められていますので、他の者が使うことはなく厳重に管理されております」
使用人の女が、部屋に設置された物の使い方などを説明した後に一礼をして部屋を出る。
「お夕食の時間には、私が呼びにきますのでゆっくりとお過ごしください・・」
部屋に残された4人は、それぞれのベッドを決めると女騎士ダリアが鎧を外し普段着へと着替え軽装となる。
「ダリアさん、ここは王城ですよ?帯剣しなくてもいいと思いますよ?」
「マリさん、ここは他国の王城です。騎士として最低限の武器は必要かと・・」
「もう、この国には勇者パーティーがいないから、私たちが負けることはないと思うけどな〜」
「そうですが・・」
真面目な女騎士ダリアを揶揄う3人に苦笑いしているダリアは、この部屋に近づく足音を感じ取り、ドアの方を警戒する。
「みなさん、誰か来たみたいですね・・」
「マリちゃん、あの使用人さんかな?」
「リコちゃん、まだ夕飯には早いと思うよ?」
「てへ・・」
女騎士ダリアとは違い3人は緊張感が皆無だった・・そして、足音は4人の部屋の前で止まる。
コンコンコン・・・・
部屋のドアがノックされ、ダリアが応える。
「なんでしょうか?」
「あの、この部屋に帝国召喚者の女性達がいると聞いたのですが・・」
「どちら様でしょうか?」
ノックした姿の見えない女性の声に品があることにダリアの口調が変わる。
「第1王女ミリアです・・第3王女マリアです・・」
突然の王女様2人の訪問に場数を踏んでいるダリアも衝撃が走り、反応が遅れているとその横をすり抜けてドアを開けるマリの姿があった。
ガチャ・・
「どうぞ、お入りください」
赤色のドレスのドレスを着た金髪少女が部屋に入ると、その美しさに4人が見惚れていると赤色ドレスを着た少女が一礼して口を開く。
「突然の訪問をお許しください・・私は、王国第1王女のミリア=マーカーと言います」
ミリアの後に、水色のドレスを纏ったマリアが続く。
「妹の第3王女のマリア=マーカー・・いえ、マリア=シイナと言います」
「「「「 ・・・・・・ 」」」」
2人の王女の訪問に驚く4人ではあったが最後の方に物凄く耳に残る言葉があり、マリが聞き直す。
「マリア様・・なぜ、名前を言い直したのですか?」
「もう・・マリアったら」
妹の行いに姉のミリアは苦笑いをしている。
「はい、私はとある男性と契りを結びましたが、とある理由で離れ離れとなっております。再会を果たすまで、その想いを忘れぬよう私の新たな家名としております」
「えっと・・家名って・・勇者様の?」
勇者様という言葉に、マリアの瞳が急激に冷えていくことにマリの背筋がゾクッとして漏れそうになったことは、幼馴染にも内緒にした。
「違いますよ・・あの糞野郎は、オキタという家名です。私が名乗っている家名は、シイナです」
「そ、そうですか・・」
それから互いの自己紹介が終わり、ミリアとマリアが訪問してきた理由を告げる。
「みなさんが、謁見の間でお話しされていたのを盗み聞きしていました。その中で、冒険者ハルのことを話されていたので、詳しいことを知りたくて訪ねて来たのです」
「マリアさん、その冒険者ハルと言う方とどういう関係なのですか?」
4人の中でハルと直接会話をしたのは、マリだけでありこの場はマリが受け答えしている。
「・・はい、私が名乗る家名は冒険者ハルの家名でもあるのです」
「マリアさんは、ハルさんの・・・・」
「はい、共に冒険者として旅をして過ごした間柄です・・」
マリアは、立派な胸の谷間に挟み隠していたギルドカードをマリ達に見せる。
「て、帝国冒険者カード?」
「はい、私は帝国から王国へ戻る途中に山賊に襲われ死を覚悟していた時にハルに助けられたのです。そして出会った仲間と冒険者として活動したのでカードを持っているのです」
マリは、野営で出会った時にハルはハーレム状態だったことを告げるか悩んでいると、隣りにいたリコがあっさりと告げてしまった。
「マリアさん、貴方の愛するハルさんは、ハーレムでしたよ?」
「ちょっ・・リコちゃん?」
時既に遅く、マリアは両手で口を押さえ綺麗な瞳から涙を流しているも、マリ達が想像していたものと違う言葉が返ってきた。
「ハル・・本当にハルと会ったのですね・・よかった・・」
「よ、良かった?・・マリアさん、彼はマリアさんがいるのにハーレムを作っていたのですよ?」
「・・ふふっ」
マリアは涙を吹き笑顔で答える。
「マリさん・・私は、ハルのハーレム要員の1人なのですよ・・隣りにいるミリアお姉様もです」
「「「「 え〜〜〜〜???? 」」」」
一夫一妻が常識の世界から来たマリ達は驚愕に驚き、女騎士ダリアは王女をハーレム要員にした黒髪黒目のあの少年に驚きの声を上げていた・・。




