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13章 帝国活動編 11話 見送りとデート

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 一緒に寝ていたアルシアが起き上がりベッドが沈んだことで目が覚めた俺は、夜明けと共にカリナと旅の支度を音を出さないようにゆっくりと動いている2人を見る。


 一緒に行くはずのシェルは、今も俺を抱き締めて気持ち良さそうに寝ている。そのシェルの頬を軽く突いて起こすと、彼女の瞳がゆっくりと開き銀色の瞳で俺を見つめる。


「もう、あさ?・・」


「おはよ、シェル。もう朝だよ・・2人はもう支度してるぞ?」


「んぅ・・妾は体一つだからいいのじゃ」


 眠そうにしているシェルは、俺の腕を掴んでいた手に少し力を入れながら足を伸ばし背伸びをしている。


「起きたみたいだな?」


 アルシアがシェルが目覚めたことに気付いて、ベッドへと近寄り覗き込む。


「アルシアは、マジメなのじゃ・・妾は二度寝を・・」


「何を言ってる?朝一に行って買い物をすると昨日決めたんじゃないか?」


 横になっている俺の上に体をお覆い被さるかのようにアルシアは、シェルの顔を覗き込み掛け布団を捲り潜り込んだシェルの顔を出す。


「んむぅ・・」


 無意識なのかわざとなのか、アルシアの立派な胸が俺の顔に乗せられ柔らかい感触に包まれ口と鼻を塞がれた俺は、右手で少し押し上げて呼吸を確保する。


「んぁ・・旅立つ朝からはダメだぞ、ハル」


「アルシア、息ができないって・・」


「わざとじゃな、アルシアよ・・」


 

 俺達3人が朝からふざけていると、1人離れて見ていたカリナが動きを止めてジッと見ていた・・。


「ほら、カリナが見ているだろ?シェルも起きて支度しなよ」


 俺の忠告にシェルはムクっと体を起こしベッドから出ると、そのまま寝間着を脱いで着替え始める。


「ちょっ・・シェル様?」


「どうしたのじゃ?」


 恥ずかしげもなく裸体になるシェルに、カリナが驚き声を漏らした。


「人前で裸を見せるのは、それに男のハルがいる前で・・」


「ふふっ・・何を言っておる、エルフ族のカリナよ。妾を含めたこの部屋におる全ての女は、ハルと契りを交わしておるぞ?俗に言う・・アレなのじゃ」


「・・・・ハ、ハーレム?」


「おぉ!それじゃ・・ハーレムなのじゃ。誰が先にハルのお子を宿すかは決めておらんのじゃがな」


「・・・・・・」


 カリナが俺ジッと見ている。


「・・なんか、ゴメン」


 説得力も無い言葉を一言だけ告げると、カリナは自身の身体に触れて何かを確かめているようだ。


「カリナ、安心しろ。ハルは何もしていないぞ?寝ていたカリナは知らないと思うが、昨夜はかなり盛り上がったからな・・今日明日は足腰が普段通り動かせる自信はないぞ?」


「まったくアルシアの言う通りなのじゃ・・もうココもかなり満たされてタプタプなのじゃ。激しく動くと、また溢れ出してしまうから大切にせんといかんんじゃよ」


 シェルとアルシアは、下腹部辺りを撫でながら俺をいて微笑んでいる仕草にカリナは理解できないでいる。


「カリナ・・そのうち理解できる日が来ると思うから、あの2人のことを無理に理解しないでも大丈夫だよ」


「そ、そうね・・今の私にはよくわからないから、そうするわ」



 それから、3人の支度が終わり朝市が始まる時間となったため宿屋を出る。その買い物に俺もついて行くことにして、サクッと着替えを終わらせ部屋を出ようとしたらアリスが背後から俺に抱き付く。


「ん?・・アリスどうした?」


「・・私も行っていい?」


 頷いて、上目遣いで見るアリスを抱き上げ部屋を出てカリナ達の後を追った。


 大通りを歩き朝市で賑わっている広場へと辿り着いた。


「降りていい?」


「いいよ」


 抱き抱えていたアリスが朝市の店を見て回りたいようだったため、屈んでおろすとタタタッと小走りに走り気になる出店へと離れて行く。


 アリスの背を視界から外すことなく3人の買い物する姿を見守りながら、アイテムボックスから果実水入り瓶を取り出し空腹だった腹を朝食代わりに満たしていると、アリスが紙袋を抱いて戻って来た。


「おかえり、アリス。何かいいのでもあったのかな?」


「うん・・コレをハルに買ったの」


 持っていた紙袋から肉サンドを出して俺に笑顔で差し出してくれる。


「いいの?」


「うん、食べて」


「ありがとう、アリス」


 肉サンドを受け取り、そのまま食べると口の中には帝国特有の香辛料が効いた味付けではなく、王国の味付けに近いサッパリとした味付けで、朝からでも食べれる肉サンドだった。


「ん・・美味しいね」


「でしょ?この国の味付けは濃い味が多いから意外だったでしょ?」


 笑顔のアリスと場所を移動し、適当なところで野外イスを出して並んで座り朝市を眺めながら肉サンドを食べて3人の買い物が終わるのを待つことにした。



「・・待たせたな」


 座っている俺を見つけたアルシアが2人を連れて俺のところへと戻って来る。


「大丈夫だよ・・必要な物は全部買揃ったかい?」


「余裕を持って10日分荷物をアルシアとシェル様が持つマジックポーチに収納させてもらったから」


「そっか・・それじゃ、宿に戻ろう」


 宿屋へと戻り部屋に入ると、朝食を食べ終え支度を済ませた皆が待っていてくれた。


「ただいま、もうみんなの支度終わったんだね」


「はい、馬車の時間に遅れないよう早めに動いてもらいました」


 カラとラニアの指示でどうやら、寝起きの悪い獣人シスターズも素直に起きて支度してくれたようだ。アメリアから聞くには、ほとんど寝惚けている獣人シスターズの着替えをラニアとカラで済ませたらしい。


「ちゃんと着替えたよ〜えらい?」


 全部1人で済ませたかのように言って来るリルの頭を撫でながら偉いと言ってやると、嬉しそうに銀色の毛並みを持つ尻尾を揺らすリルの姿をカラとラニアは、優しい笑顔で見てた。


(・・まるで母親のような立ち位置だな)


 そんな感情で俺は2人を見ていたら2人の視線から、リルを見ているのとは何か違う感情が伝わって来て思わず頷いてしまった。


「・・・・そろそろ馬車の時間になるな」


 事前に調べていた乗合馬車の出発時間が近づいたため、全員で見送るため部屋を出て大通りを歩く。獣人シスターズは周囲に亜人と認識されると面倒なため、大人しく歩いている。


 途中から俺の隣りを歩くカリナに俺は、小声で聞いた。


「カリナ、村に戻ったら新たに捜索隊を編成するの?」


「そうしたいけど、手がかりの無いまま探すことに族長の許しが出るのは難しいと思う・・」


「そうだよな、俺達もエルナの情報集めるから」


「ありがとう、ハル」


 そのまま会話は途切れてしまい、エルフ村に一番近い都市イティカへ行く乗合い馬車乗り場へと辿り着くと、近くにあった商店で買い忘れていた物をアルシアが買いに行き戻って来る。


「アルシア、シェル」


 アリス達とカリナが話しに夢中になっている間に俺は2人を呼び寄せた。


「・・無理だけは絶対にするなよ?」


「わかっている」


「もちろんじゃ」


 今日も胸の谷間を強調している服を着ているアルシアの今は残っていない、あの時の致命傷となった胸の傷跡があった場所に視線がいって不安が隠せない俺がいる。


 視線の意図に気付いたアルシアは、少しだけ動き触れようとしていた俺の右手を握りその傷を負った場所に手を添える。


「ハル・・もう過去の話しで、私は今もこうやって生きているではないか?」


 右手にアルシアの胸の鼓動が伝わり、生きていると告げている。


「そうだね・・アルシア」


 指先に伝わる柔らかい感触が無くなり、アルシアが俺の手を下に下げるとギュッと抱き締め耳元で小さく本音をささやく。


「離れたくない・・ずっと、ずっとハルの傍にいたい。ハルのいない・・ハルに看取られることなく1人死ぬのなんて怖くて無理だ・・・・でも、行って来るぞ」


「アルシア・・気を付けて」


「うん・・」


 アルシアの隠している不安な本音を少しでも和らげるように強く抱き締めていると、無情にも鐘が鳴り響き3人が乗る馬車の出発の時間を知らせる。


「シェル、アルシアとカリナを頼むな」


「妾に任せるのじゃ・・それより、妾にはないのか?」


 泣き真似ををするシェルの細い腰に腕を回し、アルシアと同じように抱き寄せる。


「シェル、元気で・・ちゃんと俺の元に帰ってこいよ」


「もちろんなのじゃ」


 潤んでいる銀色の瞳から溢れた涙を指で拭いてから口付けをする。そして、隣にいるアルシアも右腕で抱き寄せて口付けをした俺は腕を離し一歩だけ下がる。


「アルシア、シェル様・・出発の時間です。馬車に乗りましょう」


 カリナが馬車に乗ることを催促するも、2人は足を動かさず俺をジッと涙目で見つめている。その2人の手を握り体を回転させて馬車の方へ向け背中をソッと押すと、素直に馬車へと歩き乗って行く。


「アルシア、シェル・・近くの都市イティカに俺達も行くから、そこで合流しような」


 アルシアとシェルは、言葉が出ないようで頷くだけだ。普段の彼女らからは想像できない姿で、俺の胸も一時的な別れとはいえ胸が苦しい。


 なんとも言えない時間の中で馬車がゆっくりと動き出し俺達から離れて行く。その小さくなっていく姿が見えなくなるまで見送った後に俺は皆に告げる。


「行ったね・・さぁ、俺達は宿に戻ろう」


 そのまま歩き出すの俺の左側にカラが並び歩き左手を握ってくれる。


「行っちゃったね・・」


「そうだね・・なんだろうねこの感覚は・・元の世界じゃ普通の別れなのに・・この世界だと無事に再会できるとは限らないからかな?」


「大丈夫よ、ハル。あの2人は強いから」


「たしかに、そこらへんの冒険者よりは強いけどさ・・」


 朝早くから動き出し、馬車を見送った俺達にまだ今日という時間にはまだ余裕があり宿屋の部屋にいる俺は冒険者ギルドに行って、何かエルナの・・エルフ族の情報がないか確認することに決めるもカラと2人で行くことになった。


 パーティーの戦力最強クラスの獣人シスターズは、ケモ耳がバレると面倒なため諦めラニアやアメリアは基本的に戦闘(バトル)メイド服のため目立つ。黒髪少女アリスは、部屋でゴロゴロしたいと言うため諦めた。


 そこで残ったのはカラということになり、久しぶりに2人きりで街を歩く。


「ハル、久しぶりのデートよね?」


「そうだね。大勢で旅をしているからカラと2人で過ごすなんて、リサがいた頃も・・」


 王国勇者達と俺の元の世界へと送還された、この世界の幼馴染リサの名前を口にしてしまったことにカラも驚いた表情をしている。


「・・・そ、そうね。あの子は今頃どうしているのかしら」


「文明の違いに驚いて苦労しているかもな〜魔物がいなくて平和そうで殺伐とした世界だったし・・」


「魔物がいなくて、平和なのに?」


「あぁ、この世界は不安定だけど、なんとかすれば生きていけるじゃん?」


「そうね・・」


「俺が生きていた、あの世界は・・なんとか苦しくても生きようとする人達よりも、自ら死を選ぶ人の方が多いんだよ」


「それって、自害すること?」


「そうだよ・・アリスぐらいの年頃の子達もその選択をする世界だったからね」


「・・・・住みにくい世界なのね」


「だね・・魔法がない世界だったから。今思えば、この世界に召喚されて良かったかもな・・いきなり森に捨てられて死にそうにはなったけど・・」


「私は、ハルに出逢えて幸せよ」


「俺もだよ、カラ」


 そのまま大通りを歩いて冒険者ギルドへと向かうのもつまらないと思い、途中にあった飯屋で昼食を食べてからギルドへと行くことをカラに言うと、喜んでくれたくれて彼女が自ら店を探し手を引っ張られながら飯屋へと入ることになったのだった・・・・。


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