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12章 王国離脱編 28話 帝国へ

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 王国の辺境都市ノスガン・・帝国の侵攻から守るための都市でもあるため、兵士の数が多い気がする。冒険者は、他の都市にあるギルドより報酬が多いようで冒険者の数も多い感じだ。


 そのノスガンで20日程滞在し今も冒険者ギルドの併設されている食堂で寛いでいるところで、隣に座っていた冒険者パーティーが噂する女冒険者だけのパーティー。


 その噂話しを聞き入っていると、アリスにその行為がバレてしまい何故かご機嫌斜めになってそっぽを向かれてしまう。


 そんな感じになってしまった俺は、立ち上がり情報誌を取り席に座ってからゆっくり情報誌を見ていると、とある欄の文面に目が止まった。


 帝国の召喚勇者シュンが、王国王女様と共に帝国へ・・


 そんな記事を読み驚きながら最後まで読むと、どうやら過去に第3王女マリアを帝国へと向かわせたものの帰りに行方不明となり大捜索で迷惑をかけたため、その謝罪をするためらしい。


 でも、この記事には、王女様としか書いて無いため3人の誰かはわからないようボカしている。


(継承順ならミリアが1位だけど、人質となれば、戦力的に負ける王国は・・さすがにミリアじゃなく3位のマリアが妥当なのかな・・それか、勇者好きの2位の子だったりして・・)


 そんなことを考えている俺は、帝国に王国の王族が行くなら警備が厳重になり面倒になるだろうと思った俺は、k王道を別にしているラニア達に念話で伝える。


『みんな、数日のうちに帝国が召喚した勇者一行と王国の王族が帝国へ行くらしいんだ。そうすると、普段より街の警備が厳しくなると思うから行動を制限されるかもしれない。だから、今日中に旅の準備を整えておいて』


 そう伝えると、この街に着いた日からしばらく旅に必要な物は買い終えているとラニアから返事が返ってきたものの、もう一度買い忘れが無いか商店へアメリアとカラで行くらしい。


 それから飲み食いが落ち着いた獣人シスターズ達を連れてギルドを出て、俺達も商店がある通りへと向かう。


「急にどうしたの?」


「アリス、明日にはこの街を出て帝国へ行くことにしたんだ。今日のうちに欲しい物を買っておいてね」


「・・わかった」


 あのトラブルのあった商店には近づかないようにして、獣人シスターズが欲しがる物を買っていくとほとんどが食べ物だった。


 その途中で見つけた魔法具を専門に売る商店を見つけて、俺はリル達に遠くに行かないよう伝え、ミオに銀貨数枚を手渡し1人店に入る。


「いらっしゃいな・・」


 少しかすれた声の女性が出迎えてくれる。


「こんにちは・・」


「初めて見る子だね・・」


 カウンター前の椅子に座る白髪の年老いた女性が俺を見上げている。


「そうですね、旅の途中にこの街に滞在してますから」


「そうかね・・まぁ、人気のない店だから気に入る物が売ってなかったらすまないね・・」


「いえ・・少し見てまわっても?」


「いいよ・・わからないことがあったら聞いてな」


「はい、ありがとうございます」


 店主は、俺との会話を終えるとゆっくりと目を瞑り動かなくなった。


(・・息絶えた?・・んな訳ないよな)


 そのまま気になるけど、気にしないように店内の商品を見て回る・・・・魔法具の知識はほとんど無いため、見てもよくわからない。


 なんとなく知ってる風に見ていると、なんとか知っている魔法具が目に入り手に取る。


「・・マジックポーチかな?」


「そうじゃ」


「ひぃ・・」


 いつの間にか、背後にピッタリと寝ていたはずの老婆が立っている・・。


 (生命反応が小さ過ぎて気づかなかったのか?)


「なかなかの目利きだね・・」


「そ・・そうですか?」


「このマジックポーチは、馬車4台分の収納できるさ」


「お、おぉ・・凄い能力ですね」


「お前さんには、特別に金貨10枚で売るよ・・ひっひっひっ」


 背後に立つ老婆が俺の背中を撫でる動作に、恐怖を感じながら購入を伝える。


「わかりました・・金貨10枚で・・」


「まぁいど・・」


 金貨10枚を手渡すと、そのまま老婆は覚束ない足取りで椅子へと戻り座ると再び目を瞑り動かなくなる。


(・・帰りたい)


 そんな気持ちが湧いてきて、店から出ようとすると目を瞑っていた老婆が俺をジッと見つめている。


「「 ・・・・・・ 」」


 俺は足を止めて老婆と無言で見つめあっていると、先に老婆が口を開く。


「私には、じい様がいるからダメだね・・」


(・・いきなり何を言っているのだ?と考えていると老婆は続ける)


「あるよ・・まだあるよ」


「・・何がですか?」


「同じやつ・・・・金貨40枚」


「いや、もう十分なんで」


「まいどあり・・」


 本能的にこの老婆に逆らってはいけないと思った俺は、金貨40枚を老婆に手渡すとマジックポーチが入った巾着を受け取る。


「どうも・・・」


「店を出るまで中身を見ちゃいかんぞ?」


(あ〜コレは騙されたやつだ・・と気付き、そのまま頷き振り向くことなく店から出た瞬間に頭が急に重くなりふらついてしまった。


「どこ行ってたのよ!?」


 不意にアリスの声が聞こえ顔を向けると、アリスが俺に飛び込んでくる。


「アリス?」


「もう、探したんだからね!」


「えっ?だって、ここの店にずっといたぞ?」


 俺はさっき出てきた商店に指差す。


「・・何を言ってるの?ここは空き店舗じゃない」


 アリスの言葉が意味わからず視線を向けると、窓越しに見える建物の中はカウンターと棚があるだけの空き部屋だった。


「・・・・嘘だろ?」


「ねぇ、その薬くさい巾着はなに?」


「これ?・・店で買った物が入ってるけど・・」


 口を広げて中身を取り出すと、たしかにマジックポーチが4個入っていた。


「これって・・」


「マジックポーチだよ。アリスに1個あげようと思って」


「ありがとう、ハル」


 マジックポーチを受け取ったアリスは、嬉しそうな顔をしている。


 ややあって、獣人シスターズと合流し宿屋へ帰ると買い出しに行っていたラニア達が先に戻っていて、一度部屋に戻っていた俺は下に降りて受付にいるクロコに話し掛ける。


「ちょっといいかな?」


「どうしたニャ?」


「明日の朝に街を出ることにしたから」


「わかったニャ・・やっと夜が静かになるニャ」


「あぁ、長い間世話になったね」


「世話して疲れたニャ・・しばらくは休業ニャ」


「それが良いかもな・・」


「それなら、明日から帝国に行くニャ?」


「そうだね・・もうこっちの国に来ることはないかも」


「そうかニャ・・」


「元気でな、クロコ」


「ハルもニャ」


「やっと、名前で呼んでくれたな?」


「最後のリップサービスだニャ」


「ありがと」


「次は、銀貨1枚の有料ニャ」


「わかったよ、クロコ」


 そうクロコと雑談が終わり、いつもの宿屋の夜を迎えて朝になる。この宿屋での最後の朝食を終えて、ラニアとカラは預けていた馬車を引き取りに行く。


 その待っている時間を宿1階の共用スペースで過ごしていると、クロコが同じ猫人族のミオとミリナと楽しそうに話しをしている。


 リルとクウコは、珍しく2人で外に出て日向ぼっこをしにどこかへ行った。


 アリスは何故か、俺の膝の上に座り足をゆっくりばたつかせている。


 そんな平和な日常を眺めていると、宿屋の前に馬車が止まる音が聞こえラニアが入ってくる。


「みなさんお待たせしました〜」


 それから宿屋を出て馬車に乗り込んでいると、リルとクウコが戻って来て荷台に乗り込む。


「それじゃクロコ、元気でな」


「ハルも元気でニャ」


「「「「  バイバーイ!!!! 」」」」


 獣人シスターズがクロコに手を振るとクロコも手を振り返している。獣人同士で何か繋がるモノがあるのだろうか。結局姿が見えなくなるまで、クロコは手を振って見送ってくれたのだった。


 辺境都市ノスガンの北門から外に出ると、真っ直ぐ伸びる街道が北へと伸びている。街の近くは草の背が低い草原が広がっていてその先に丘陵地帯があり森が広がっている。


 ここが標高が高いから遠くを見渡せることができるから、ここで街が発展したのだろう。数台の商人や冒険者パーティーを乗せた乗合馬車とすれ違いながら、目的地である帝国へと向けて俺達の旅は始まったのだった・・・・。


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