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12章 王国離脱編 22話 山賊の殲滅と代償

アクセスありがとうございます


 どこにでもいる山賊だと思っていた・・最悪でも元冒険者達が奴隷落ちから逃れるために街を捨てて山に逃げて山賊へとなっていく。


 それでも、こんな組織的に動く山賊なんて聞いたことがないる・・・・。


 厄介なのは、隠密スキルのように姿を眩ましながら攻撃している者達だ。


 自分で攻め込むのは良いけど、逆に攻め込まれるのは非常に面倒な敵だ。


 意表を突かれラニアとアルシアに見えない敵に捕まり、御者台から強引に引きずり下ろされてしまうも、戦闘(バトル)メイドとしての能力アップをしていたため怪我はないようだ。


 彼女達に対人戦闘の経験を積ませる前だったため、先手を取られたのは仕方ない。荷台で控えているリル達に守ってもらうしかない。


 だけど、突然馬車の周囲で血飛沫が舞う・・俺に見えない敵でもリルとクウコには普通に見えているのだ。馬車の近くから遠くへと地面が赤く染まっていき、息絶えてスキルが解除された男と達の骸が転がっていく。


 リルとクウコの2人が、荷台から幌の上に上がり俺を見つけ笑顔で手を振るも、全身に矢が刺さって血だらけの俺の姿を見て、2人の笑顔が凍り付き念話が届く。


『『 ハルッ!! 』』


『無事だ!・・傷は治癒してる。戦いが終わってから抜くの手伝って』


『『 わかった 』』


『ありがと、そのまま馬車を守ってくれ!』


『『 うん。まかせて 』』


 互いに背中を合わせるように立つリルとクウコの姿を見て、カッコイイと思いながらシェルとアルシアを呼ぶ。


『シェル!アルシア!・・俺のところまで来れるか?』


『今行くのじゃ!』


『私もだ!』


 2人が俺の元へ駆けつけてくれる僅かな時間に、俺は背後から雄叫びを上げて迫る山賊達の足止めをするため道幅いっぱいに土魔法アースウォールを出現させる。


 ゴゴゴゴゴ・・・・


「なんじゃこりゃー!」


 アースウォールを見たことがないのか、土壁の向こう側から驚きの声が聞いていると2人が傍に来てくれた。


「待たせたの、ハルよ」


「ハル、その怪我は平気なのか?」


「抜くの痛いから、このままにしてる。終わったら抜くの手伝って」


「・・・・いやいや、少しでも抜くぞ」


「アルシア?まっ・・ぐぉ・・」


 俺の制止を気にすることなく強引にズブズブ矢を抜いていくアルシアの瞳は、一生俺は忘れないだろうと痛みの中で感じていた。


「ハイヒール!」


 結局全部抜かれ、新たに鮮血が出た悶絶しているところでアルシアが治癒魔法をかけてくれて完治させてくれる。


(・・アルシアにSっ気があるのか?)


「ん?・・別にハルが痛がるのを見るのが好きではないぞ?この痛々しい姿を見るのが辛いのだ」


「くっくっく・・アルシアよ?本当はどうなのじゃ?」


「ばっ・・何を言うか!?愛する男の痛々しい姿を見て耐えれるはずがなかろう」


「・・そう言うことにしておくかのぉ」


「2人とも・・そろそろいいかな?敵さんも攻めて来そうだし」


 2人はニヤリと笑い頷く。


 2人を連れて右側の斜面を駆け上り全体を見渡せる位置に立つ。


 リルとクウコが守っている馬車の周囲は血の海となり、数十人のしたいが転がっていて今は仰向けになって転がっている潰れた死体が馬車から離れた場所で新たに増えて行っている。


「一方的な虐殺だな・・味方でよかった」


「本当じゃ・・あの子があんなに強く成長するとは予想なのじゃ・・」


「シェル・・よし、俺達も負けていられないぞ」


 見上げる程の高さのあるアースウォールは道幅分しか展開してないため、斜面を上がればこちら側に侵入できる。それにやっと気付いたらしい山賊達が何故か俺達がいる片側からだけ雪崩れ込んで来る。


「シェル、魔法でアイツらの動きを止めて」


「任されたのじゃ!・・目覚めよ氷結の王・奴等の鼓動を永遠に凍らせよ・ブリザード!」


 シェルの指先から真っ白な雲ののような煙のようなものが出現し、地面を凍らせながら放射線状に広がっていき山賊達がいる範囲のみ足元を凍らせ真白で分厚い雲が彼らを包み消え去ったあとには氷像と変わり果てた山賊達の姿があった。


「すげぇ・・みんな凍ってる。やる時はやるんだな・・シェル」


「当然じゃ!妾は正統なフェンリルの末裔なのじゃ」


 何故か頭を俺に向けるシェルに、仕方なく頭を撫でてやりながら目を細めるシェルの表情を見た後に俺はアルシアを見て告げる。


「アルシア、このまま全員斬り倒すぞ!?」


「あぁ、いつでも良いぞ」


 片手剣の刀身に火属性を纏わせて、氷像となった山賊の胴体や首を斬り落とし確実に絶命させていく。完全に凍っておらず、シャーベット状になっているため素直に斬れる。


(シェルのやつ・・ここまで考えて力加減を?)


 斬りながら駆け抜けている途中に斜面にいるシェルの方を見ると、俺の視線に気付いたのかニヤッとしてやりきった表情をしている。


(・・まいったね)


 氷像となった山賊達をアルシアと2人で全員斬り倒したところで、シェルが斜面から降りて来る。


「ハルよ、もう終わったのか?」


「あぁ、シェルが凍らせてくれたおかげだな」


「んふぅ〜そうかそうか・・今夜の褒美が楽しみなのじゃ」


「ハル!・・私もたくさん倒したぞ?」


「ありがとな、アルシア助かったよ」


「くぅ〜なんか雑な扱い・・それもまた良いぞ」


 頬に手を当てて悶えるアルシアの思考がわからない俺は、ただ無言で見つめるだけだった。


「シェル、アルシア・・それよりも、馬車の方へ戻るぞ」


 アースウォールを消し去り馬車の方へ向かうと、戦いが終わったのかリルとクウコが幌の上から降りて小さな体で荷台を引っ張っている。


「リル、クウコ!」


「ハル!・・お馬さんが死んじゃったの」


 リルの悲痛な声で、俺は馬が血だらけで倒れていることに気付きラニアとアメリアが傍で座っている。


「馬を狙われたか・・」


「ねぇ、ハルの魔法でお馬さんを助けれない?」


 抱き付くクウコが見上げて俺を見ている。


「たしかに俺の治癒魔法なら・・」


「ハルッ!」


 カラが俺を見て首を横に振っている。


 カラは2回程、俺の治癒魔法で蘇っている。その後の俺がどうなっているか知っているため、賛成はしていない様子の表情をしている。


「・・ラニア、ここから次の街までどれくらいかかる?」


「お待ちください」


 ・・・・・・


 ラニアは地図を広げ、現在地が街道が通っている山だったため大体の場所を把握し北側の街までの距離を算出している。


「・・・・えっと、馬車の移動ならば4日ですが、歩きとなると10日はかかる計算になります」


「歩きで10日か・・・・リル?」


「なぁに?」


「周囲に人族の気配は?」


「山には、リル達以外は、魔物しかいないよ〜」


「そうか・・俺達が向かう方は?」


「ん〜とね、パーティーみたいなのが4つだよ」


「来た道からはどう?」


「遠くにたくさんの人族の気配があるよ。きっと、あの人達じゃない?」


 俺は、リルが言う人の気配を探すため、来た道へとスキルを指向し探すと捉えることができた。


「遠いな・・けど、こっちに向かっている」


 御者台にロープを繋げて、血の海となった場所から移動させ離した後に火魔法ファイヤーウォールで山賊達の死体を灰と化して吹き飛ばした。


「ハル、これからどうするの?」


 リルの問いに俺は頭を撫でながら告げる。


「そうだな、この場所を通る人にお願いして街まで運んでもらおうと思う」


 長く連れ添った馬を皆で火葬し、ここを通るだろうあの豪商達を待つことにしたのだった・・・・。

 

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