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12章 王国離脱編 13話 地方都市ハバール②

アクセスありがとうございます。

感想&ブクマ&メッセージありがとうございます。


 ソファで寝てバキバキになった全身を回復させて、今は都市ハバールの街中を散策している。一応、追われている身?でもあるから、帝国まで休まず行く必要があるけど、王国育ちのカラ達がいるから立ち寄った街を楽しませないとと思い実行している。


「ここの冒険者ギルドで、いきなりアメリアに注意されたんだよな・・」


「そ、そうでしたっけ?」


 隣りを歩くアメリアが思い出したのか頬を紅くして俯いている。


「そうだよ、そこの冒険者!ここで、なにやってんだー!的な感じで言われてね・・」


「あははは・・そんな粗悪な受付嬢が存在するものなのですね〜初耳です・・・・」


 そんな昔話をしながら商店が並ぶ通りに入り、気になる商店へと散り散りになり買い物時間が始まり俺は1人で通りを歩く。


「おい、ちょっと待ってくれるか?」


「ん?」


 振り向くと男3人の見知らぬ冒険者に呼び止められたようだ。


「俺らの大事なメンバーにちょっかい出すのやめてくれないか?」


「・・どういうこと?」


 そのまま無言でついて来いと言わんばかりの手招きで俺は商店の間にある裏路地へと繋がる細い道へ入り付いて行く。


「・・それで、俺になんか用なの?せっかくの買い物時間が終わるんだけど・・」


 前を歩く3人は無視して歩く・・こんな隙だらけだから、このまま簡単に逃げれるけど大人しくしていよう。


 しばらく無法地帯で荒れた裏路地を歩くと、別の大通りへと出てとある家の前で3人の男は止まり振り向き、真ん中に立つ小柄な男剣士が告げる。


「本当に大人しくついて来たんだな・・」


「・・・・えっ?無視してよかったんだ」


「・・入れ」


「断る・・」


 ザザッ・・


 背後に数人の男達が囲い逃げ道を無くす。


「入るだろ?」


「はぁ・・ここまで歓迎されたら、入るしかないみたいだな」


 家の中に入ると、すぐさま地下へと続く階段を降りて薄暗い部屋に入ると、奥に1人の男がソファに座っていた。


「ようこそ、冒険者さん」


「・・どうも。それで、俺になんの用なの?」


「はっはっはっ・・こんな状況で冷静でいられるなんて、高ランクなのですか?」


「ランク?・・・・気にしてないから覚えてないな王都のギルドじゃCランクまでいったような気もするけどな」


 周囲にいる冒険者からは、鼻で笑われてしまう。


「Cランクですか・・なかなかの普通の強さですね。ここにいるあなた以外の人は、全員Aランクなのですよ」


「へぇ〜これでAランクになれるのか・・」


 皮肉をこめて呟くと、冒険者達から殺気が漏れはじめソファに座る男はニヤリと笑う。


「さて、無駄話はこれぐらいにして本題に入りましょう・・あなたが連れている女性陣を私に売ってくれますよね?」


「はぁ?」


「金貨300枚で、手を打ちましょう」


「何を言ってんの?」


 男は、巾着袋を俺の足元に放り投げる。


「話は終わりました。その巾着袋を持ってお帰りください・・皆さん、お客さんのお帰りです!」


 呼ばれて一方的に話が進み、彼女らを売り渡せと告げる男が巾着袋を投げつけて帰れと言っている。


「待てって、そんなの認める訳ないだろ!バカなのか?」


 そんなやりとりをしていると、念話が次々に届く。


『ハル、変な男達が追ってくるの・・』


『カラ、そのまま逃げて捕まるな!』


『ハルさん、見知らぬ人たちに囲まれました』


『ラニア、逃げれるか?』


『はい・・たぶん逃げれます』


『リル、クウコみんなの護衛に・・』


 ドゴォン!!


「ハル、迎えに来たよ」


 振り向くと、ドアを吹っ飛ばし倒れた男達を踏みながらリルとクウコが俺の傍に立つ。


(しまった・・間に合わなかった・・)


「ありがとう、2人とも」


「おぉ〜なんと美しい少女だ・・この子達が私のコレクション入りするとは・・これは夜が来る前に楽しむのも一興だ」


 背後で気持ち悪いことを口にする男の言葉を無視して、カラ達の元へ急ぐことにする。


「おいおい、その美少女2人と帰ろうとしてんだ?帰るなら1人で帰れ」


 俺を通りで呼び止めた男が、抜剣し俺を制止する。


「じゃま・・」


 ブシュッ


 リルの小さな声とともに、男は全身から鮮血を撒き散らしながら剣を握ったまま絶命し倒れる。


「汚い・・ハル、いこう」


 リルに手を引っ張られ部屋を出て階段を上がるとクウコが見上げながら口を開く。


「ねぇハル?何してたの?」


「あぁ、いきなり連れ出されて、クウコとリルを売れって言ってきたんだ。即答で拒否したけどな」


「私とリルを売る?」


「あぁ、簡単に言えばソファに座っていた男が奴隷として2人を買い取り、夜伽の世話を強制的にさせるってことだよ」


「・・そうなんだ、ちょっと行って来るね」


「あっ・・ちょっとクウコ!?」


 クウコは、上がって来た階段を引き返し降りて行く。


「ハル、大丈夫だよ。クウコならすぐ戻ってくるから」


 手を引っ張るリルは笑顔で言い、足を止めることなく家の外へと出て通りでクウコの帰りを待つことにした。


 ヒュン・・


 不意に目で追いきれないほどの高速で動く気配を感じた直後に胸元に軽い衝撃を受けて、視界に金髪が舞うのを視認していつも傍にいる存在の香りを感じる。


「ただいま」


「おかえり、クウコ」


 上目遣いで俺を見つめる金色の瞳のクウコの頭を撫でているとリルがクウコに問いかけた。


「クウコ、掃除は済んだの?」


「済んだよ、リル。綺麗さっぱりね」


「さすがクウコだね。リルは真似できない・・」


「なぁ、俺だけ置いてかれているんだけど・・掃除ってなに?」


「部屋の掃除だよ。あの部屋汚れてたから、何も無い部屋にしてきたの」


「・・それじゃ、今は誰もいないってこと?」


「うん。ただの空き部屋と一緒にしてきたよ。クウコちゃん、えらい?」


 無垢な笑顔で悍しいことを言うクウコに偉かったと伝えると喜び、俺から降りて自分で立つ。


「なんか、みんなが見知らぬ男達に襲われているから急いで助けに行くよ」


「そのまま、待ってハル」


「どうした?リル?」


「つぎは、リルの出番だよ〜」


 リルは俺から視線を外し何かを探り始めたようだ。そして、1度頷いてから右手を上に掲げて何度か軽く横に振る。


(・・あれ?・・この仕草ってもしかして)


 リルは右手を下ろして俺を見ると笑顔になる。


「リルちゃんも、お掃除終わったよ〜」


「もしかして、リル・・」


 リルの行為について聞こうとしたタイミングで再び念話が繋がる。


『ハル、急に襲ってきた男達が消えたの・・』


『ハルさん、大勢の男がいきなり悲鳴を上げながら姿を消しました!』


 カラとラニアから動揺する声が立て続けに届く。


『落ち着いてみんな・・男達の対処は、さっきリルが処理してくれたから・・街道で魔物達を排除する方法で・・』


『『 あっ・・・・ 』』


 なんとなく納得した感情が乗った念話を聞いてから、宿で二日酔いで動けないアルシアとシェル以外の全員の無事を確認して街の広場で合流した。


「よかった、みんな無事で・・」


 実際にこの目で無事な姿を見るまでは、落ち着いていられなかった。


「ハルさん、いったい何者達だったのでしょうか?」


 アメリアから聞かれ俺は出会った男の話しを皆に伝え、クウコとリルが全滅させたことも言った。


「間違いなく人身売買が目的ですね・・ならば、貴族が絡んでいるのが濃厚ですね。ハルさん」


「やっぱりそうなるよな、アメリア・・みんなは、欲しいもの買えた?」


 どうやら買い物が終わった後ぐらいに追われたようで、目的は達成されたようだ。


「それなら、このまま宿に戻ろう」


 宿への帰り道に気配探知を発動しながら周囲を警戒し移動するも、宿の部屋に入るまで不審な存在は確認できなかった。


「ただいま〜!」


 部屋に入ると、朝から変化のないアルシアとシェルはベッドで仲良く横になっている。


「今日は、あの2人は復活しそうにないね」


「そうだね、カラ・・・・明日もこのままなら放置して行くか?」


「ふふっ・・そんなこと絶対にしないくせに」


「バレた?・・引き摺ってでも連れて行くよ」


 カラとソファに座り寝ているアルシアとシェルを眺め時間が流れ今日という日が終わり、皆が寝静まった頃に俺は目を覚まし身体中に絡まっている手足を退かしベッドから降りる。


(リル達の寝相の悪さは、相変わらずだな・・それにアリスも加わっているとは思ってもいなかった)


 5人からの拘束から逃げるだけで、どっと疲労感が湧いてくる気がすると思いながら隠密スキルを発動し部屋から出て夜の街へと1人歩き出す。


(さてと・・この街を出る前に、あの男の正体ぐらいは探っていないとな・・)


 たまにすれ違う巡回する兵士達を見送りながら、大通りを歩いていると明らかに巡回任務では無いだろう男が2人歩いているのを見つけ、ピッタリと背後につき興味本位でついて行くことにした。



「・・なぁジール、昼に起きたアレのことを聞いたか?」


「あぁ、ついさっき聞いたよレダン・・ヤバイよな」


 男2人の会話を聞く限り昼に絡んできた奴らと関わりを持っていると断定できて、このままどこまで行くか追うことにする。


 そして大通りを曲がったところで、巡回する兵士とばったり出会してしまうと、予想外に男達ではなく兵士2人が驚いている。


「うぉっと、ジールさん・・お、お疲れ様です」


「あぁ、毎晩ご苦労さんだね・・」


「いえ・・任務ですから・・では」


 兵士達は、誰何することなく軽く言葉を交わしただけで巡回任務へと戻り暗闇に姿を消して行く。


(どういう関係なんだ?)


 再び歩き出す2人は、住民達が暮らす街区から離れ大きな屋敷に続く道を歩いて行き、まだまだ屋敷が遠くに見えるのに豪華な門扉が道を塞いでいる。


 コンコン・・


「ジールと」


「レダンです」


 門扉横の通用門の木扉を叩き名前を告げると、鍵が解除される音が聞こえゆっくりと扉が開き執事の格好をした白髪の老人が姿を見せる。


「どうでしたか?」


「・・セバスさん、綺麗さっぱり処理されて痕跡が1つも見つけられなかった」


「・・そうですか。残念です。どうぞ、お入りください。当主もお待ちになっております」


「なんか、報告し辛いな・・」


「それも当主の依頼でありますから、お願いしますジール殿」


「はぁ・・わかってますよ、セバスさん」


 セバスという執事の後にジールとレダンが中に入り、俺も忍び足で入ると一瞬セバスと視線が重なったように感じたものの反応なく通用門を閉めて施錠し屋敷へと先導する歩き出したため、そのまま付いて行くことにする。


 無駄に長い庭の道を歩き、やっとのことで屋敷に正面玄関に辿り着くと深夜なのに玄関扉が開かれ、中からメイドが4人も姿を見せる。


「ジール殿、レダン殿・・お帰りなさいませ。御当主が客間でお待ちになっております。お疲れだと思いますが、このままご案内します」


「あぁ、わかったよ。メイド長も起きていたんだね」


「・・はい。当主が眠るまで仕えるのがメイド長の嗜みです」


 メイド長は一礼し、男2人を客間へと案内するようだ。


(すげぇ・・アレが本物のメイドの洗練された動きなのか・・)


 そう思いながら付いて行くと、玄関に残っていた執事のセバスと若いメイドの短いやりとりが、妙に耳に残ってしまう俺だった・・・・。


「ミリー君、セリカ君、ライカ君・・さっき小さなネズミを庭で見つけましたので、日の出までに駆除をお願いします・・」


「「「 はい、御当主様のために・・・・ 」」」


 



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