10章 王都奇襲編 14話 戦闘後のイザコザ
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いまだに沖田達が歓喜を上げているのを静かに見つめていると、その向こうにぼんやりと光だし何かを照らしているように見えた。
「アレは、なんだろう・・」
「扉?なんか誘っているみたいだね、おにぃ・・」
隣に立つ琴音が呟く。
「だな・・。ヤツを倒したことだし、ミオ達のところへ戻ろう」
「うん」
少し離れた場所にいる真衣達とその護衛をしてくれたアイナとリンと合流し、横たわったままのミオとミリナへ駆け寄った。
「ラニア・・」
「ハル・・」
ミオの傍で座っていたラニアは、暗い表情で首を左右に振る。
「そうか・・」
視線をラニアからミオとミリナに向けると、シェルが口を開いた。
「ハル、ミオとミリナの傷はちゃんと治っているぞ・・ただ、意識だけは本人任せじゃ。今後の戦闘は到底無理じゃろうて」
「・・だよな。わかったよ、シェル。ありがとう」
2人の思わぬ戦線離脱で、この場の空気が重くなっている時に背後から沖田のムカつく声が聞こえる。
「なぁ!お前ら、ポーションわけてくれよ!たくさん持ってんだろー??」
「「「 ・・・・・・ 」」」
声に反応した俺は沖田の顔を見たけど、俺以外の誰も顔を向けず反応しない素振りを見せている。
タタンッ!!
沖田が積み重なった骨の残骸から飛び降り床に着地し、ズカズカと歩いてやって来る。
「シカトすんなよな・・・・ねぇ愛菜ちゃん、持ってるよね?ポーション」
「ぅえっ・・あっ・・」
沖田に声をかけられた愛菜が動揺し、強引に腰元にあるマジックポーチを沖田が強引に開けられそうになり、俺を見て助けを求めている。
「・・・・受け取れっ」
すかさずアイテムボクスからポーションを取り出し、先に投げ出して沖田に声をかけた。
「ぅおっと!・・おっ?高品質ポーションじゃねーか。椎名、まだ持ってるだろ?石原達にも必要だからわかるだろ?」
「あぁ、わかった」
俺は愛菜を沖田から守るため、沖田の前へ移動し右後ろへと愛菜を下がらせながら人数分のポーションを渡すと沖田は溜息をつく。
「ハァ・・魔力回復ポーショもいるに決まってんじゃん」
「・・・・」
俺は無言でアイテムボクスから魔力回復ポーションを出して手渡すと、沖田はニヤついた。
「ありがと・・なっ!!」
ドゴッ!
「がはっ!」
完全に不意を突かれ、無警戒で沖田から視線を外していたため、反応できないまま腹に足蹴りをモロに受けた俺は後方へ飛ばされ受け身を十分取れないまま強く床に背中を叩きつけられ数回転がり壁に激突し止まった。
「いっってぇ・・・・」
沖田が追撃する様子が無かったため、このまま壁際で俺はゆっくりと上半身を起こす。
「ハルッ!(にぃに!)」
真衣と美音が泣き叫ぶような声で俺の名を呼びながら駆け寄ってくれる。
その向こうで、琴音達が沖田に刃先を向けて対峙する光景が見えた。
「なんてことをしてくれたんだ!」
アイナの怒号が聞こえる。
(おぉ、アイナのあんな声・・久しぶりに聞いたな)
「うっせーんだよ!いいかお前ら?俺は、魔王を唯一倒せることができる勇者なんだぞ!あんなどこにでもいる平民ジョブの男より敬う存在なんだぞ?俺は!」
(・・また勇者様アピールか)
そう思っていると、細い足が見えたかと思った途端に俺の視界に真衣と美音の顔に占領され声を漏らしててめぇしまった。
「おう?」
「ハルッ!まだ起きちゃダメ・・横になって」
「おにぃ、頭痛くない?大丈夫?」
真衣と美音に優しく強引に俺は横にさせられ、頭が柔らかいモノの上に乗せられる。
「だ・・だいじょうぶだよ」
真衣に膝枕をされ、彼女の戦闘スタイルで膝上のスカートを履いているから頬に直接柔らかい感触が伝わる。
(あ〜治癒魔法よりも癒される・・・・ん?アレはもしかして)
視線の奥に太ももの隙間から見てはいけない存在を見つけててめぇしまった。
(今日は、水色だったんだ・・)
俺を心配してくれている真衣に対し俺は、なんて破廉恥な・・いや、男ならば仕方ない。世の男なら本能的に見てしまうはずだから。
そうやって自分で自分を納得させ罪の意識を消していると、どうやら女性はそういう視線に敏感らしくバレてしまったらしい。
「・・ハル?何をそんなに見ているのかな??」
「み・・」
「み?」
真衣に両頬を包まれ顔を上に向けさせられ、真衣と顔を向け合う。
もちろん彼女はジト目で・・・・捕らえられた俺は、素直に答えるしか選択肢は無かった。
「み・・水色のアレを・・」
「にぃに・・」
真衣の隣で座っている妹の美音にバレた兄の心は、ジト目でみる妹の姿を見て一瞬で完璧に砕け散りました・・・・。




