10章 王都奇襲編 13話 アンデットドラゴン②
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アンデットドラゴンとの戦闘が始まってから、今もずっと休みなく攻め続ける勇者沖田達と防戦一方で手一杯に見える俺達は、死角から近づいてさっき傷を負わせた部位へと1発目を与える直前に起きた。
グルァッ!!
アンデットドラゴンが強く短い唸り声をあげた。
バキバキッ!
大きな破砕音とともにアンデットドラゴンの足元を凍らせていたアイスロックの破片が周囲に飛び散り、右頬に僅かな痛みを感じるとともに背後から琴音の声がした。
「おにぃ!」
一瞬の時間で走りながら振り向くと、後ろからついてくる琴音達の視線が俺ではないことに気付く。
その視線の先へと視線を移動させると、アンデットドラゴンの尻尾が琴音達を払い飛ばそうと襲い掛かっているところだった。
(しまった・・間に合わない)
「逃げろ!」
連続攻撃を諦め、琴音達に回避を促す。
そこにミオの声が響く。
「琴音さんと愛菜さんは、そのままご主人さまに!・・ミリナ!お姉ちゃんと2人でいくよ!」
「オッケーだよ、お姉ちゃん!」
「バカッ!お前らも避けろ!」
俺の声は届かず、ミオとミリナは急旋回をして襲いかかるアンデットドラゴンの尻尾に対抗すべく飛び込んで行く。
「クソッ・・死ぬ気か・・琴音!愛菜!このままついて来い!」
ミオとミリナがアンデットドラゴンに殺される前に一撃を与え、俺に目標を変えさせようと走る速度を上げる。
「「 うにゃぁぁぁぁ!!!! 」」
背後からミオとミリナの気合いを入れる声が響き渡り、振り向きたくなる衝動を強引に抑えつつ俺は全力で亀裂の入ったアンデットドラゴンの足に片手剣を叩きこむ。
ドガァンッ!
ドドンッ!!
足の骨の亀裂が深く縦に広がりダメージを確実に与えられた打撃音とともに、鈍い音が2回聞こえ背後で床に叩きつけられる音が聞こえてしまった。
ヒット&ウェイで離脱し琴音と愛菜の2人とすれ違いながら2人の姿を必死に探し、反対側にいる石原と田岡がいる近くの床の上で寝転がりピクリともしない姿を捉える。
「ミオ!ミリナ!」
何も考えず最短距離を走り抜け2人の元へと駆け寄る。
「おい!大丈夫か?返事をしろ・・」
2人は吐血し、意識がなく浅い呼吸を繰り返している。
「ハイヒール!」
ミオとミリナに治癒魔法ハイヒールをかけた後に抱き抱え、ラニアがいる場所へと運ぶ。
「ハルッ!」
ミオとミリナを抱えた俺にラニアが寄り、ミリナを床に寝かすのを手伝ってくれた。
「ラニア、2人にハイヒールかけたけど意識はしばらく戻らないと思うから・・」
「わかりました。何かあったらすぐに伝えますね」
「あぁ、よろしくラニア」
力なく倒れている2人のネコミミを優しく撫でた後に、琴音と愛菜の傍へと移動する。
「おにぃ、ミオちゃんミリナちゃんは?」
「まだ意識は戻らないけど、たぶん大丈夫」
琴音達と短いやりとりをしている間に、いきなり勇者沖田の声が響き渡り無意識に視線が彼の姿を追う。
「いい加減、ぶっ倒れやがれー!!」
俺達とは別の方向から攻めていた沖田と剣崎がこちら側へと牽制しながら移動し、ヒビだらけとなった左足の骨に純白に輝く聖剣を叩き込んだ。
ドゴォン!
グルァァ!!
左足は粉砕し、唸りながら床へと倒れ込んだアンデットドラゴンの喉元でわずかに赤く輝く魔石へ勇者沖田は高くジャンプして勢いよく突き刺す。
バキン!
聖剣に突き刺され砕け散った魔石を見届けた後に、アンデットドラゴンを形成していた骨が一気に崩れ落ちただの骨の残骸へと姿を変えた。
「よっしゃーー!!俺らの勝ちだぁ〜!」
骨の残骸の上で聖剣を高く掲げる勇者沖田に剣崎や石原そして田岡が近寄り歓喜の声を上げる光景を、俺はただ静かに見守るだけだった・・・・。




