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10章 王都奇襲編 7話 最終戦地へ

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「おにぃ!」


「にぃに!」


 騎士達の亡骸が散らばり血の海となった道を歩き瓦礫を登る手前で隠密スキルを解除した俺達を4人が見つける。


「琴音、美音・・久しぶりだね」


「うん。会えなかったけど、おにぃの気配はいつも感じていたから頑張れた。王都に来たときも会いに行こうかと思ってたんだよ」


「そっかそっか」


 抱き付く琴音と美音の頭を撫でながら視線を真衣に向ける。


「真衣、このままだと王都が壊滅するぞ」


「うん。でも、ハルどうしたら良いかわかんないよ」


「・・・・真衣の言葉でアイツらを止められないか?」


「勇者達の?」


「あぁ・・」


(もう、名前すら口にしないんだな・・)


「ハルが言うなら、やってみるけど期待しないで」


「ありがとう、真衣」


 頷く真衣は、俺に抱き付いている琴音と美音を呼び何か話し合いをして終わると、愛菜が俺の方をチラッと見てから真衣の横へと立つ。


 それから美音が風魔法ブロワーで血の海となった騎士達の地を飛ばし真衣達が一気に走り抜け広場へと足を踏み入れる。


 そして真衣と愛菜がマジックポーチからそれぞれの剣を抜剣し構えると、タイミングを合わせその場で剣を振り抜く。


「「 ウインドカッター!! 」」


 2人が剣を振り抜きながら風魔法ウインドカッターを詠唱し、一瞬遅れてから風の刃が沖田と魔王に襲いかかる。


「沖田!避けろ!」


 真衣と愛菜が放ったウインドカッターに気付いた石原が沖田に警告し、反応した沖田は魔王ジェドニスとの打ち合いをしながら後方へ離脱し、その場に残った魔王に2つのウインドカッターが襲いかかる。


 ザシュッ!


 沖田の身体で死角となった方向から迫るウインドカッターは、沖田が離脱したと入れ替わりで魔王の体を切り裂く。


「ぐぁっ」


 初めて聞く魔王ジェドニスが痛がる声を聞き、反撃を警戒した俺は真衣と愛菜の前へと移動し構えたけど魔王に動きはなかった。


「これ以上、ここで戦うのはやめて!このままじゃ王都が消えちゃう!!」


 真衣の叫ぶ声に、魔王ジェドニスが予想を反して反応する。


「勇者クン・・ここはいったん落ち着かないかい?キミの仲間がそう言っているよ」


「くっ・・」


 田岡と石原の攻撃魔法の支援を受けながら、魔王を追い詰めていたけど途中で剣崎が吹き飛ばされて戦力外になり隅の方で横たわってから有効打を与えられなくなっている状況が続いていた。


 沖田は、魔王を警戒しながら横たわる剣崎を抱き抱え石原達の近くへと移動し愛菜に治癒魔法を要求する。


「剣崎に治癒魔法を」


「うん」


 愛菜は、横たわっている剣崎に治癒魔法ハイヒールを施し戻ってくると、ゆっくりと剣崎が立ち上がる。


「サンキュー助かった、一条」


「いいよ」


 素直に愛菜に礼を伝える剣崎を見て、俺は意外に律儀なんだなと感心していると剣崎が俺と視線を重ねる。


「お前、いたのかよ・・なんか言いたそうな顔してんな」


「いや・・別になんでもないよ」


 そして俺の存在に気づいた沖田が、あからさまに不機嫌な顔になり俺を睨みつけている。


「椎名・・雑魚がここに来ても邪魔なだけだ」


「そう言われてもね・・可愛い妹達がいるしな。てか、俺に敵意を向けて魔王に背中向けるなよ。倒すべき相手は、魔王だろ?」


「・・・・魔王は、この俺が倒す!それに次は・・・・・・(お前を殺す)


 沖田が最後の方の言葉を小さく言ったため聞き取れることはできなかった。周りにアイナや真衣達がいるから故意的に聞こえないよう声を小さくしたのだろう。


「・・最後の作戦会議は終わったかな?」


 魔王ジェドニスは、俺達のことを待っていてくれるほどの余裕があるようだ。


「あぁ、終わったさ。目の前に立つ魔王を倒す作戦会議がな!」


 勇者沖田が聖剣を高く掲げ宣言するように告げると、魔王ジェドニスは嬉しそうに両手を上げて口を開く。


「アッハッハッハッハ!魔王であるオレを倒す?なかなか面白い冗談だね・・気が変わったよ。それならば、勇者クン達に相応しい場所をプレゼントしようじゃないか!」


「はぁ?俺達に相応しい場所だと?」


 突然、魔王ジェドニスから莫大な魔力が生まれるのを感じると、広場全体に魔法陣が展開された。


「おい!どうする気だ!?」


 沖田の問い掛けに魔王ジェドニスは笑顔でゆっくりと告げる。


「魔王と勇者の戦いといえば・・・・わかるでしょ?」


 その言葉を最後に真っ暗な世界に包まれ声を出す間も無く意識を刈り取られてしまった・・・・。



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