9章 イシタ公国編 46話 自分達の家に帰ろう①
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宿の朝食が始まる時間前の食堂にいるのは、俺達5人と調理場で朝食の支度で忙しそうにしているリリスがいるぐらいで他の宿泊客達の姿は無い。
「・・マリアは、昨日ココに帰ってきたの?」
そう口を開くと真衣が教えてくれる。
「うん。私達と一緒にね・・」
「そっか・・ありがと」
「マリアさんに限って・・そんなことしないと信じてたのにな・・」
琴音が、リリスから受け取っハーブティーの入ったカップを両手で握りしめ呟く。
「琴音・・この世界は取られた方が負けなんだ・・住んでた日本とは考えが違うんだよ・・それに、マリアは王女様だ。立場的にも、王国のためと考えたのかもしれない」
「にぃにがいるのに?・・そんなのってないよ・・」
「美音、貴族・・いや王族だからこそあり得るんだよ。俺みたいな平民冒険者みたいに自由に恋愛なんてできない世界なんだ・・国や家系のために政略結婚が当たり前に存在するから」
「そうだけど・・どうして、よりによって相手が勇者なの?」
「そうだよ。センパイの方が全然良いのに」
「ありがとな、愛菜」
俺の正面に座る愛菜がジッと俺を見て肯定してくれている。
「だけどな、所詮俺は平民育ちの男だ。召喚した勇者様に比べれば、道端にある小石と同じ存在だよ。それに、マリアに好かれたのは出会いが吊り橋効果のせいだったしな」
「「「「 吊り橋効果???? 」」」」
4人が驚いた表情で、事前にタイミングを合わせるよう練習したと聞きたくなる暗いのピッタリと息のあったタイミングで反応する。
「あぁ、帝国の街道で賊に襲われている馬車を見つけて、アルシアとシェルの3人で救い出したからな・・」
それからしばらく5人で話し合い、今後の話を済ませた俺達は一度部屋に戻ることになったけど真衣達の足取りは重い。
ガチャッ
部屋に入った俺は、そのままソファに座り真衣達はベッドへと腰掛ける。マリアは、その様子を黙ったまま視線を動かしているけど声をかけれないでいるようだ。
そこで俺はソファから立ち上がり、みんなに伝える。
「しばらくは、この街でゆっくり過ごす予定だったけど・・予定を変えて、今日の昼までにこの街を出るから。朝食を食べ終わったら支度をして欲しい」
それからリリスに呼ばれた俺達は全員で食堂へと向かい朝食を食べて出発の支度を始める。
「リリス・・予定より早くなったけど、昼までには街を出るから」
「もう街を出るの?」
「あぁ、短い時間だったけど・・世話になったよ」
「そう・・残念ね・・いつか私も王都へ遊びに行こうかしら・・」
「あぁ。王都へ来たときは家で歓迎するよ」
「ありがとう・・あのお礼をまだ受け取ってないし・・」
「そ・・そうだったネ・・うん。わかった」
出発の支度が終わり、宿から出る順番に隠密スキルを発動し馬車を預けた商店へと向かう。もちろん、ラニアは馬車を引き取るため、姿を見せたまま先に向かわせている。
「みなさん、乗りましたか?」
「乗ったよ。出発して」
「はい」
ラニアは馬車を走らせ街の門を抜け王都へ向け街道を進む。門兵の姿が遠く見えなくなったところで、全員が隠密スキルを解除し俺は御者台へと移動しラニアの隣に座る。
今は平和な街道を順調に進み俺達の家へと目指す。後ろの荷台では、街の商店で買ったお菓子を食べながら女子会が始まっている。
(・・そういえば、あの街で何も買い物してなかったな俺は・・)
俺はそう思い出しながら、後ろから聞こえる真衣達の楽しそうな話を聞きながら景色を眺めながらラニアと御者を交代して馬車を走らせた・・・・。
次の舞台は王都になります。




