9章 イシタ公国編 45話 いろいろあった翌朝
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ほんの少しだけ肌寒くまったりとした寝起きを、見知らぬ屋敷の屋根に4人で寝転び朝陽を浴びている。隣にいるミオとミリナは眩しそうに目を細めながらゴロゴロして、シェルは俺に寄り添い黙ったまま居てくれている。
「・・・・・・」
俺は何か喋ろうと思ったけど、口を閉じて朝陽を浴びる街並みを眺めることにした。
このまま4人で旅に出ようとも考えたけど、この街までアイナや琴音達を一緒に連れてきた責任があるから勝手に見放すことはできない。
(とりあえず、宿に戻るしかないか・・・・)
そう結論付けた俺は立ち上がろうとした瞬間、先にシェルが立ち上がり手を差し伸べてくる。その彼女の手を掴むと優しく引き起こし俺の胸元に顔を埋めウリウリしている。
「シェル・・・・。さぁ、宿に戻ろうか?ミオ、ミリナ・・」
「「 は〜い 」」
グッと背伸びをした2人は立ち上がり俺の傍に立つと腕を絡ませ密着しニシシと笑顔で見上げ俺を見つめる。
「しゃぁねーな」
そう呟いた俺は、3人を連れて起き始めた街の通りを歩き宿屋へと戻る。戻ったけど・・この部屋のドアを普段通り開けることを躊躇う俺がいる。
「あっ・・・」
後ろで待っていたミオとミリナが我慢できず俺の横をすり抜けドアを開け中へと入って行く。
「「 ただいま〜〜!! 」」
右手を中途半端な高さで前に出したまま固まる俺の視線の先には、マリアとアイナが背中を向けてベッドに腰掛けていたけど、ミオとミリナが勢いよく部屋に入りベッドへ飛び込んだためこっちに振り向き2人と視線が重なる。
けど、2人から視線を逸らし無言で部屋に入った俺は一直線にソファへと向かい座り込んで自分の居場所を確保することで精一杯だった。
「ハル、おかえり」
「ただいま、真衣」
真衣と交わした何気ない挨拶以降も会話が無く、この部屋の空気を重くさせてしまう。それから誰も喋ることなく静かな時間のせいで息が詰まりそうになる。
俺は部屋から出て外の空気を吸おうと思い、ソファから立ち上がりドアへと向かい少しドアを開けたタイミングで背後からマリアに声をかけられ足を止めてしまう。
「ハル・・あのね・・」
「・・あぁ」
俺は振り向くことなく反応する。
「わたしね・・・・えっと・・」
マリアの声が震えているのを背中で感じる。1人で複数の女性と関係を持っている俺がマリアと勇者が関係を持っていると聞かされたぐらいで、こんな態度でいいのかと自分に問い掛ける。
次の言葉が出せないマリアはきっと苦しんでいるのだろう・・そう勝手に思うことにした俺は、掴んでいたドアノブから右手を離しゆっくり振り向いてマリアを見る。
けれど、マリアは俯いていて表情を見ることができず視線が重ねることはできず名前だけ呼ぶ。
「・・マリア」
俺に呼ばれたマリアが身体をビクつかせた反応を見せたことに胸がチクリと痛んでしまい、それを落ち着かせたところで口を開く。
「マリア・・この世界は一夫多妻制が存在して、逆に一妻多夫も存在があることも知っている。だから、召喚した国の王族として勇者との関係を持つことに俺は止めもしないし罵倒もしない・・王女と勇者が関係を持つことが普通だと知っているし・・」
俯いていたマリアがゆっくりと顔を上げて俺を見つめる。俺は、彼女が言葉を発する前に続きを口にする。
「ただ・・たださ、ステータスまで見せているとは思ってなくてさ・・あの時は驚いたんだ・・ただ、それだけ・・それだけなんだよ・・マリア」
マリアは、少し目を見開きギュッとシーツを握りしめ何も言わず再び俯いてしまった。
「・・・・・・」
(何か一言でも感情的に反論して・・・・もこないのか・・)
「おにぃ」
「にぃに」
「琴音・美音・真衣・愛菜・・ちょっといい?」
俺は召喚組4人の名前を呼び、一緒に部屋を出て1階の衝動へと向かうのだった・・・・。




