9章 イシタ公国編 43話 望まぬ再会
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「・・・・・・」
「・・・・・・」
沖田と俺は互いに名前を呼んだ後は次の言葉が浮かばず、ただ無言の時間が過ぎる。もちろん、沖田の後ろにいる剣崎や石原そして田岡の姿もあった・・ただ、真鍋だけ見当たらない。
「ハル、そんなとこで止まったままだと出れないじゃないか」
この僅かに躊躇った時間に、店を出た俺の後を追って出てくる2人の存在が意識から欠落していて彼女の声を引き金に一気に思い出したけど遅かった。
「・・く、来るな!」
「どうしたの?急に・・」
アイナに続いてマリアも俺の横へと出て来てしまい、2人の存在が勇者パーティーにバレてしまった。
「副団長!・・マリア様も・・」
「「 あっ!! 」」
沖田の声で事態の不味さに気付き声を漏らしたマリアとアイナは、反射的に俺の背中へと身を隠したが無駄な行為だった・・。
「・・マリア様。国王と王妃様が心配されております。私たちと一緒に王城へと戻りましょう」
沖田の視線は俺の方へ向けられているが、その意識は背後にいるマリアへと向けられている。俺の存在などなかったかのように。
マリアは、俺のシャツを握り沖田からの問い掛けに答えようとする意志はは無く、ただ黙っているだけで代わりにアイナが俺の横に立ち代弁する。
「勇者殿・・私達2人は、既に身分を捨てた身であります。今更王城へと戻る資格はありません」
「しかし・・親子の絆まで失っていないはず!今すぐに、その男から離れ我々と共に王都へ帰るべきです」
感情を込めて話す沖田だったが、周囲の視線を気にしているようで、以前のようなクソみたいな強硬手段に出ようとしていないのが逆に気持ち悪い。
「アイナ副団長!お願いします」
「このままお引き取りを・・・・」
2人のやりとりに割り込むかのように、沖田の後ろに立っていた石原が歩き出し沖田の横を抜けて俺の前に立つ。
「ハルっち・・」
「イシちゃん」
目の前に立つ石原は、勇者パーティーの中では付き合いが1番長く1番仲の良い関係だ。敵対しない限り、俺からも何かしようとは思わない。
「ハルっち、2人を返してくれないかな?俺達の後ろ盾となる王族がどうも不安定でさ・・このままだと、魔王討伐に影響があるんだよね〜」
「さすがに、イシちゃんの頼みでも・・ゴメン」
「そっか・・それならさ、ちょっと待ってて」
石原は、何かを思い出したかのように走り出し、少し離れた場所で止まっていた馬車へと向かい黒髪黒目の女性の手を引っ張り連れて来た。目の前に立つ女性は、初対面のせいか落ち着きがなく俺と一度も視線を合わせてくれない。
「イシちゃん、その人も一緒に召喚された人?」
「ハルっち、まさか?・・流石にその反応は酷いと思うぜ?」
「どういう事?その・・黒髪黒目の彼女は、初めて会う人なんだけど・・」
俺の指摘で原因が分かった石原は、頭を掻きながら反応する。
「あ〜ゴメンゴメン!コレなら、わかるっしょ?」
パチンッ!と指を彼女の頭の上で鳴らスト、瞬きよりも早く容姿が変化し黒髪黒目の女性が、金髪碧眼へと変わったことを認識した俺は、無意識に口から小さく名前が吐き出された・・・・。
「リサ・・・・」




