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9章 イシタ公国編 16話 過去を知る女①

アクセスありがとうございます。


 んぐぅ〜・・・・


 誰かに頬を押されたことにより意識が覚醒し目が覚める。



「いったいなぁ〜もう〜・・・・」


 俺の頬を押し続ける手を掴み犯人を確かめると、無邪気に寝ている愛菜だった・・。


「なんだ愛菜かよ・・少女らしからぬ酷い寝相だな」


 上半身を起こし、伸びきった愛菜の左腕を彼女のお腹に戻すと、ワザとらしいくらいシャツがめくれているため、視線が双丘に釘付けになり無意識に手が・・・・。


 

 ムニムニ・・ムニムニ・・


 シャツがめくれ無防備になってる胸を触ってみたけど、物凄い罪悪感を感じてしまう。


「なんだろう、この犯罪臭は・・・・」


 呟きながら、そっと愛菜のめくれたシャツを戻して外に出るとエリーナが男冒険者を連れて近付いて来ていた。


「ちょうど起きたところなのね。昨日の返事を聞かせてくれる?」


「それなんだけど、断ることにしたよ」


「お前!この非常時に、エリーナさんの依頼を断るのか?」


 エリーナに依頼を断ると伝えたら、隣にいた見知らぬ男冒険者が怒鳴る。


「朝っぱらからうるさいな・・受ける受けないも俺の自由だろ?ってか、あんた誰だよ?」


「なっ!Aランクの俺を知らないのか?」


「・・知らない。ギルド長・・誰なの?」


「それは・・」


 エリーナが俺の問い掛けに答える途中に男が声を荒げる。


「てめぇ!俺は、デスダイヤのパーティーリーダーAランク冒険者ウォルトだ!」


「はぁ・・Aランクねぇ」


「ウォルトさん、落ち着いてください」


「しかし、あの野郎はエリーナさんの依頼を拒否したんですよ?」


 どうやらAランク冒険者の男は、俺がエリーナの依頼を断ったことが気に入らないらしい」


「・・お話しは、わたしがしますから」


「・・・・」


 渋々了承しているウォルトを見ながら俺は溜息をついて、あからさまに不機嫌な態度をとってやるとウォルトが殺気を放ち帯刀している剣の握りに手を添えている。


(ウォルト・・それはマズイよ。背後のチートプリンセスがアサシンプリンセスになって狩られちゃうよ)


「それで、まだ俺達のパーティーに依頼するんですか?」


「魔族討伐の戦力は、少しでも確保したいの」


「でも、あの作戦は無謀過ぎる。立案者は、冒険者の命を消耗品にしか思ってないぞ」


 昨夜聞かされた依頼内容は、簡単に言えば冒険者を前線へ向かわせ魔族を掃討し安全な後方から勇者一行が魔法で遠距離支援すると。もちろん騎士団は勇者護衛で後方にいたままだ。


「もう、作戦の変更はできないから・・」


 俺と視線を合わさず話すエリーナに対し、俺は静かに本音をぶつける。


「そんな結果が見えている作戦・・行きたい奴が勝手に死にに行ってくれよ。俺は守りたい存在があるし、背中を味方陣営から狙い撃ちされたくないからな」


「死ねっ!」


 ザッ!


 地を蹴る音と同時にウォルトが抜刀し襲い掛かって来る。エリーナがその行動に遅れて気づいたのか、あえて遅れて反応したのか分からないがウォルトを止めようと右手を伸ばしている。


 俺は、ウォルトの剣が俺の喉元へ迷いなく狙う軌道から避けると、標的を見失った切っ先が空を切り一瞬止まる隙を狙いアイテムボックスから愛剣を抜刀し、ウォルトの右手に握り部で打撃をして間合いから離れる。


「ぐぁ!」


 痛みに声を漏らすウォルトは、表情を歪めながら握っていた剣を地面に落とすとその場に座り込む。


「それ以上、動かないで!」


 まるで俺に非があるような感じで、エリーナが俺とウォルトの間に体を入れて制止する。


「はぁ?先に襲い掛かって来たのアイツだぞ?」


「・・ウォルトさん。中央テントへ戻ってください」


「なんなんだよお前ら・・」


 久しぶりにイライラした俺は、思わず感情を込めてしまった。そのまま踵を返しマリア達がいる場所へ戻ろうとしたときにエリーナが背後から今までとは違う口調で声をかける。


「待ちなさい。あなた、帝国冒険者と名乗っているけど、王国冒険者としても登録していた過去があるわね?」


 俺はエリーナの言葉を聞いて、思い出したくない記憶が脳裏に浮かび足が無意識に止まってしまった・・・・。





 

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