9章 イシタ公国編 10 話 迫り来る脅威の後
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マリアと馬車に戻ると琴音や美音達が降りていて、俺の元へ駆け寄って来る。
「おにぃ!だいじょうぶ?」
「なんとかね・・」
「センパイ!さっきの嵐みたいなのは、衝撃波ですか?」
琴音と美音の間を抜きでてくるように愛菜が聞いてくる。
「愛菜、よく知っていたな。間違いなく、あれは衝撃波だと思うよ・・動画で見たことはあるけど本物を初めて経験するとはね」
そして、みんなの無事を確認した後にアイナが空を見上げながら口を開く。
「ハル、そのショウゲキハとやらを発生させた魔法を放ったのは、いったい何者の仕業なのだ?」
「気配は捉えたけど、遠すぎて何者かわからない・・黒い点が空に2つ」
「空に?」
「あぁ、確かに空に居たんだ。馬車を攻撃し見つけた方向はイシタ公国だったから魔族の可能性が高い」
「魔族・・か」
「ハル、あんな強大な魔法を放つ魔族に王国は勝てるのかな?」
真衣が発した言葉に、みんなの視線が俺に集まる。
「真衣・・あの魔法を直接防げるのは勇者くらいかも。だから連携して戦わないと苦戦すると思う」
黙り込んでしまった空気のなかで、俺はパーティーリーダーとしてこの先の行動を慎重に考えなければいけないと思いはじめる。
(このまま全員を連れて行くか・・それとも希望者のみ連れて残りは家に帰らすか)
「あのさ、ここからは想定していた以上に危険な場所になると思う・・だから、その・・今ここで家にもど・・」
「「「「 行くよ! 何があっても!! 」」」」
俺の言葉を遮るように、アイナやミオ達が声をあげる。
「ハル、私達は大きな後悔をしたんだ。あの時、ハルを1人で行かせてしまったあの日の自分を・・」
「アイナ・・」
「そうだよ!おにぃ・・もう、離れ離れなんかイヤなんだからね」
「琴音・・」
彼女達の心は決まっている瞳をしていた。ここから無理に引き返させる言葉が浮かばず俺は短く溜め息をついてtげる。
「わかったよみんな・・ありがとう。ここからは厳しい戦いになることは間違い無いと思う。だけど、1人も失うことなく乗り切って家に帰ろう」
「「「「 うん!!!! 」」」」
思いを一つにした後に馬車を走らせ街道を進む。爆発の影響でガタガタ道に変わり果て、馬車が走行困難な場所は土魔法で造成し進んで行くと深く陥没した場所に辿り着いた。
「ここにあの魔法が衝突した場所か・・」
魔法の餌食となった馬車のカケラは一つもなく、ただ大きな穴が開いた場所でしかない状況に俺以外は言葉を出せないようだった。
それからは、周囲の警戒を強化しながら移動するため、移動速度は半分以下になり見積りより距離を稼ぐ事ができず、計画外の場所で野営することに決める。
「ハルさん、この辺りがいいと思います」
「そっか、ならここで野営をしよう」
「はい」
ラニアが馬車を止めて、いつものようにテントを設営することなく荷台で全員一緒に寝ることにして、荷台にちょうど広げられるテントを張る。
「ご主人さま、あの時の旅と同じになりましたね」
キラキラしたオッドアイで見つめるミオが懐かしむような表情だ。
「・・あっそうか。前は、こうやって旅をしていたからな」
そう呟きながら、隣に立つミオの頭を撫でていると、何やら女性陣が話し合いを始めてマリアに呼ばれたミオは荷台へと移動し、俺は1人外に残されてしまう。
「いったい何が始まろうとしているんだ・・」
気になった俺は、隠密スキルを発動し馬車へと近づき彼女達の話しを盗み聞きすると、どうやら今夜俺の隣で誰が寝るかで話し合っていた。
(何を話していると思ったら、こんなことか・・)
話し合いの内容が判明したことで、馬車から離れアイテムボックスからイスを出して座り彼女達が出て来るのを待つことにした。
トントン・・トントン
「・・ん?」
「寝てるおるのか?」
いつのまにか俺はイスで眠っていて、まだ空がオレンジ色に染まり始めていた頃だったのに今は暗く夜になっていて目の前に小さな銀狼姿のシェルが足の上に座り俺を見ている。
「・・シェル?どうした?」
「なかなか話し合いが終わらないようでな、つまらなくなったからここに来たのじゃ」
「そうか、まだかかりそうか」
アイテムボックスから毛布を取り出してシェルと2人で過ごし、互いの体温で暖まった頃に携行食を取り出して1人食べていると毛布からシェルが顔を出す。
「なんだ?」
パクッ
「あっお前、俺の食べたな」
「いいではないか」
シェルはそう言いながら、また俺の携行食をつまみ食いをする。
「このやろう・・」
器用につまみ食いするシェルは、毛布に潜り食べているため背中を撫でて毛並みの感触を確かめながら仕返しに尻尾の根本を撫で回し続けていると、俺の腹に頭をグリグリ押し付けるシェルの反応を楽しんでいた俺は、急に人化したシェルが俺に口付けをしてきた。
「んっ・・ぷはっ・・そんなとこばかり弄るとその気になってしまうぞ・・ハル?」
「みんなは、まだまだ話し合いそうだろ?」
顔をわずかにズラし荷台を見るシェルは、微笑みながら俺を見て頷く。
「・・そうみたいじゃな。ならば、1番を頂くことにさせてもらうことに・・んぁ・・そんなに我慢していたんじゃな」
残り僅かだった携行食を一気に食べ終え、向かい合い密着しているシェルを抱擁し俺とシェルは久しぶりに身体を重ね合った。
「はぁ・・はぁ・・久しぶりに身体にたくさん取り込むと、幸福感に満たされてしまうな」
「そうなのか?」
「男のハルには、わからぬ感情じゃ。他の女達も同じ感覚に満たされているからな」
そう呟きながらシェルは、下腹部辺りをさすりながら火照った表情で教えてくれる。
「ん〜よくわかんないや」
ふふっと笑いながらシェルは立ち上がる時に、俺の頬にキスをして離れ荷台へと歩く姿を見ながら、アイテムボックスから水筒を取り出し乾いた喉を潤す。
それから少しの時間を1人の時間を過ごしたら、女性陣の話し合いが終わったようでラニアが申し訳なさそうにやってきた。
「ハルさん、遅くなりました。そろそろ就寝の時間にしたいと思います」
「わかったよ。ラニア、みんなに隠密スキルを常時発動状態にしてから寝るように伝えてくれ」
「はい、そのようにお伝えします」
ラニアは先に荷台へと戻って行った。これで馬車自体も隠密スキルの有効範囲に入り周囲から姿を消して夜を明かす事ができる。
「さて、もう寝るかな」
そう呟きながら、立ち上がった俺は馬車の荷台へと向かい寝る支度を始めることにしたのだった・・・・。




