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8章 王国潜伏編 37話 遠くの戦地②

アクセスありがとうございます。


 家の外柵を飛び越え、街道を走る馬車の先に回り込むため膝下ぐらいある茂みを一気に駆け抜けた俺は街道から少し離れた位置でどこの馬車か確認することにした。


「おいおい、出発は3日後の予定だったろ」


 そう呟きながら、先頭馬車を少し離れ追従する2台目の馬車の御者台にギルド長のエリーナが手綱を持っている。


「ギルド長自ら御者かよ・・」


 先頭の馬車が俺の前を走り抜けタイミングで俺は街道を走り出し、エリーナの馬車に並走し彼女の隣へ飛び乗る。


 トトンッ!


「なになに・・イタズラ?」


 俺の着地音をエリーナが荷台にいる人間のイタズラだと思い一瞬振り向くが、皆は寝ているため気のせいと思ったようで期待以上の反応はないため、俺のイタズラ心が芽生える。


「・・・・なぁ、どこ行くの?」


「ひぃっ!」


 姿を見せず声をかけるとエリーナは小さく悲鳴を上げ肩をすくめるが、必死に目を開けて馬を操っている姿を見ながら話し続けた。


「イシタ公国?」


「・・・・はい」


「よっ、3日後って言ってたよな?」


「・・さ、昨夜の衝突で王国とイシタ公国側に想定以上の被害が出たらしく、予定を早め出発することになりました」


 昨夜のあの戦闘から、この時間には冒険者ギルドが動いている。きっと戦闘が始まる前から支援要請があったのだろうと考える。


「あの、もういいでしょうか?」


「魔族に負けそう?」


「そ、それはわからないわ・・っていうか誰?誰なの?」


「ありがと、エリーナ!」


「えっ??ちょっと!!・・まさっ・・」


 俺は御者台から飛び降り背後から聞こえるエリーナの声を途中まで聞こえていたが、気にすることなく後方から走り抜ける最後尾の馬車を見送り隠密スキルを解除し家へと歩き出す。


「おっ?」


 家の方からフードを被り、素顔を見えにくくさせた人物が1人近づいて来る。


「ハルッ!あの馬車は?」


 声の主は、マリアだった。


「冒険者ギルドの馬車だったよ。予定より早く向かうってさ・・ってよくわかったね」


 街道を小走りで俺の元へ来るマリアは、少し息を切らせながら俺の傍で立ち止まる。


「だって起きたら部屋にいないんだもの。スキル使ってみたら、なんとなく街道にいるような感じに捉えたから・・そのまま追いかけてみたの」


「ゴメンゴメン、気になってね」


「帰りましょう?朝食ができてる時間だわ」


「そうだね」


 街道を歩き始めると隣のマリアは、俺の右腕に腕を絡めてくる。


「デートみたいね?」


「そうだな。2人きりでこうして歩くのも久しぶりだ」


 終始笑顔のマリアと街道を歩き、少し時間をかけて家に帰り食堂に入ると真衣達は朝食を食べていて普段と何も変わらない光景に安堵し自分の椅子に座る。


「どうぞ・・」


 ラニアが2人分の朝食を運んで来てくれて、朝食を食べ終えた俺は食後でのんびりとしている全員に告げる。


「みんな、昨夜のことは知っていると思う。さっき王国冒険者ギルドが冒険者達を連れて向かって行くのを見てきた。どうやら、王国とイシタ公国で想定以上の被害が出ているらしい」


「おにぃ・・私達はどうするの?」


「琴音・・俺達も予定を早め今日の昼には出発しようと考えている」


「ハル・・かなり急じゃない?」


 少し不安そうな真衣が俺を見て言う。


「まぁね・・その分、魔族の戦力が予想を超えているのかもしれない。だったら、ここから遠い場所で防ごうと思ったんだ」


「確かにそうだな。戦場を拡大させるのは良く無いしな」


 アイナは、俺の考えに同意してくれている。


「そうだけど・・」


「大丈夫だよ真衣。イシタ公国までの旅で戦力アップを考えているから」


「ハル、戦力アップってまさか・・」


「マリア、そのまさかだよ。ちょっと期間が短いけど、なんとかするよ」


 マリアは少し顔を赤くして体の前で組んでいる腕をギュッとしている。


「マリアさん、どうして顔が赤いのですか?」


 愛菜がマリアの変化に気付き聞いてしまったため、真衣達がマリアを見つめる。


「み、皆さん・・そんなに私を見ないで下さい」


 見つめられるマリアは、モジモジとしてアイナの後ろへ隠れてしまう。


「もちろん、アイナとアルシアにもするからな」


「なっ!アレをするのか?」


 アルシアが悲鳴を上げるような声を出す。


「センパイ・・その、センパイとシタら今より強くなれるんですか?」


「愛菜ちゃん、その言い方は・・まぁ、王女様であるマリアの強さを見ていればイメージしやすいんじゃない?」


「あっ・・確かに」


 真衣達は、マリアの強さを思い出し期待を込めた目で俺を見ている。すると、落ち着きを取り戻したマリアが恥ずかしそうに口を開く。


「み、皆さん・・その、心の準備をした方が良いかと」


「それは、どういう意味ですか?」


 真衣がマリアに聞いている。


「真衣さん、自分のモノではない魔力を体内に受け入れたことはありますか?」


「他人の魔力を?もちろん無いですよ・・自分以外の魔力だなんて」


 イメージできない真衣達は、マリアの言うことが理解できないでいる。


「マリアさん、一体どうなるんですか?他の魔力を体内に受け入れるって」


 俺を見たマリアは、それから真衣達を見て告げる。


「ハルが言う戦力アップは、ハルの魔力を受け入れ融合させてスキルを習得するの」


「にぃにと魔力を融合するだけで、スキル習得できるんですか?・・にぃに、本当?」


「あぁ、そうだよ美音。まぁ、デメリットもあるんだけどな」


「デメリット?」


 真衣がデメリットと聞いて少し戸惑っている。


「真衣さん、デメリットと言っても人にとってはメリットかもしれません。私は・・メリットでした」


「マリアさんには、メリットだったのですか?・・いったいどうなるのですか?」


 真衣は理解できず、マリアに詰め寄る。それを合図に琴音達もマリアに詰め寄って聞いている。


「わ・・わかりました。教えますから、皆さん落ち着いて下さい。実はですね、ハルの魔力を体内に受け入れて融合すると・・」



「「「「  すると???? 」」」」



「よ・・夜伽をしているような感覚に全身が包まれ、理性を失いそうになり本能のまま感じてしまうのです」



「「「「  !!!! 」」」」


「それはもう、野営の時にされた私は大変でした・・いろんなところがもう・・・・それでも皆さんは大丈夫ですか?」


 マリアの話を聞かされた真衣達も、顔が赤くなり俺を見てくる。口にはしていないが、心の声が聞こえそうで思わず後ずさってしまった。


 この落ち着かない空気に、ラニアが助け舟を出してくれた。


「皆さん、出発はお昼です。急いで支度しないと忘れ物をしてしまいますよ!・・ハルさん、私は馬車の準備をしてきます」


「あぁ、いつもありがとね。予定通り昼に出発しよう」


 俺は真衣達から逃げるように食堂を出て3階の寝室へと逃げることにした・・・・。


 




8章は、これで終わります。


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