21,GWに突入します
202×年4月下旬、水野優13歳
(空が高くなってきたな……)
ゴールデンウイークに入り、その初日に宿題を終わらせていた。一息つき部屋の窓を見上げると、5月間近の太陽の日差しはさらに強くなっており、入道雲が少しであるが遠くに見える。本日は30℃を超えると予想されているがそのようになりそうだ。
「宿題終わった?飲み物飲む?今日はリクエストはありますか?」
「お茶でお願いします」
「了解~」
愛川はキッチンは向かう。
(しかし、本当に不思議な縁……)
ロングバケーション初日だからか、優はふとそのように考える。最近は学校のことで頭いっぱいだったため家のことにまで目配りできなかった。
来月には部活が本格的に始まる。クラスメイトで気さくに話しかけくれる優しい友人の星野から「優もサッカーやろうぜ」と部活を決める時に誘われた。星野と何かをやるのは非常に魅力的なことではあるのだが、球技系特にチーム戦が苦手な優は丁重にお断りしている。優自身、身体能力はそれなりにあるとは思っているが、連携という言葉・行動が苦手だった。帰宅部で勉強に専念する優に、星野は諦めていないようなのが気になったまま休みになってしまった。
それに休み明けには隣の席の女子、丸井とその友人とで本当に昼食会をする約束が待っている。以前身体測定事件(優の中で)にてそのようなことを丸井が言っていたがまさか本当に取りつけるとは優は思っておらず、
(緊張で絶対味しない……)
いつも愛川に作ってもらっている弁当の味がしなくなる、感じなくなる。お弁当も愛川にやってもらっていた。
愛川には本当に感謝している。同居人(幽霊)がいなかったらここまで落ち着いた生活を送ることは出来なかっただろう。
「おなかへった」
愛川との初対面はこの1DKマンションの部屋のトイレ、そして見た目は優よりも明らかに幼い子ども。第一声がこれだった。
びっくりしないわけない。一人暮らしをするために優はこの部屋を借りたのだ。というより叔父が借りてきた。当然中学生に上がる子ども1人が借りられるわけもなく、叔父が協力してくれてすぐ契約出来てすぐ住める、少し年季の入ったマンションのこのひと部屋になった。契約上は叔父も住むことになっているが、事情があり一緒ではない。そのため一人暮らしをすることになった。
誰もいないはずなのにトイレに小さい幼女がいた。
そしてその幼女は力を失って、枯渇していたようで、髪の毛を一本を渡すとどんどん成長していった。そして今は成人の女性。
彼女は幽霊で、優の髪の毛には霊力が宿っているらしくそれで愛川は目を覚まし、優の前に姿を現したようだ。そしてその髪を回収、愛川の胸部らへんに発光しながら吸い込まれるように消えていくのだが、それで力が取り戻す、元の姿に戻れるようだった。
髪の毛を一気にむしり取って回収すればいいかもしれないが、力を一気に戻すと体が耐えきれない気がする、と愛川が本能的に思ったらしい。元よりそんなに髪の毛を取られてはたまらない。
「いただきます」
そんな幽霊と一緒に住むことになった。
愛川は地縛霊らしく、本能的に外に出られないから。これが一番の住む理由。
幽霊の愛川は理性がしっかりしており、漫画の見るような悪さを企むタイプ幽霊ではない。そのためお互いに話し合って、同居人として生活することになった。
最初は当然緊張した、警戒した。
当初はまだ幼女の姿だった愛川が家事をしようとする。しかし物が届かなかったり、力が足りなかったりしたため、見かねてすぐに優が駆けつけ一緒に作業するようになった。
それ結果的に仲を深めるいいきっかけだった。優自身も家事スキルをある程度習得することができ、それと愛川をあれやこれや指示を受け会話をして、自然な流れで日常会話もできるくらいになった。
きっと愛川が一人で黙々と家事をしていたらこのように会話することもなかっただろう。
「優くんが寂しそうだから」
幽霊と生活して1月くらい経った時のこと、優は不思議に思った。
なぜこんなにも世話を焼いてくれるのか。
確かに仲良くなれた。しかし愛川はそれ以上にスキンシップをしてきたり、家族関係ならするようなこともしてきたり、ただの同居人という関係ではなかった。
それが気になった。どうしてここまでしてくれるのだろうか。それを聞いてみた時があった。
反応は思わぬもの。いや、本当は自身でも分かっていたこと。
愛川はそれを察し、家族のように振る舞ってくれていた。これからもそうだろう。
まだしっかり伝えることはできないがそれが嬉しい。家族には憧れがあったから。
「え?私そんな顔になってた?」
愛川が本来の姿に戻ってから数日後のこと、哀しい顔した。
愛川は元は幽霊、その前は生きていた。生前何かがあった、それは何となくだが優は感じ取っていた。
そしてあの日、それを垣間見ることになった。
いつも支えてもらっているお姉さんのような存在の人が、笑顔のはずなのにどこか焦点があっていないような、覇気がないような、だから哀しく見えた。
それが嫌だった。
その時同時にあることを理解した。普段愛川がなぜ世話を焼いてくれるのか、この日100%の答えを得れたのだ。
優自身、抱えているように愛川も何かを抱えている。それは脆く誰か、親しい人にすら話せば体がボロボロに崩れてしまいそうな事。
もっともっと愛川と上手く接したい、そう思った。
「優くん、ボーっとしてるけど、大丈夫!」
「あ、すみません。愛川さんとの最初会った時のこと思い出してまして……」
お茶を組んできた愛川はリビングの座卓に戻ってきていた。話しかけられ優は我に帰る。そして勉強机から座卓方に移動し、置いてあるお茶を飲む。
「最初の日のことかー。優くんめっちゃ驚いていたことは今でも覚えているよ。でもそれ以外はあんまり覚えていないのよね。凄い寝起きみたいな感覚だったから。うん十年ぶりの復活だからね!」
「愛川さん、最初おなかへったって言ってました」
ホント?と愛川は相槌を打つ。
こうしてゴールデンウイーク一日が過ぎる。他の人からすれば勿体無いと思われるかもしれないが優にとっては満足。誰かと気軽に話せることが何より楽しいから。
このあとしばらく愛川と出会ったからことを、ああでもないこうでもないと話した。
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