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龍翔記  作者: GIN
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0693話 進む準備 その2

プライベートの問題で久々の更新になりました。

ジャンベルデッドの町を出た俺達は急ぎ東に向かっていた。


馬車連れのため、それほど速度は出せないがそれでも出せる限界の速度で走っている。


「リュウの旦那、少し休憩しやしょう」


シゲンが声を掛けてくる。


「そうだな……馬たちも疲れてきてるみたいだしな、住民の皆はどうだ?」


「大人はまだ大丈夫ですが、お年寄りや子供らが少ししんどそうですね」


「休憩にしよう」


「へい……この先でいったん停めるぞ!」


シゲンの合図でゆっくりとスピードを落としていく俺達。


「よーし……ではここで休憩を取ろう!」


シゲンは後方の馬車や仲間に向かって声を掛ける。


馬車から出てきた子供たちは久しぶりに身体を動かせると大喜びだ。


「あんまり離れちゃダメよ」


「はーい」


子供たちを取りまとめるのはムギがやってくれていた。


元々、孤児たちのリーダー的な役割をやっていたこともあるのか子供たちもよく懐いている。


そしてリネットにイネッサ、ペトラたちも子供たちに人気があった。


「助かるな」


「そうですね……どうしても男衆ってのは子供に怖がられますからね」


俺の言葉に同意するシゲン。


「まぁ、もっともリュウの旦那もあっち側ですがね」


「んっ?、どういう……」


シゲンの言葉の意味を確認しようとしたときに俺の服の裾がぐいっと引っ張られる。


見るとマインがそこに居た。


「リュウにいちゃん、一緒に遊んで!」


「ずるい、フォーミが本を読んでもらうのが先!」


「だ、だめだよ……リュウ兄ちゃんは僕に剣を教えてくれるんだから」


「……マウも遊んで欲しい」


マイン、フォーミ、ターム、マウらに加え、一緒に移動している住民らの子供たちもいる。


俺が驚いてシゲンを見るとニヤニヤ笑いながらこっちを見ていた。


「……ねっ、まぁ、こっちはラウルの旦那とやっときますんでリュウの旦那は子供たちをお願いしますよ」


シゲンの言葉を聞いて目をキラキラさせるマインたち。


「……順番だぞ」


「「「「やったー!」」」」


俺は子供たちに手を引かれて順番に相手をすることになった。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


「それで、国軍の状況はどうですか?」


「先ほど戻ったマルタンの話しによると国軍はすでにルーラーンを出陣しており、一気呵成にこちらに迫っているようですぜ」


「そうですか、思ったより早いですね」


「ふっ……迎え撃つしかないか」


作戦会議を行っているのはラウル、シゲン、ガイルの3人だ。


リュウだけではなく、さんじゅーろーやミナトは子供たちに連れて行かれた。


カルロスはアンロンコッドと話しがあるようで参加していない。


ハルは結界を張っており、ヒメやロラは子供たちと一緒だ。


アイリスはまだ調子が悪く、ティネリスと瑠璃による治療を受けている、シルフィも側にいるようだし、ゴクウらはティネリスの側にいる、ミリルはヒューイとヴェイセルの治療に専念している。


ミコト、リサ、イヴ、ベルやアスタ、サルガタナスら悪魔たちとアイリーン、カミュら騎士の面々、アルスにコブナ、ステフなど魔法の使える者たちは食料調達のため周囲に狩りに出ていた。アスカも付いて行ったようだ。


ガブリエルとミカエルは国軍の動きを確認するために哨戒にでていた。


カトリーは物資の確認、リズもそれを手伝っているようだ。


ラルガンスはハインとミーレス、ウェルス、ニコル、リュドミラを連れて、魔獣の危険がないか、なにか物資がないかを確認するために近くの炭鉱跡へと向かった。


スーは水で皆を潤す、ヒーは火を起こし皆を暖める、コダマは木で簡易的な椅子やテーブルを作り出す、アブちゃんが生み出した油は泰然タイランにて料理に使われる。


泰然タイランは皆の食事作りを行っており、ソフィア、ミーアにキャルル、ジェレールやグラシャン、レータ、ルイーザらがそれを手伝っている。


エリスとフォルカ、ミノス、ハンナ、マクシミリアンは全体の警護を行っている。


エリックはこの休憩の様子も絵に残しており、メロディは歌を、クレイジーバーニーはジャグリングを披露していた。


エイルとモイスは鍼を使った整体を行っている。


アーガスとララァ、リリィはラウルの警護のため、すぐ近くに控えているが作戦会議には参加していない。


休憩といっても、おそらくこのままここで野営することになることは皆が分かっているようだ。


それぞれに出来ることを自発的に始める、それも全力で。


これが冒険者クラン:龍翔<ドラゴニア>の強みだとラウルは感じていた。


「皆すごいですね」


「正直あっしには信じられませんぜ……ここまでの人数が一丸となって動くとは」


「ふっ……だが現実に目の前でそれが起こっているからな」


「ですね」


シゲンは頭をポリポリと書きながら少しだけ笑う。


「話しを戻しましょう……ジャンベルデッドの町を出発した直後にカスミが知らせてくれた国軍が我々を追うための準備をしているという件ですが、マルタンの続報によると既にルーラーンを出てこちらに向かってきているということですね」


「ええ、そのようです、空から確認しているガブリエルも先程、ルーラーンを出た国軍がまっすぐこちらに向かっているとの報告をくれました」


「数はどれくらいなんだ?」


ガイルが問う。


「国都に入り込んだトリスタンによると1万の軍勢だということみたいですぜ」


「そうですか……あとどれくらいで追いつかれるでしょうか」


「1週間は大丈夫でしょう、さすがに距離が離れている」


「だが、あと1週間とも言えるのか」


「ガイルの旦那の言う通りですね……あと1週間であっしらは1万の軍勢を迎え撃つ必要がありやす」


「1万……思ったより多いですね」


「ふっ、大方モントロワ軍を追い返したことで国軍が動いたってところだろ」


「おそらくはそうでしょうね……国軍ということは二十四将が率いてるのでしょうか?」


「それもトリスタンからの報告にありやした……えっと……アズラック将軍ってのが大将のようですぜ」


「アズラック……知らない名だな……新しい将軍なんだろうね」


「そうでしょうね、この将軍についての情報は現状、殆どありやせん、トリスタンに期待するしかありませんね」


「……マクシミリアンが蟲の関係で何かしらないだろうか?」


「可能性はありやすね……後で確認しときやしょう」


「お願いします……」


「ふっ、それにしても1万の軍勢とは腕がなるな」


「さすがに分が悪いですぜ、ガイルの旦那」


「そうか、やってみないと分からんだろう」


「やってみてダメだった、って訳にはいきやせんからね」


「ふっ、それもそうか」


「まぁ、どっちにしろ戦闘になればガイルの旦那らに任せるしかありやせんからね、1万でも倒してもらわなきゃ困りやすぜ」


「それもそうですね、頼みましたよガイル……ところで迎え撃つ場所ですが、どこかいいところはありますかね、数が少ない分せめて地の利くらいは取りたいんですが」


「あっしも、ここらの地理には明るくないですからね、あとでリズ嬢かアンロンコッドの親父に聞いときましょう」


「ありがとうございます、1万の兵が動きづらいところがあれば、そこで迎え撃ちましょう」


「ところでもう一つ、戦わないで済む策もありやすが、どうしましょう?」


「そんな方法があるのか?」


シゲンの言葉にガイルが驚いた声を上げる。


「正確には戦わないでやり過ごすって策ですが」


「……私は現状では反対です」


「ラウルは分かっているのか?」


「ええ、想像はつきます……ですが現状はその手を使うわけにはいきません、むしろ私は迫りくる国軍と戦って追い返す必要があると考えています」


「それはどういった事でです?」


ラウルの言葉にシゲンが答える。


「ここで私達が国軍をやり過ごすと領地での戦闘になるためです、残念ながら私の領地は国軍を迎え撃つような準備はできていないので、住民にも被害が出る可能性があるためです」


「ですね、あっしもそこを危惧していました、ではこの策は無しということで……」


「ただ、一部では使えるかもしれませんね」


「ああ、確かにそうですね……どこかで国軍を押し留めることができ、最後の最後に使えば……」


「おい、オレにも分かるように話してくれ」


「ああ、すみません……実は私とシゲンが言っているのは……」


ラウルはガイルに内容を説明する。


「……なるほどな……確かに使えそうだな」


「あの……カスミさんに呼ばれてきたんだけど……」


「失礼します、私に確認することがあるとお聞きし参上しました」


リズとマクシミリアンが作戦会議の場にやってくる。シゲンがあとで確認しようとしていた事についてカスミが気を回したようだ。


「ありがとうございます、さっそくですがマクシミリアン……スーシアン二十四将のアズラック将軍というのが、どういった人物かわかりませんか?」


「アズラック将軍ですか……たしか闇の手の情報網に名があったはずです、新参の将軍で二つ名は戦場の鷹とのことです……ただ二つ名は自称のようです」


「自称……なんだそりゃ?」


「マクシミリアンの情報でわかりました……アズラック将軍自体はそれほど警戒は必要なさそうですね」


「あっしも同意見です、あくまで普通の将軍として対策を考えやしょう」


通常、二十四将のような高位の将軍であれば噂や二つ名などは自分が言わなくても戦場を見たものから、おのずと広がっていくものだ。


そうではなく自分で広めるということは戦場での実績がないのか、そもそも戦場に立ったことがないかのいずれかだ。


いずれにせよ過度にアズラック将軍を警戒する必要がないことは確かだろう。


「ああ、リズ嬢にお聞きしたいんですが、ここから1週間程度の距離の範囲内に、どこかに峡谷なんかで道が細くなっていることろはありやせんか?」


「……なんだか奥歯に物が挟まったような聞き方ね」


「すいやせん、後で必ず共有しますんで」


「まぁ、いいわ……非戦闘員の方も多いもんね……そうね、この近くでということなら東に向かった先に黒鎖橋こくさきょうという橋があるわ、大きな橋だけど流石に軍……いいえ、一度に渡れるのは20人くらいだったと思うわ」


「決まりですね……黒鎖橋こくさきょうで迎え撃ちましょう」


「あっ、一応言っておくと黒鎖橋こくさきょうの南北20キロくらいのところにも橋があるわ……まぁ、その2つの橋は黒鎖橋こくさきょうよりも小さいけどね」


「ありがとうございますリズ、助かりました」


「知ってることを伝えただけだけど……」


「いいえ、私もスーシアンの地理は頭に入れているつもりですが、地元として暮らしている方には細かいところではとても敵いません」


「そう……ならいいわ」


「場所と方法は、あっしの方で纏めますぜ」


シゲンの言葉にラウルは頷く。そして言った。


「お願いします、この作戦で肝になるのは黒鎖橋こくさきょうと隠し玉ですので」

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