0530話 門前の戦い その2
ドォン!
爆音が響き騎士が数名、爆風に飛ばされる。
「や、矢を放て!」
号令に合わせて矢をつがえる弓兵たち。
櫓の上からなら狙いをつけやすい。
剣を振るう女剣士に狙いを合わせて弦を引く。
限界まで引かれた弦がキリキリと音を立てる。
動きの早い剣士だが、魔獣を射るときと要領は同じ。
少し先の動きを読んで標準を合わせて矢を放つのだ。
一瞬、剣士が動きを止める。
「いまだ……!」
矢を掴んでいた手を離そうとしたその瞬間。
突然、脇腹に冷気とともに強い衝撃を受け、その反動で櫓から落ちてしまう。
「う、うわぁぁっ!」
そんな弓兵の悲鳴がかき消される程の激戦がそこでは始まっていた。
騎士たちが振るう剣を受け止め、弾き返す俺の刀。
そして横ではベルが剣を振るっている。
「はぁっっ!」
「がぁっ!」
リサが気合のこもった一突きを見せ、それを受けた騎士が倒れる。
更に槍を頭上で一回転させ、石突側の柄を振り下ろす。
「ぐぇぇ……」
強烈な一撃を受けた騎士がうめき声を上げて気を失う。
「そりゃっ!」
騎士が振り下ろしてきた剣をバックステップで躱すと同時に反射的に前方へ跳び、騎士の顔面に拳を叩き込むイヴ。
「ぐはっ!」
ガツンという音を立てる騎士の兜。
「ハハッ!、パンチなど効くものか!」
顔全体を覆う兜でイヴのパンチを防いだことで優位に立ったと感じた騎士が得意気に声を上げる。
「……あたいもまだまだだね」
「何を言ってやがる!」
再び剣を振りかぶる騎士。
対するイヴはブツブツと何かを呟いていた。
「余所見するとは余裕だな!」
「うるせぇっ!」
騎士の大声に苛ついたイヴが足を振り上げる。
ヒットしたのは騎士の股間。
鎧で守られていない急所に当たる場所だ。
「あ……あが……がっ……!」
あまりの衝撃にその騎士は白目をむき、泡を吹いて仰向けに倒れた。
「……ったく」
キィンキィンと金属音が響く。
騎士隊長は目の前の女剣士との撃ち合いを始めていた。
魔獣との戦闘経験もある騎士隊長にとって女剣士など取るに足らないと考えていたが、数合撃ち合っただけですぐにその考えを改めていた。
「そらそらそらっ!」
自分の渾身の攻撃をいとも簡単に受け止め、弾き返す女騎士。
そして一撃一撃が重い、女剣士の攻撃。
更に恐ろしいことに女剣士はまだ全力を出していない様子なのだ。
「ぐっ……!」
次第に防戦一方になる騎士隊長。
「く、くそっ!」
苦し紛れに繰り出した突きは簡単にいなされ無防備になった剣を握る腕を剣の柄頭で強く叩かれたことで剣を落としてしまう。
そして剣先を首筋にピタリと当てられる。
「……まだやるか?」
「ふん、好きにするがいい……どちらにしろ任務に失敗した俺の末路は処刑だからな」
そう言ってベルを睨みつける騎士隊長。
「そうか……ならば」
スッと剣を振り上げるベル。
首を落とされると考えた騎士隊長は目を閉じる。
しかし彼が感じたのは首筋への強い衝撃と遠のく意識だ。
「どうせ殺されるなら、ここで殺す必要もないな」
ベルは手にした剣の柄頭で騎士隊長の後頭部を強く叩き意識を失わせたのだ。
「はぁぁっ!」
俺は刀を横薙ぎに振るう。
「ぐぁっ!」
俺の前に立っていた騎士は経験も浅いようで、俺の攻撃で少し傷ついただけで尻もちをついて戦意を喪失していた。
「うぉぉっ!」
更に別の騎士が斬りかかってくる。
大振りな攻撃を一度受け止めてから振り払う。
これでバランスを崩した騎士の側頭部に蹴りを決める。
「おいリュウ、隊長を倒したぞ!」
ベルの声が聞こえる。
「ああ」
周囲に目をやるが他の騎士たちはまだ戦闘をやめる気配はない。
リサやイヴもまだ戦闘を続けている。
リュドミラ、そしてステフも櫓への攻撃を続けていた。
「隊長が倒されたのに戦いをやめないな」
「そういえばこの騎士がここで負けたら処刑とか言ってたぞ」
「なるほどな」
門を守る騎士たちに下された命令の中で失敗すれば処刑されるという文言が入っていたのだろう。
そのため騎士や弓兵なども隊長の有無は関係なく、俺たちへの攻撃をやめないのだ。
「全員倒すしかないかリュウ?」
「そうだな……」
その問いかけに頷き、言葉を返そうとベルを見た俺の目に飛び込んできたのは、ベルを狙う刃だった。
「ベル!」
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